「ゴールドシップの再来か」皐月賞もファウストラーゼンで足りる?完璧的中に喜びの声続々【結果分析】

スポンサーリンク
ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

215人の購読者に加わりましょう

「ゴールドシップの再来か」皐月賞もファウストラーゼンで足りる?完璧的中に喜びの声続々【結果分析】

9日、中山競馬場で行われた皐月賞トライアル、弥生賞ディープインパクト記念(G2)は、杉原誠人が騎乗したファウストラーゼン(牡3、栗東・西村真幸厩舎)が、ゴールまで続いたヴィンセンシオとの叩き合いを制して勝利。勝ちタイムは2分1秒3(良)。3着アロヒアリイまでが皐月賞の優先出走権を手に入れた。

昨年のホープフルS(G1)は、18頭中の17番人気で3着に食い込み大波乱を演出したファウストラーゼン。スタートで大きな不利を受けながらの好走だったにもかかわらず、今回も人気の盲点となって7番人気での勝利。再びファンを驚かせる結果となったが、これでもうフロックという声もなくなるだろう。

重賞勝ち馬が不在の弥生賞は実に29年ぶり。メンバーレベルを危惧する声も出ていたように、本来なら同舞台のG1で3着のファウストラーゼンの実績は上のはずだった。それでも伏兵の扱いにとどまったのは、鞍上が杉原だったことも、おそらく無関係ではない。

その杉原だが、この弥生賞で嬉しい重賞5勝目をゲット。2022年アイビスサマーダッシュ(G3・7番人気ビリーバー)で待望の初勝利を飾ると、翌23年にフェアリーS(G3・11番人気キタウイング)、24年に小倉大賞典(G3・3番人気エピファニー)、そして今年の小倉牝馬S(G3・3番人気シンティレーション)と4年連続重賞勝ち。そして弥生賞を勝ったことにより、自身初の年間重賞2勝も達成した。

では、レースの回顧に戻ろう。

第62回弥生賞の結果

レースはスタートを決めたルメールの2番人気ヴィンセンシオが意外にもハナ。他に主張する馬がいなかったこともあり、1000m通過60秒9のラップを刻んだ。ルメールも最内でロスなくマイペースに持ち込めたと思ったに違いない。

だが、その遥か後方で流れに逆らったのが杉原とファウストラーゼンだ。スタートは前走と同じく出が悪いまま後方での追走。こうなるとやはりマクるしかなくなるのだが、映像を確認すると53~54秒あたりでいち早く動く。まだ半分も走っていないタイミングにもかかわらずである。

それでも杉原のパートナーに対する信頼は揺らぐことなく、外からファウストラーゼンも瞬く間に先団へと取りついてしまった。これがちょうど先述した1000m通過の60秒9。つまり7~8秒で13番手の後方から先頭まで追い付いていたことになる。このスムーズな加速こそが、本馬のポテンシャルの高さといえる。

杉原が打った次の一手

その一方、見る者に強烈なインパクトを与えるマクりは諸刃の剣という側面もある。凡庸な騎手の場合、前に取りついただけで安心し、そのままの位置で競馬をして失敗することも多々。ところが、杉原はしっかりとペースを緩めることなく「捲くり切る」ところまで成功させたのが大きい。幸いルメールは強引に競りかけるタイプの騎手ではないため、比較的すんなりと先頭を譲ってくれている(ホープフルSのときは、勝気な和生が相手だったため譲ってくれなかった)。

とはいえ、2番手に下がってもプレシャーを与え続けるルメールも必要以上に下げることはしなかった。それがロングスパート合戦にもつれ込んだ一因。そうこうしている内に他の馬までワンテンポツーテンポ早く仕掛けており、中盤が最も速くなる異常なラップ構成になっている。

12.6-10.9-12.4-12.8-[12.2-11.5-11.7-12.4-12.1]-12.7

前後半3F:35秒9-37秒2(前傾1秒3)、5F:60秒9-60秒4(後傾0秒5)。

※前後半で前傾と後傾が両方あるレースは珍しい。大抵は両方同じ。

一応、杉原に釣られてハイペースに付き合った格好のヴィンセンシオだが、敗れてもクビ差の惜敗だった点は、この馬の強さ怖さを感じた。

こんな泥仕合に持ち込まれて上がりも36秒9。デビュー戦は超のつくスローを2番手から抜け出し、2戦目の葉牡丹賞は6番手から差し切ってのレコード勝ち、そして3戦目はロンスパにも対応して好走しているのだ。すべてが異なる展開ながら大崩れしないのは、この馬もまたタダモノではないということになる。

3着アロヒラリイに関しては上位2頭より、見た目以上に力の差を感じる走り。自分から勝つために動いた相手に対し、あくまで自分の競馬をして着を拾った。4着ミュージアムマイルは、中距離の方に適性があるように見えて、ここまでスタミナを求められると甘さが出た。イメージほどのスタミナはなく、本当は名前の通りマイルがいいのかもしれない。

★コメント

1着ファウストラーゼン 杉原

「作戦としては、今回も同じようにできればなと。2コーナーに入って、ここにいても仕方がないと思い、この馬を信じて積極的に動いた。すごく心肺能力の高い馬だなと思っていたが、ヨーイドンとか瞬発力勝負になるのは分が悪いのは分かっていた」

西村師
「練習では上手くいっていたが、スタートが上手くいきませんでした。そうなったら前回と同じように捲ってくれと話していました。この馬は、捲っても勝てるスタミナがあって、そこは自信がありました。Bプランですね。とにかく結果が出て良かった」

※ホープフルSは致命的な不利もあったため、今回は普通に乗ってくると思いきや、陣営の指示もあったみたい。

2着ヴィンセンシオ ルメール
「良い競馬でした。プラス10kgで、大きな馬にこういう馬場は大変でしたが、このレベルのレースで良いパフォーマンスを見せてくれた。良いステップレースだった」

なぜ、ファウストラーゼンに自信を持って◎を打ったのかの詳細な理由は、予想記事を参照してもらうとして、ここからは同馬について少し掘り下げる。

ファウストラーゼンの血統

これで4戦2勝とした本馬の父は安田記念(G1)、フェブラリーS(G1)という芝とダートのG1を二刀流で勝ったモズアスコット。若手時代の坂井瑠星を乗せた安土城Sを2着に負け、連闘で挑んだ安田記念を9番人気で制した馬である(鞍上はルメール)。距離適性的にはマイルまでのイメージも強いのだが、ここまでのスタミナは母父スペシャルウィークの血だろうか。

いや、個人的にはダートも走った父のタフさを上手く受け継いだ気もする。言ってみればスピードとパワーの両方を備えてなければ芝とダートのG1は勝てないはず。母ペイシャフェリスは短距離馬だっただけに、血統のことを素人がどうこう語っても仕方がないか。

ひとつ確かなことがあるなら、杉原も西村調教師も「この馬には捲くっても勝てるだけのスタミナがある」と評価している事実だ。勝ち方は似ていても、昨年優勝のコスモキュランダとは少し違う気もする。気のせいかな?うーん、ファウストの方がもっとスタミナに寄っている気も?

ゴールドシップの走りに酷似?

おそらくスタミナ寄りという点で思い浮かんだ馬がゴールドシップというのもある。スタートの出は速くないが、ポジションのビハインドをマクることで相殺し、残りはロングスパートで切れ味ではなくスタミナ勝負に持ち込む。だが、ゴールドシップってそこそこ切れる脚も持ってたんだよね。

一応、レースぶりの似ているコスモキュランダもゴールドシップも皐月賞で連対した馬。ここまでのステップレースで未対戦の強豪という馬もいない。中山芝2000mという特殊な舞台設定で安定して好走したことに価値はある。

杉原誠人はイイゾー

2011年に騎手デビューした杉原は現在32歳。重賞勝ちに縁のないまま11年の年月を過ごし、後からデビューした若手がG1を勝つ中、腐らずに切磋琢磨を続けた。恩師である藤沢和雄調教師が22年に引退し、後ろ盾を失ったタイミングで道を切り開けたことは自信に繋がった。

実際、昨秋の福島では戸崎圭太に格の違いを見せつける活躍。福島テレビオープン(芝1200)では、戸崎の乗っていた大本命エターナルタイムを9番人気カリボールで撃破。両者の位置取りやコース取りが明暗を分けた。

そのエターナルタイムの次走みちのくS(OP・芝1200)には杉原が騎乗し、2番人気で完璧に勝ち切ったのは記憶に新しい。もはや杉原は割引よりもプラスアルファを期待していい騎手に成長しつつある。これなら本番でも楽しみが持てそうだ。

総括

弥生賞の予想は特別登録の段階で早々とファウストラーゼンに本命が決まった。これはレース内容や道中の展開及びラップ、他馬との力関係を比較した際に「足りる」と判断したため。それでも3歳春の能力が未知数なメンバーで、どこまで自信を持てるかというのもあって悩ましかった。

結果的に的中という正解は引けたものの、一番欲しかったWIN5の的中は出来ず。救いがあるとすれば、本サイトの予想記事を読んで3連単を的中したという喜びの声が多数報告されたことじゃないかな。

当方はライター業であり、競馬の予想は当然として、人の心を動かせる記事を書きたい人種。そもそも「予想とは論文でありプレゼン」という考えを持っている。自分の書いた原稿で「これは信じていいかも」「この人が言うなら買ってみたい」と感じてもらった結果が、誰かの的中へと繋がったのなら嬉しいことである。

次回は自分自身が一番喜べる結末となることを期待したい。