日曜京都のメインは3歳馬の重賞、きさらぎ賞(G3)が開催。かつてはスペシャルウィークやナリタトップロードが制した出世レースも、過去10年でクラシックを勝ったのはサトノダイヤモンド1頭のみ。近年はやや注目度が下がっている一戦だった。
しかし、今年の優勝馬サトノシャイニング(牡3、栗東・杉山晴紀厩舎)は、久々の善戦に期待出来そうな逸材かもしれない。頭数こそ10頭と少なかったものの、直線で次元の違う末脚を繰り出して2着リンクスティップに3馬身差の大楽勝を演じてしまった。
正直、当方は東京スポーツ杯2歳S(G2)の2着に対し、クロワデュノールの併せ馬に付き合っただけくらいの見立てだった。なにしろ相手は24キロ増の緩い馬体で陣営も八分程度と暗に認めていたデキ。3/4馬身差といっても両馬の間に大きな差を認めざるを得ない結果だったからである。1番人気に支持されたとはいえ、2.7倍もついたのは初の右回りや力関係が不鮮明だったことも含まれるだろう。
ところが、こんな勝ち方を見せつけられてしまうと、ただのクロワデュノールに負けた馬というだけでは片づけられない。世代最強馬の牙城は高くとも、2着3着に入る実力は十分過ぎるほど証明している。
レース前のイメージは、弱い相手に楽勝しただけのショウヘイとサトノシャイニングの差は大きく、間接的に前走の勝ち時計が重賞級だったリンクスティップの裏取りが正解だったかどうかを確かめる一戦の位置づけ。もちろん、牝馬でランスオブカオスに先着したリンクスティップの走りは評価できる内容だったが、サトノシャイニングの圧倒的な強さに舌を巻くばかり。下手にリンクスティップを見つけてしまったばかりに驚きの度合いも増した。
勝った馬は別格としてリンクスティップだって普通に強かった。勝ち馬がおかしかっただけなのだから、同世代の牝馬相手に重賞を勝てるだけの実力はある。
西村は準メインに続く連勝を決め、栗東所属騎手の世代交代の兆しも見えた。杉山晴紀師が松山弘平から西村推しに気持ちが変わっていることも勘繰りたいところ。実際に好騎乗でチャンスをモノにしたからには続投濃厚か。
西村にしても「いい馬だと思って指をくわえて見ていた」らしいサトノシャイニングのパフォーマンスは特筆すべきもの。ご高齢の里見オーナーのダービー制覇の夢に希望も生まれた。
だが、そんな陣営に絶望を振り撒くのがホープフルS(G1)で圧倒的な格上感を見せつけたクロワデュノールの存在である。あの馬に遊ばれたサトノシャイニングですら、これだけ強いなら勢力図をひっくり返す新星の登場でもないと既に終戦したようにも感じる。
そりゃ馬は生き物だから故障でも発生すれば、一転して戦国時代へ突入する可能性もゼロとは言えないことは承知の上でも、はたしてあの馬に勝てる馬が出てくるのかどうかは疑わしい。
ぶっちゃけ今年の牡馬クラシックは、クロワデュノールの三冠でほぼ確定ムード。予想をする分には助かるし、1点で買えるならWIN5でも心強いか。
★次走注目
サトノシャイニング…クロワデュノール以外なら勝てそう
リンクスティップ…牝馬相手なら重賞勝てる
ランスオブカオス…NHKマイルCでチャンス