アスコリピチェーノとルメールを信じ切れるかどうか…ヴィクトリアマイルの展望と攻略ポイント
順番的にそろそろルメールの気もするが……
東京11Rヴィクトリアマイル(G1)芝1600
アスコリピチェーノ ルメール
アドマイヤマツリ 田辺裕信
アリスヴェリテ 池添謙一
アルジーヌ レーン
クイーンズウォーク 川田将雅
クリスマスパレード 石川裕紀人
サフィラ 松山弘平
シランケド デムーロ
シングザットソング 斎藤新
シンリョクカ 木幡初也
スウィープフィート 未定
ステレンボッシュ 戸崎圭太
ソーダズリング 坂井瑠星
タガノエルピーダ 未定
ドゥアイズ 三浦皇成
バウンシーステップ 未定
ビヨンドザヴァレー 菱田裕二
ヒルノローザンヌ 横山和生
ボンドガール 武豊
マサノカナリア 横山典弘
ミアネーロ ディー
ラヴェル 津村明秀
ワイドラトゥール 北村友一※登録23頭。フルゲート18頭。
波乱の結果に終わったNHKマイルC(G1)の次は古馬牝馬のマイル王決定戦となるヴィクトリアマイル(G1)が行われる。
本レースを含む4つのG1が東京で続くだけに、馬場傾向の把握に成功すると勝ち馬の選定に役立ちそう。前半が激流だったとはいえ、現在の東京は稍重でもレコードが更新されるような異常な高速馬場。実際は高速どころか超速といっていいほどだが、時計が速いだけでペースや展開はしっかりと反映されるのも特徴だ。
では早速上位人気想定の馬から確認してみようか。
アスコリピチェーノ(牝4、美浦・黒岩陽一厩舎)
デビューから無敗の3連勝で阪神ジュベナイルF(G1)を制して2歳女王となった。
いずれも2着に惜敗したが、桜花賞(G1)は北村宏司、NHKマイルはルメールのマズい騎乗が敗因。おそらく使い分けと賞金目的でゴールデンイーグル(豪)に使って大敗を喫したが、20頭立てのレースでスムーズさを欠いた結果なら度外視していいだろう。むしろ2月のサウジではウインマーベルとアタマ差の接戦を制して実力を証明。ポテンシャルの高さではメンバー随一といえそうだ。
不安材料があるとすれば、マイル戦でミスの多いルメールの騎乗。順番的にそろそろ勝ちそうな雰囲気がある一方、昨年のNHKマイルは川田将雅のワナにハマって致命的なミスを犯した。スムーズなレースをするためにも、できれば外枠が欲しいところだ。
ステレンボッシュ(牝4、美浦・国枝栄厩舎)
阪神JFではアスコリピチェーノの2着に敗れたが、このときはルメールが直線スムーズさを欠いて追い出しが遅れるミス。その結果がクビ差に繋がった。鞍上がモレイラに大幅強化された桜花賞で逆転に成功したのは驚けない一方、アスコリピチェーノとは騎手次第で着順が前後する程度かもしれない。
続くオークス(G1)、秋華賞(G1)と戸崎圭太の雑な騎乗が目立った一方、東京のマイルという条件ならルメールとの差は縮まるはず。1番人気は勝てなくても2番人気なら勝てる謎の力も背中を押してくれるだろう。
戸崎のJRA・初G1勝利は2011年安田記念のリアルインパクト(9番人気)。VMはストレイトガールで連覇を達成したように東京マイルは滅法得意としている。
ボンドガール(牝4、美浦・手塚貴久厩舎)
G1級の素質馬と評価されながら、あと一歩で勝ち切れない競馬が続く。川田将雅から武豊に乗り替わってから試行錯誤を続けているが、差す競馬に脚質転換してから新しい一面も見えた。
ダイワメジャー産駒といえば、ほとんどがスピードを前面に押し出す一方で切れる脚のなさが弱点でもあった。それが本馬もアスコリピチェーノと同じく切れる脚を発揮した。こちらについては晩年に走った産駒の共通点だ。セリフォスやアスコリピチェーノも切れる脚のあるダイワメジャー産駒である。
本馬も昨年のNHKマイルCで大きな不利のあった馬。武豊の調子も上向きならチャンスあり。外国人騎手ばかりが勝つ流れも松山弘平が止めた。次はレジェンドの番?
アルジーヌ(牝5、栗東・中内田充正厩舎)
クラシック戦線に縁もなく、昨春は小倉の条件クラスをうろついていた馬。ところがオープン入りしてすぐ重賞に挑戦したクイーンS(G3)で4キロ軽かったボンドガールと接戦するほど力をつけた。
この善戦をきっかけにカシオペアS(L)、ターコイズS(G3)を連勝。前走の阪神牝馬S(G2)は超スローの前残り展開に不覚を取ったものの、ボンドガールには先着。差し馬場の東京なら脚を余すこともないだろう。
しかも鞍上にはD.レーンを起用。中内田厩舎は本馬とクイーンズウォークの2頭出しでやる気満々だ。
クイーンズウォーク(牝4、栗東・中内田充正厩舎)
強そうで弱いのか、それとも弱そうで強いのか、もうひとつ掴みにくいタイプ。割と見捨てるタイプの川田将雅がデビュー戦から他人に譲らないなら強いのかもしれない。
G1でミスの目立つ鞍上だが、牝馬相手の小倉牝馬S(G3)ですらいいところがなかったにもかかわらず、相手が強化された金鯱賞(G2)で大金星。切れる脚がない訳ではないが、この田んぼ馬場で好走したなら現在の東京とマッチしない可能性もありそう。
かといってデビュー3戦は上がり33秒台。レガレイラを破ったローズS(G2)にしても超スローが味方したとはいえ、稍重の馬場を33秒5の末脚で鮮やかに突き抜けた。割とジャッジの難しいタイプである。
他にも魅力的な穴馬が複数
これら以外にも上がり馬のアドマイヤマツリ、末脚鋭いシランケド、阪神牝馬Sを制したサフィラなど、一発の魅力を秘めたクセモノが多数出走を予定。京王杯2歳S(G2)を制したパンジャタワーが穴を出したように、馬場の高速化が進むと求められる距離適性が短めにシフトする。
究極の上がりを出せるタイプや、芝1400の重賞で好走実績を持つ馬たちにも注意を払いたい。
馬場状態は近年稀に見る異常な高速馬場。ちなみにVMレコードがマークされた2019年のNHKマイルは、アドマイヤマーズが1分32秒4で勝利している。パンジャタワーが1分31秒7を出した今年ならレコード更新の可能性もあるのではないか。