カムニャック絶対ムードに抗うなら…気になる穴馬をピックアップ【秋華賞の展望】
カムニャックが一歩リード
京都11R秋華賞(G1)芝2000
インヴォーグ 牝3 団野大成
ヴーレヴー 牝3 菱田裕二
エリカエクスプレス 牝3 武豊
エンブロイダリー 牝3 ルメール
カネラフィーナ 牝3 石川裕紀人
カムニャック 牝3 川田将雅
クリノメイ 牝3 酒井学
グローリーリンク 牝3 北村友一
ケリフレッドアスク 牝3 西塚洸二
ジョイフルニュース 牝3 佐々木大輔
ジョスラン 牝3 岩田望来
セナスタイル 牝3 岩田康誠
ダノンフェアレディ 牝3 坂井瑠星
テリオスララ 牝3 未定
テレサ 牝3 松山弘平
パラディレーヌ 牝3 丹内祐次
ビップデイジー 牝3 西村淳也
ブラウンラチェット 牝3 池添謙一
マピュース 牝3 横山武史
ランフォーヴァウ 牝3 小崎綾也
ルージュソリテール 牝3 高杉吏麒
レーゼドラマ 牝3 藤岡佑介※フルゲート18頭
今週は京都で3歳牝馬クラシックのラスト一冠・秋華賞(G1)が行われる。
早速嘘をついていますが気付きましたか?
牝馬三冠に数えられるレースではあるが、「クラシックではない」ので注意が必要。競馬初心者やうっかりライターが騙されやすい罠である。
でもなあ、競馬ってクラシック連呼するから間違えやすいよねこれ。なぜクラシックじゃないのかの理由はシンプルに「模範としたイギリス競馬に該当するレースがない」かららしい。これはエリザベス女王杯(G1)も同様。日本独自のレースってところだね。
その点、牝馬はエリザベス女王杯が芝2400mから芝2200mに短縮されて古馬に開放。新たに秋華賞が創設された関係で牝馬四冠も狙えるサービス付き。
ちなみに1996年からスタートした牝馬四冠の歴史で全勝した馬は1頭もいない。同年に秋華賞とエリ女を連勝した馬は3頭出ているものの、春の二冠を達成していなかった。
2002年 ファインモーション(春二冠不出走)
2007年 ダイワスカーレット(桜花賞)
2013年 メイショウマンボ(オークス)
エリ女でスノーフェアリーの2着に負けたアパパネが最も惜しかったが、実質それ以上の快挙を達成していたのが2012年のジェンティルドンナだ。
本馬はエリ女ではなくジャパンC(G1)に挑戦してあのオルフェーヴルさんを撃破。タックル事件で物議を醸したが、3歳牝馬にやられたのでは金色の暴君さんも立場がない。
色々と雑談をしているけど、正直そこまで興味ないんだよなあ秋華賞。なぜかというと出走メンバーと勢力図の兼ね合いが大きな理由だ。
既に牡馬の方は、皐月賞馬ミュージアムマイルがクリスチャンとのコンビで天皇賞・秋(G1)に参戦を表明。皐月賞3着ダービー2着のマスカレードボールはルメールと新コンビを結成した。
皐月賞2着のダービー馬クロワデュノールは先日の凱旋門賞(G1)で残念な結果に終わったばかり。春二冠を勝った馬が1頭も菊花賞(G1)に出てこない訳だが、これはもう近年のトレンドだから仕方ない。
ところが牝馬の方も似たような感じ。春二冠で連続2着のアルマヴェローチェが骨折後に屈腱炎を発症して離脱。桜花賞馬エンブロイダリーは直行で参戦するようだが、桜花賞の勝利は馬よりもモレイラの手柄によるもの。距離不安と気性に何の残るこの手のタイプは秋に走らない。世代最強はおそらくアルテヴェローチェなのだろう。
これらに対し、差し馬場のオークスで展開も向いたカムニャックは、トライアルのローズS(G2)を快勝して万全の状態で挑めそう。
長距離の菊花賞(G1)じゃ用なしの川田将雅も京都の芝2000は得意舞台。父ブラックタイド×母父サクラバクシンオーという牝馬版のキタサンブラックなら無難に通過する可能性が高い。
というわけで、いまだに勢いの衰えない金子オーナーの所有馬カムニャックで仕方ない気もするんだよね。
ただ、こうやって展望を書いている内にスワンSのウインマーベルが危なくてオフトレイルが勝てそうなんてことに気付くケースもある。各馬の臨戦過程をおさらいしながら対策を練りたい。
カムニャック(牝3、栗東・友道康夫厩舎)
WIN5のデータを取っていても社台グループに匹敵する好成績を残す金子オーナー。夏場に勝ち星を量産したヤマニンの土井氏、メイショウでお馴染みの松本氏らの健闘も光るが、個人馬主としては抜きんでた存在である。
そんな大御所が送り込むのがカムニャック。昨年8月中京で鮮烈な勝ちっぷりを見せた素質馬はアルテミスS(G3)で1番人気の支持を集めるも凡走。出走権をかけたエルフィンS(L)でも凡走し、フローラS(G2)とオークス(G1)の連勝は、シュタルケの手綱で勝ち取った。
ノーザンの馬なら外国人騎手になるような経緯だが、金子オーナーは一度見捨てた川田を再起用する温情采配。立て直しに成功したカムニャックもローズS(G2)でしっかりと期待に応えた。
オーナーすらオークスを勝つと思っていなかったくらいだから、完全復活を成し遂げたなら秋華賞も圧倒的な支持を集めておかしくないはずだ。
懸念があるなら超ハイペースの前哨戦を使った反動だが、この手のケースはレコード勝ちしたマスクトディーヴァが連続好走した実績もあるため、そこまで気にする必要はないかもしれない。
京都芝2000のコースにしても、2着の多さは気になるがルメールと遜色ない数字。エンブロイダリーとの比較で今回は優勢といえる。
騎手 着別度数 勝率
川田将雅 5- 9- 3-11/28 17.9%
ルメール 5- 5- 1-10/21 23.8%
ローズSの道中で不利を受けた際、「脚をひねってなければいいが」というコメントも出たが、気になるのもそれくらいか。
あとは中間の状態と当週の追い切り次第。もし勝てなかったとしても馬券の軸には最適の馬だろう。お母さんのダンスアミーガも現役時代によく見ていた馬。ダンスパートナーの血が入っているのも魅力的だよね。
エンブロイダリー(牝3、美浦・森一誠厩舎)
当方の記憶が確かなら、秋華賞の桜花賞馬vsオークス馬の対決は桜花賞馬が優勢だった気がする。調べるの面倒だから気になった人は自分でお願い。
でもまあ春から指摘しているけど、問題はダイワメジャーの血を引くアドマイヤマーズ産駒ってとこだよね。母父クロフネも距離延長歓迎タイプではない。予想以上の切れ味を見せた桜花賞の好走には驚かされたが、阪神と東京はコース適性がリンクすることを知っていれば、そこまで驚かずに済んだかもね。
まあ知ってて軽視したんだから自業自得の結果である。にしてもあれはモレイラが神懸かり的な馬群の捌き方でもぎ取った勝利のため、馬の強さはアルマヴェローチェの方。2400のオークスで距離不安が明白となったからには狙いづらい。
ルメールの騎乗は心強いにしてもモレイラと比べると見劣りするのも確か。本質的にはやっぱりマイラーなのだろう。
ジョスラン(牝3、美浦・鹿戸雄一厩舎)
ヒシアマゾン好きなら真っ先に目に入るケイティーズハート。それ以前にエフフォーリアの妹といった方が、最近の競馬ファンには伝わりやすい。
兄が有馬記念(G1)まで持ったように年内は早熟エピファ産駒でも大丈夫そうな雰囲気だ。
とにかく紫苑S(G2)の敗戦は、スプリンターズS(G1)を世紀の凡戦にしてしまった中山の八百長馬場が最大の敗因だろう。この夏は直線の長い新潟で乗っていたルメールがボケていたと指摘したのも同じ。レベルの低さが目立ったトライアルの2着でも、運良く残っただけのケリフレッドアスクよりは中身のあるレースをしたのではないか。
かといってフラワーC(G3)の4着は力負け。逃げたレーゼドラマを捕まえられないどころか、後ろにいたパラディレーヌやゴーソーファーにも交わされた。
水曜現在で騎手は未定。この辺も歓迎できなさそう。
※どうやら岩田望来のようです。だったら買えるなあ。
エリカエクスプレス(牝3、栗東・杉山晴紀厩舎)
想定外の一発があるならこの手のタイプだけど、下手をしたらもう燃え尽きてしまっている可能性すら考えられる戦績だ。ABCマートの三木氏は、セレクトセール中に飲酒をしていた乱行でノーザンから敵視されてもいる。
1番人気に推された京成杯オータムハンデ(G3)の走りを見せられると、積極的に狙いたい馬でもない。デビュー勝ちを決めた京都コースで走れるのは歓迎でも巻き返しは望み薄?
戸崎の圭太ちゃんが乗るのもまあってところ。
と思ったら豊ちゃんか。それでも手が出せないねえ。
パラディレーヌ(牝3、栗東・千田輝彦厩舎)
本気で勝ちたいなら岩田望来に戻せばいいのにと思ったのがこの馬。ローズSの凡走はある程度想定内でもあった。追い切りの走りがまったくダメで、当日の馬体重こそマイナス2キロだったが、次でよくなりそうも期待できない感じ。
ただ、追い切り次第では買い目に入れたいと考えていたけど丹内君の続投は割引。好きか嫌いかで言えば好きな騎手なんだけど、「G1で買いたい」騎手ではない。丹内君はローカルや中山限定の非根幹距離で妙味のある印象だ。
ただ、デビュー3戦の京都が好内容でもあり、復調してきたらぜひとも買い目に入れておきたい馬でもある。追い切りに最も注目したい。
注目はやはりローズS組
穴人気しそうなところでは、古馬相手に中京記念(G3)を制したマピュースだが、52キロの最軽量で超スローの前残りを残っただけ。関西圏の横山武史が上手く乗れないのは日常茶飯事であり、そろそろいい意味で裏切ってくれないと情けない。
紫苑Sのレベルが例年より低過ぎたことを考えれば、穴馬がいるとしたらローズSで負けた馬たちの可能性が高い。
そして、ここまでペースが速いと後続馬の脚も溜まらないため、ハイペースイコール差し追込みとなる訳でもない。
この不自然な理屈抜きでカムニャックの上がりを上回ったセナスタイルは、相当なポテンシャルを持っている。
あと気になったのは、京都で好成績を残すヴーレヴー。休み明けで16キロ増ならローズSは悪くない走り。ブラウンラチェットの潜在能力もなかなかだが、こちらは輸送に難がある感じ。京都の阪神ジュベナイルFも桜花賞も実力を発揮しないで終わっている。
最終的な結論は週末の予想記事にてご確認いただきたい。









