グラスワンダー、スイープトウショウ再現が不可能に…馬券妙味ある宝塚記念の展望【WIN5】
安田と同じく馬券的な楽しみはありそう
阪神11R宝塚記念(G1)芝2200
アーバンシック ルメール
ジャスティンパレス ディー
シュヴァリエローズ 北村友一
ジューンテイク 藤岡佑介
ショウナンラプンタ 幸英明
ソールオリエンス 松山弘平
ダノンベルーガ レーン
チャックネイト 鮫島克駿
ドゥレッツァ 横山武史
プラダリア 高杉吏麒
ベラジオオペラ 横山和生
ボルドグフーシュ 内田博幸
メイショウタバル 武豊
ヨーホーレイク 岩田望来
リビアングラス 坂井瑠星
レガレイラ 戸崎圭太
ローシャムパーク 池添謙一
ロードデルレイ 川田将雅※フルゲート18頭。
ジャンタルマンタルと川田将雅のコンビが勝利した安田記念(G1)も終わり、今週末は上半期のG1を締めくくるオーラスの宝塚記念(G1)が開催される。馬券がハズレる度に来週のG1こそと言い続けていたのもとうとう最後。気分よく夏競馬を迎えるためにも勝っておきたい大一番だ。
ただ、周知の通り今年はJRAの大幅な番組改編により、グランプリ前の中休みを挟まずに例年の開催より2週ほど前倒し。3歳トップクラスの参戦もなくなり、梅雨のシーズンで馬場の悪化も多かっただけに悪くない判断かもしれない。これにともない安田記念の展望で触れたグラスワンダーやスイープトウショウといった安田→宝塚のローテも消滅する。
その反面、注意が必要なのは最終週の荒れた馬場で行われてきた近年とは異なる点だ。阪神は先週再開したばかりで絶好の高速馬場が濃厚。外枠の馬が好走しやすいイメージは、一旦フォーマットした方が良さそうだ。
では上位人気に支持されそうな馬から確認してみたい。
ベラジオオペラ(牡5、栗東・上村洋行厩舎)
強いのか弱いのかよくわからないけれど、弱い訳ではないというのがこの馬だ。デビューから3連勝でスプリングS(G2)を制し、皐月賞(G1)で3番人気の支持を集めたものの10着に敗れた。
しかし、9番人気に急落した東京優駿(G1)で際どい4着に善戦し、距離の長い菊花賞(G1)を避けたチャレンジC(G3)で待望の重賞2勝目を挙げた。勇躍挑んだ次走の京都記念(G2)は、プラダリアの前にあっさり敗戦。当時4歳世代の低レベル説を印象付けながら、大阪杯(G1)で初G1制覇を成し遂げる。
これが唯一のG1かもしれないと思われたが今年も制して連覇を達成。戦績を振り返れば阪神コースは4戦全勝と得意にしていたことが分かる。現役最強クラス相手には分が悪いが、1.5軍くらいが相手なら強さを見せる。それが強くもないけど弱くもないイメージに繋がるのだろう。
最大の強みは毎回2番手3番手につけられるセンスの良さ。大抵のレースがスローペースのため、展開の恩恵を最も有効に活用できる。この安定感は鞍上の横山和生の手腕も大きい。単勝は買いにくくても馬券の軸に最適といった感じか。
ロードデルレイ(牡5、栗東・中内田充正厩舎)
ロードデルレイもベラジオオペラと同じく“弱い5歳世代”の馬である。坂井瑠星から川田将雅が奪い、いいところまでは行ったが重賞制覇には足りなかった。
その川田から西村淳也に乗り替わった結果、中日新聞杯(G3)2着から日経新春杯(G2)を優勝して重賞初制覇。それどころかG1の大阪杯でも見せ場十分の2着に好走した。この時点で西村の方が川田より相性が良さそうだが、肝心の西村が落馬負傷で休業中。皐月賞のサトノシャイニングに乗りたくて無理をしたのだろう。
川田の騎乗に文句はないものの、乗れていた西村だから応援していたのも事実。安田記念を勝ったからこそ川田の連勝はなさそうな気もする。
アーバンシック(牡4、美浦・武井亮厩舎)
こちらは強い4歳世代の菊花賞馬。道中の消耗がスタミナに直結するステイヤーのイメージながら、スタートの出があまりよくないのが「珠に瑕」である。前任者の横山武史は乗りこなすことができずに春のクラシックは凡走が続いた。
かといって菊花賞を好騎乗で勝利に導いたルメールも、1番人気に支持された有馬記念(G1)、日経賞(G2)で連敗。展開や馬場に恵まれなかったことは確かとはいえ、一番強い馬が勝つ菊花賞馬のイメージとも少し異なる気がしなくもない。
そもそも前年の菊花賞馬が距離を懸念して天皇賞・春(G1)から逃げたのも評価を下げざるを得ない理由のひとつだ。ルメールという騎手は力の抜けた馬を割引が少ない状況で勝たせる一方、穴馬で驚くような勝ち方をするタイプでもない。
近2走の敗戦は痛恨だっただけに扱いが悩ましい。
レガレイラ(牝4、美浦・木村哲也厩舎)
大本命に騎乗すると、時に信じられないようなミスを犯すが、気楽な立場で乗ると実力以上の騎乗を見せるのが戸崎圭太という騎手かもしれない。実際のデータを見ても明白であり、計13勝を挙げているG1成績においても3番人気以内に騎乗した場合、47戦2勝と悲惨な成績がそれを物語る。
しかし、数字を見ても分かるように4番人気や5番人気の成績は別人のよう。これは戸崎圭太がいかにプレッシャーに弱いかも伝わる。その点、今回のレガレイラも昨年暮れの有馬記念と似たような人気。空気を読まない戸崎圭太にはもってこいの状況となりそうだ。
そんな戸崎圭太が最も好相性を残しているのもルメールからの乗り替わり。鞍上弱化に見えて実は悪くないのだから不思議だ。本馬に関しては毎回ケツからの競馬しかできなかったルメールより、戸崎の方があっているのではないか。
ドゥレッツァ(牡5、美浦・尾関知人厩舎)
こちらは弱い5歳世代の菊花賞馬。このときは大外から逃げたルメールの神騎乗も話題となったが、とにかく強い競馬だった。
ところが、断然人気に支持された金鯱賞(G2)でプログノーシス相手に5馬身差の完敗を喫しただけではなく、休み明けを使われた天皇賞・春で夏負けの兆候を見せて15着に大敗した。その後もイギリス遠征を敢行してインターナショナルS(G1)で5着。ようやく本来の強さを取り戻したのが、ドウデュース相手の2着に善戦した昨秋のジャパンC(G1)だった。
そして今年のドバイシーマクラシック(G1)で3着と悪くない成績を収めた一方、一つ下の世代のダービー馬ダノンデサイルに完敗したのは物足りなさを残した。勝ち馬との斤量も0.5キロしか違わなかったことを思えば完全に力負けかもしれない。
今回は横山武史が山吹賞(1勝)以来の再登板となるが、肝心の武史も関西圏でまったくいいところがない状況。そろそろ意地を見せて欲しいところである。
減点材料が全くないのがベラジオオペラだが……
一線級が積極的に参戦しない傾向が強く、同じグランプリでも有馬記念に比して注目度の低い宝塚記念だが、今年の番組改編でメンバーの層が厚くなりそうな雰囲気もある。
ファン投票1位を獲得したベラジオオペラは、実は阪神コースで4戦全勝の無敗と抜群の相性。安定して先行する横山和生も信頼できるだろう。
かといって1ハロン延長がプラスかどうかはわからない。やはり警戒すべきはハイレベルといわれる一つ下の4歳世代や上の6歳7歳世代か。
また、戸崎リターンの意味ではローシャムパークもベラジオオペラと遜色ない実力の持ち主。お祭り男の池添謙一が乗るなら不気味。1周回って考えるなら7歳馬ヨーホーレイクが面白そう。年齢こそ7歳だが休養期間も長く馬はまだ若い。近4戦で手綱を取る岩田望来の躍進も著しく騎手を含めて侮れない存在だ。
前走の大阪杯はスタートで出遅れ、逃げたデシエルトだけがハイペースで2番手以降は実質スローの前残り展開。これをほぼ最後方から上がり最速33秒5で伸びた末脚は目立った。
中間の追い切り含め、枠順確定後に結論を出したい。