ドウデュース、イクイノックス世代の再現ある?秋のローテーションまで完全一致の予感
割と一致している最強世代候補
東京11R東京優駿(G1)芝2400
先週のダービーが終わり、なんだかんだで春の東京5週連続G1開催も安田記念を残すのみ。予想は割と正解を引いているものの懐具合が淋しいのが腑に落ちない。
ダービーの馬券にしても1着2着は馬連も拾った程度に的中したし、当初の買い目から入れ替えたダノンザボルケーノに勝たれたとはいえWIN4。気持ちの上では負けた気がしていないのだからタチが悪い。
で、1本前に比較的マジメな記事を書いたため、今回は少しネタ寄りの内容にしてみる。
それは、皐月賞(G1)のあとに話題になったミュージアムマイル=ジオグリフ説の再考だ。
まずは22年の皐月賞から見てみたい。
2022年皐月賞
今年とは違い5F前後半が60秒2-59秒5(後傾0秒7)のスローペース。好位から先に抜け出したイクイノックスを追い掛けたジオグリフが交わして優勝。1番人気ドウデュースは、このスローペースの前残り展開でまさかの後方待機策を採った結果、完全に脚を余す格好の3着に敗れた。
これにはレジェンド武豊も「結果的に後ろ過ぎたかもしれません」と悔いを残すコメントを出すしかなかった。
続いて今年の皐月賞がこちら。
2025年皐月賞
早々にマクったファウストラーゼンが前残りを許さない激流を誘発し、先行各馬の仕掛けがワンテンポもツーテンポも早くなった。そのため芝2000mのレースながら長距離を走るステイヤーに求められるようなロングスパート戦へと豹変し、影響をモロに受けたクロワデュノールすらゴール前で脚が鈍った。
勝負どころで焦った北村友一と遅れて追い出したモレイラの勝負勘が、それぞれの明暗を分かつ結果になった印象だ。3着マスカレードボールはマクりの直撃を受けなかったものの、スタートしてすぐに川田将雅エリキングから執拗なブロックを受けて後退。これが最後まで響いた。
3頭の脚質と人気こそ違えど、追い込んで3着に敗れたドウデュース=マスカレードボール、先に抜け出したイクイノックス=クロワデュノール、これを差し切ったミュージアムマイル=ジオグリフのイメージは割と近い。
レース前の下馬評や力関係も割と似ていた気がする。
で、これがそのまま再現するなら、間に合わなかったドウデュースと同じくマスカレードボールがダービー馬となる可能性も高かったのだが、ここで分岐する。皐月賞と同じく先に22年のダービーから見てみよう。
2022年東京優駿
リアルタイムで観戦していた時から、イクイノックスのルメールが仕掛けと進路取りでミスってるなという印象が残ったレース。それでも武豊が勝てばみんなだいたい幸せなのだから、野暮な話はしないでいい(笑)。
ノドや距離の不安もあってかジオグリフは直線で伸びきれずに7着。この年の馬場は今年と違って差しが決まる状態であり、そんな馬場を2番手から押し切りを狙って3着に残したアスクビクターモアも弱くない。ここで証明したスタミナは秋の菊花賞(G1)で大輪の花を咲かせた。
まあ後々の活躍を考えても1着2着が強かったことは間違いない。本当に強い馬というのは展開に恵まれなくても勝ち負けするものである。それでも今年のダービーの馬場状態でこの位置なら脚を余した可能性も捨て切れないか。
続いて今年のダービー。
2025年東京優駿
22年と違って極端なスローと前残り馬場だったことは何度も確認したが、ドウデュースの再現を狙ったマスカレードボールは2着。皐月賞で不覚を取ったクロワデュノールが優勝した。人気を上回る激走で激走を演じたミュージアムマイルは、ジオグリフと同じような位置から伸びずに6着。先輩の皐月賞馬の7着と酷似する敗戦だ。
こうして見比べてみると、それなりにデジャヴ感があると思う。本当に距離が延びていいタイプなのかどうかってところもジオグリフとミュージアムマイルで似ているかな。
秋のローテーションにも注目
さらに興味深いのは、秋を見据えたローテーションだろう。
22年はドウデュースがフランスの凱旋門賞挑戦を表明し、イクイノックスは菊花賞を使わず天皇賞・秋(G1)という選択をした。これはジオグリフも同じで秋天に出走し、優勝したイクイノックスの9着に敗れてからはマイル戦やダートにも使われている。
そして今年の場合も実は再現性が高そうだ。
というのもクロワデュノール陣営が凱旋門賞挑戦を表明し、ドウデュースと同じ路線に進みそうだからである。
2着に敗れたマスカレードボールの目標は未定だが、こちらも近年の傾向を踏まえると、おそらく菊花賞ではなく天皇賞・秋に向かう公算が高そう。
ミュージアムマイルにしても名は体を表すように「マイラー疑惑」も再燃するが、皐月賞と同じ距離の秋天なら使ってくる可能性が高い。この馬も距離が延びていいタイプでもなさそうだからだ。
ということで完全一致とはいかないものの、秋の路線は再びデジャヴの予感がする3頭。仏遠征から国内復帰戦のクロワデュノールを迎え撃つマスカレードボールという構図も期待したいところ。いずれにせよ今年の3歳世代も昨年に負けないくらいハイレベルな年の予感はする。