岩田望来「力差はない」もモレイラの反則勝ち…エグ過ぎるすり抜けマジック炸裂【桜花賞回顧】

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岩田望来「力差はない」もモレイラの反則勝ち…エグ過ぎるすり抜けマジック炸裂【桜花賞回顧】

第85回桜花賞(G1)の結果分析及びレース回顧

阪神11R桜花賞(G1)芝1600

13日、雨中の阪神競馬場で行われた桜花賞(G1)は、J.モレイラの3番人気エンブロイダリーが、岩田望来の2番人気アルマヴェローチェとの叩き合いを制して優勝した。

健闘しても勝利に縁がなかった前走クイーンC(G3)組だが、3年前のスターズオンアース以来となる勝利を掴んだ。このステップで初優勝を決めたスターズオンアースは2着からの臨戦だったが、連勝で桜の女王に輝いたのはエンブロイダリーが初。データ派には少々意外な結末だったといえる。

とにもかくにも快挙を成し遂げた立役者は2度目のコンビとなったモレイラだ。主戦のルメールが前日のクイーンエリザベスS(豪G1)でローシャムパークに騎乗する関係で乗り替わったが、どちらかというとマイル戦が得意ではないルメールに同じ騎乗が出来たかどうかはわからない。

■桜花賞全パト

フルゲート18頭で争われたレースは、1番人気に推されたエリカエクスプレスがまさかのハナ。これにクリノメイ、西村淳也の落馬負傷で出番が回ってきた藤岡佑介のナムラクララが続いて先団を形成する。

対するアルマヴェローチェ、エンブロイダリーはどちらもいいスタートとはいえなかったものの、それぞれの騎手が上手くリカバーし、中団から馬の力を信じる格好で進めた。ここまでの流れはほぼ似たような位置であり、後は直線でどう捌くかに注目が集まった。

意表を突く逃げの手に出たエリカエクスプレスだが、前半3Fのラップは34秒5。後半も34秒5だったことを思えば、これくらいならちょうどいいペースだったのではないか。

割と動きのなかったレースが一転して慌ただしくなったのは、3~4コーナー入り口にかけての攻防。ほぼ隣にいたモレイラと望来が進出し、前者は内、後者は外を選択した。隊列的に内と外にいるのだから極めて当然の選択だが、馬群の密集する内は進路がなくなるリスクも伴う。無難に外を回した望来についても教科書通りの安全策。パートナーの能力を出し切っての2着だから、これを下手に乗ったという隙はない。

モレイラ、岩田望来の差というにはあまりにも可哀想

だが、ここでの進路取りが結果的に2頭の着順を入れ替えた。枠の内外もあったとはいえ、モレイラが通ったルートは直線で外に出した以外、終始内々の経済コース。徹頭徹尾に脚を溜めていたのだから恐れ入る。

実際危ういシーンもあったのだが、エリカエクスプレスが垂れる直前にできたVゾーンを見逃さずに進路を確保。一か八かの賭けにしっかりと勝ってみせた。もしエリカがもうワンテンポ早くバテていればブレーキをかけざるを得なかったのではないか。まあそれすらもマジックマンにとっては想定内だったのかもしれない。

既に追い出していたアルマヴェローチェが前に出るシーンもあったが、進路の確保に成功したエンブロイダリーが迎撃態勢に入ってから巻き返す。実力伯仲の2頭の叩き合いはゴールまで続いたが、エンブロイダリーがクビ差のリードを最後まで守り通した。

レース後に望来が「ポジションは問題なかったし、やりたい競馬ができた。力差はないし、巻き返したい」と振り返ったのも納得。2頭の力差はほぼなかっただろうし、あえて差が出たとすれば両者のコース取りくらいだろう。ただそれも重箱の隅をつつくようなレベルであり、こればかりはモレイラがエグすぎたとしか言いようがない。

まるで反則勝ちのようなすり抜けマジック

当のモレイラは「すばらしい牝馬です。しっかり能力を見せてくれました。どんな騎手でも乗りたがる馬だと思います」とあっさりしたコメント。外から見ればモレイラが導いた勝利のはずだが、自分の騎乗に酔わないあたりは、本人にとっては平常運転ということか。

3コーナーで内側に斜行したことについて過怠金5万円の制裁を課されたが、何もしないでただ負けるだけの騎手とは違う。本気だからこそタイトな騎乗になるだけだ(被害馬:8番ウォーターナビレラ・13番チェルビアット)。

また、究極の力勝負となった背景には、残り1000mから続いたラップ構成もある。

数字にして前半3Fは12秒3-10秒7-11秒5で流れ、L5は12秒1-12秒0-11秒7-11秒4-11秒4の5F連続で加速ラップが刻まれていた。促しても促しても前との差が縮まるタイミングのないハイレベルのレースだったことが分かる。おそらく何度やり直しても上位2頭は変わらなかったと思う。

優駿牝馬もまた悩ましい?

力の抜けた2頭がワンツーを決めた桜花賞だが、血統的に未知数なことは間違いない。というのもエンブロイダリーは距離の限界のある父ダイワメジャーのアドマイヤマーズ産駒で母父クロフネ。敗れたアルマヴェローチェも兄弟近親は短距離馬ばかりで母父ダイワメジャー。3歳春でまだ距離の融通が利くタイミングではあるが、穴馬が台頭する余地も残されている。

エリカエクスプレスの5着については判断が難しい。フェアリーS(G3)経由の臨戦に不安はあってもパフォーマンスは1番人気に支持されたほどの楽勝。デビュー戦でも逃げていたため、作戦は悪くなかったはずだが、力を出し切っての敗戦にも映った。

馬体重についても2012年ジェンティルドンナの456キロを最後に12年もの間、460キロ台を切った馬が優勝していなかったデータに触れたが、今年もまた継続して13年連続と伸びた。ただこちらはスピードの勝った馬でも血統的にエピファネイア×母父ガリレオで距離は持つ方。この一戦のみで見限るのは早そうだ。

3着リンクスティップは実力に太鼓判を押した馬だけに納得の好走。スタートで出遅れた挙句、隣のチェルビアットにぶつけられて後方からの厳しい展開も響いてこれなら上々。1着は怪しいかもしれないが、馬券の軸には最適かもしれない。

そしてもう1頭密かに押していたのがチェルビアット。こちらも春G1で好成績を残したロードカナロア産駒という意味以外にも血統面でプッシュした。可哀想だったのは北村友一なんて乗せてしまったことである。スタートでミルコにぶつけただけでなく、今度はモレイラのエンブロイダリーから不利までもらった。

こういうのは危機管理能力や危険予知の問題であり、北村友一の限界といってしまえば終わり。幸い皐月賞(G1)のクロワデュノールは、抜群の操縦性と好位で立ち回れるセンスの良さが売りのため、大きな割引とならないだろうが、いずれは大きなところで騎乗ミスが敗因となるケースもありそうだ。

コメント

1着エンブロイダリー J.モレイラ
「すばらしい牝馬。しっかり能力を見せてくれた。どんな騎手でも乗りたがる馬だと思います。いいフットワークを見せてくれて、馬場もこなしてくれて、最後の末脚を見せてくれました。3歳の新しいスターだと思います」

2着アルマヴェローチェ 岩田望来
「ポジションは問題なかったし、やりたい競馬ができた。結果だけが残念。相手も伸びていましたから。力差はないと思いますし、巻き返したいと思います」

3着リンクスティップ M.デムーロ
「スタートをうまく決めることができず後ろから。馬場が不安でしたし、ペースが上がるまで時間がかかりましたが、ずっといい脚を使ってくれました」

4着マピュース 田辺裕信
「もう少しスタートを決めたかったが、ロスなく運ぶことを考えた。内も悪くないと思い選択しました。上位は強かったですが成長に驚きました」

5着エリカエクスプレス 戸崎圭太
「スタートが速いと思っていたし、前に行く形を想定していた。返し馬から落ち着き、折り合いもよかったです。若さがあって、もう少しペースが落ち着けば良かった」

6着チェルビアット 北村友一
「コンディションの良さを実感し、自信を持って臨みました。少し脚を溜めながら競馬をしようと思ったが、イレギュラーな形がありました。もったいなかったですし、馬もかわいそうでした」

※可哀想なのはおまえに乗られた馬だよ()

△エンブロイダリー  1着

◎アルマヴェローチェ 2着
▲リンクスティップ  3着

WIN5はエンブロイダリーを疑っていたのでアルマヴェローチェ1点でリーチ。直線で勝利を確信したのも束の間、お前そんな切れる脚使うのかよと競り合いに負けてWIN4。ガチ勢としては22万の配当にそれほど魅力は感じないけども、そりゃはずれるよりは当たった方がいい。

来週はクロワデュノールが断然人気を集める皐月賞(G1)。この手のパターンはサートゥルナーリアを思い出す。まだ不安が残る中、皐月賞を勝ってみんな安心したタイミングで北村友一がやらかすパターン?あれがダービー勝つイメージってわかないもんなあ。

※オマケ