川田将雅、坂井瑠星より実質上は誰?各陣営の本音と建て前が明暗分けたアイルランドT【回顧】
ピュアな競馬民ほど騙される
東京11Rアイルランドトロフィー(G2)芝1800
12日に行われた東京メイン・第1回アイルランドトロフィー(G2)は、外から伸びた岩田望来の4番人気ラヴァンダ(牝4、栗東・中村直也厩舎)がアンゴラブラックを半馬身差で退けて優勝。前走の仲秋S(3勝)でオープン入りを決めた直後に重賞初制覇を成し遂げた。
ところで第1回ってなんなん?こんな大昔からあるレースなのに。条件をコロコロ入れ替えるからやぞ。
本レース前の戦績【2.3.5.5】が示す通り、重賞で通用する力は持っていても1着に縁がなかったラヴァンダ。条件クラスに出走するのは反則級と評した前走にしても、重賞の好走が3着までで賞金の加算に失敗していたことが理由だ。
この勝利で待望の重賞タイトルをゲットしたからには、次走はエリザベス女王杯(G1)が目標となるだろうか。
アイルランドトロフィー全パト
個人的な話をすれば、本馬はド迫力の追い切りで特注をつけた秋華賞(G1)でも馬券の買い目に足した逸材。じゃあなぜWIN5の買い目に入れなかったのかという話になるが、それはこれまでレースをずっと見続けて、ボンドガールのような勝ち切れないタイプだと考えていたからだ。自己条件の前走でもマイネルチケット相手にアタマ差の接戦をしていたのを見て、よりそう感じていた。
そして、この勝利を後押しした岩田望来の手綱捌きが見事だったことも覚えておきたい。
馬の足を引っ張る騎乗をする騎手に辛辣な評価を下している当方であるが、それは一向に成長や学習をしない場合に限られる。デビュー当初の岩田望来は2世ジョッキーにありがちな慢心が随所に見られ、最強エージェントのお陰で馬質だけは恵まれても肝心の実力が追いついていなかった。
それは同期が次々と重賞勝ちを収めていく中、最も馬質に恵まれていながら97連敗を喫した過去の苦い経験が物語っている。
ハンパに大金を稼げるようになったこともあってか、新地で飲み歩いて厩舎の調教に遅刻する失態もあったという。こういったことも重なって藤原英昭厩舎からのフリーに繋がったのだろう。
当方も100連敗すれば記事にしてやろうと思っていたくらいだが、アンチというのは叩きたいからこそ色々とチェックする生き物でもある。マスクトディーヴァ推しだけに、スムーズに乗れていれば勝てた可能性のあった秋華賞や東京新聞杯(G3)の騎乗にストレスも溜めこんだ。
しかし、そうやって見ている内に彼の騎乗するレースで、段々文句を言わなくなっていく自身に気付いたのだ。
きっかけとなったのは、阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)のアルマヴェローチェ。騎乗予定発表前まで本命を打っていた馬だが、岩田望来の名前を見て心変わりしたものの、こちらの低評価を嘲笑うかのようにG1初優勝。もしかして上手くなってきているのかと半信半疑で見守る内に疑惑が確信へと変わっていった。
決定打となったのは今年の阪神大賞典(G2)である。おじさんの手のひら返しがよくわかるから一読してみて欲しい。
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岩田望来の重賞勝ち
私以上にしっかりと見ている人からは「遅過ぎるよ」と突っ込まれそうだが、アンチからのチェンジだからそれだけ時間を要したと理解してもらえれば幸い。それはWIN5専門の評論家だからといえば許してもらえるか(笑)。
岩田望来のWIN5成績(2025年10月14日現在)
武者修行で欧州にいた期間もありながら、WIN5リーディングでトップの時期もあった。復帰してからも順調に勝ち星を加算し、再び1位を狙えるところまで上昇している。馬質で上回る川田将雅やガシマンと比べてもそれ以上の数字を残し、圭太ちゃんなんか話にならないほどだ。
岩田望来のWIN5成績
キャリアハイだった昨年の10勝に今年は10月半ばで追いついた。望来のせいで負けていた2着が減っていき、成績も回収率もうなぎ上り。ここからさらに勝ち星を伸ばしていくことだろう。
で、ここまで長く岩田望来特集をしてしまった関係で、肝心のアイルランドトロフィーの話が随分と後回しになってしまったのでそろそろ手を付ける。
なぜ後回しにしたのかは、この増減が激し過ぎる馬体重。当方の◎はセキトバイーストだったが、これを見た途端にほぼ諦めた。
まず上位を争うはずのアドマイヤマツリが16キロ増、セキトバイーストに至っては20キロ増、カナテープにしてもレコード更新の関屋記念(G3)を激走した反動で14キロ減だもの。
WIN5の締め切りは14時25分で馬体重発表が間に合うかどうか。とっくに購入していたのだから「知らんがな」というしかない。馬体重的な感想だと「本気で勝ちに来た馬しか好走していない」レースにも映った。
それでは各馬のジョッキーコメントとともに触れたい。
ジョッキーコメント
1着ラヴァンダ 岩田望来
「外枠でしたし、他に行く馬がいたら行かせてその後ろと考えていた。プラン通りの競馬が出来たと思います。本当にレースセンスが良い馬だと感じています。逃げも追い込みも出来ますし、操縦性が高いところがこの馬の一番の強さだと思います」
※賞金を加算しないと出したいレースに出せないから陣営も本気で勝ちに来た。前走もトライアル代わりに一叩き。騎手の好騎乗もあって100点満点の結果だろう。
2着アンゴラブラック 戸崎圭太
「内枠でロスなく運べました。逃げた馬の後ろから終いを伸ばすイメージで、その通りの競馬ができました」
※戸崎を乗せて3連勝するような馬が弱い訳がない(定期)。現状の力は出し切った。初重賞挑戦でこれだけやれたら上々。
3着カナテープ 佐々木大輔
「前に壁を作りながら脚を溜めることができた。直線で前の2頭がバテそうだったので、早めにパスしましたが、マックスのギアに上げるのが早かったです。結果的にもう少しジワジワとゴールに向かって上げて行きたかった」
※キング用にMAX仕上げした後のタイミングで大輔は可哀想。それでも反省しているところは彼の向上心だ。馬の方はもうお釣りがなくなったと思う。
4着ライラック 石川裕紀人
「僕が乗った中で過去一番の状態だったので自信を持って乗りました。この馬の決め手を生かす競馬に徹して、道中は最高の手応えでした。勝ち馬の決め手が上という感じ」
※一部の穴党が狙っていた。1800石川裕紀人案件で注目していたが、ハナ差で残念賞。惜しい。
6着ホウオウラスカーズ 木幡巧也
「枠がもっと内だったら、ひとつふたつ前のポジションを取れたと思います。前走は上手くはまった感じですが、こういう競馬を続けていければ」
※穴で一発ならと警戒したけど巧也が位置を取りに行ったのは誤算。大穴の人馬が色気を出して失敗した感じ。こここそ死んだ振りで直線だけの勝負をして欲しかった。
7着アドマイヤマツリ 武豊
「良いペースで折り合いは問題ありませんでした。しかし、最後の100mで苦しくなってしまいました。久々で体が増えていましたし、次はさらに良くなると思います」
※先行脚質と内枠でサトノシャイニングと同じ乗り方は想定内。ペースにしても1000m通過60秒8で超スロー。元々そこまで切れる脚のないタイプで上がり勝負も向かなかったか。それ以前に馬体重増え過ぎ。
9着ボンドガール ルメール
「道中は落ち着いて折り合いも良かった。勝った馬の後ろぐらいにつけて直線に向きました。しかし加速できず、伸びませんでした。(敗因は)よくわかりません」
※来ても2着までと考えていた馬が、原因不明級の凡走。別にルメールが悪い訳でもない。どちらかというと腹を決めて逃げ馬にしなかった武豊と厩舎の問題か。脚質転換しなければスプリンターズS(G1)くらい勝てたかもしれない。
10着セキトバイースト 浜中俊
「休み明けでしたが雰囲気は悪くありませんでした。最後は伸び切れませんでしたが、次は変わってくれるのではないかと思います」
※春のパフォーマンスとは雲泥の差。休み明けでもそれなりに仕上げてくる四位厩舎としては、あまりにも緩め過ぎた?
乗り込みはそれなりに速い時計も出していて、追い切りもそこまで悪くはなかったが……。
というわけでこのレースは、いかに公正競馬を信じてはいけないかが分かる結果。出すからには全馬が勝つためにベストを尽くしていると考えてはいけない(戒め
そういう意味では賞金加算が絶対条件のラヴァンダ陣営がガチだったのは間違いないね。









