先週までの京都から阪神の開催へと替わる今週末。「シン・阪神競馬場」としてリニューアルされ、オープンを彩る各種イベントも用意しているらしい。阪神競馬場リニューアルオープン(第1回阪神競馬)のご案内【阪神競馬場】。春は4月6日に大阪杯(G1)、13日に桜花賞(G1)が控えており、クラシックシーズンを盛り上げてくれそうだ。
そんな仁川の開幕週を飾る重賞はチューリップ賞(G2)。桜の女王を夢見る3歳牝馬たちの熱い戦いに期待したい。
ただ、その前にWIN5の対象レースとなる10R伊丹S(3勝クラス・ダート1800m)もまた注目のレース。というのも将来のダート王候補2頭が出走を予定しているからである。
二強を形成するであろう1頭は、川田将雅とコンビのジンセイ(牡4、栗東・庄野靖志厩舎)。デビューから芝の中距離をコンスタントに使われ、3歳時にはすみれS(L・5番人気4着)や青葉賞(G2・15番人気15着)とクラシックを目指したが壁にぶつかり自己条件で仕切り直し。1勝クラスを快勝すると2勝クラスでも3着に善戦し、悪くない成績を残していた。複勝率も高く、このままよくいる馬主孝行な馬になると思われたが、ダートに転じた前走の2勝クラスで2着馬に7馬身差をつける圧勝劇を演じたのだから、見方を変える必要も出てきた。
ジョータルマエの逃げを2番手から“煽り運転”でもしているかの如く競り落とし、直線は楽に突き放してのワンサイドゲーム。4角先頭の強気な競馬ながら、上がり最速をマークする優秀な内容でもあった。代打で手綱を任された西村淳也もレース後に「スイスイ進んだ。ラストも余裕。強いレース」と振り返っている。
もう1頭はWIN5で好調なロードホースクラブの素質馬ロードクロンヌ(牡4、栗東・四位洋文厩舎)。こちらもデビュー戦から芝のマール~中距離を使われて善戦止まりだったが、昨年8月札幌でダート戦に転じると、トントン拍子で3連勝。ジンセイの7馬身差に対し、8馬身差で大楽勝をした。今回は2頭合わせて計15馬身差の対決となる訳である。
お互いに流していたとはいえ、勝ちタイムも上がりもロードクロンヌが0秒1上回った。誤算の範囲といえそうだが、互角の戦いに期待出来そうだ。
まあこれを見ると、ムルソーとオーサムリザルトの怪物ぶりも間接的に伝わるが、ジンセイやロードクロンヌも無敗であり、今後の伸びしろにまだ期待できるだろう。
では次に血統的な面から分析してみたい。
父ジャスタウェイはヤマニンウルスと同じ。母父父のストリートクライはドバイワールドC(G1)の勝ち馬で、先日のサウジC(G1)で2着だったロマンチックウォリアーと同じ。サンデーサイレンスの3×4という奇跡の血量のオマケもついている。そりゃダートも走る訳だ。
ロードクロンヌはリオンディーズ産駒。ロードのカナロア産駒がやたらと勝っているという話を以前の記事でしたこともあるが、リオンディーズもまた好成績を残している組み合わせ。昨年のWIN5でもダートのレースでトップ級だった。キングマンボの3×3ならダートで走るのも納得だ。
次に騎乗予定騎手の成績を比較する。
WIN5における阪神ダート1800m条件は、川田将雅が【10- 4- 2-17/33】の勝率30.3%、連対率42.4%、複勝率48.5%。対する岩田望来は【4- 1- 3- 8/16】勝率25.0%、連対率31.3%、複勝率50.0%とほぼ互角である。もちろん、両者の騎乗馬の質に差があるとイメージしそうだが、そこは最強エージェントのいる望来だけに遜色なし。いかにこいつが恵まれた環境なのかも伝わる。
結論から話すと明確な優劣を決め難い2頭となった。ただ直接対決が実現するなら1頭は無敗馬ではなくなる。勝った方はさらに上のクラスでも通用するはずだ。個人的な見立てでは、まだ1戦のジンセイより3連勝中のロードに分があるような気もする。
そして、思い出したいのは前回の記事で触れた最近のWIN5で続いている1番人気馬の連敗。おそらく2頭のどちらかが1番人気に支持される可能性が濃厚のため、この1番人気馬が10連敗中という不吉な記録のストップもそろそろかもしれない。
しかし、気を付けたいのがWIN5の性格の悪さだ。今回は大多数のファンが1頭もしくは2頭で通過を試みるだろう。残念ながら前走の勝ち方が酷似しているため、下手をすると3コーナーあたりからマッチレースになる可能性もある。
前傾ラップで押し切ってきた2頭だが、相手が一気に強化されることで共倒れする未来もある。サウジCのように3着馬を置き去りにするパターンなら安心できるが、何があっても驚けないのも競馬。こういうときに怖いのは3番手4番手で虎視眈々と間隙を突けるタイプ。3番人気想定のミッキークレストにとっては展開の味方も期待出来る。
本馬もジャスタウェイ産駒でWIN5のダート条件の成績がいい大久保龍志厩舎の管理馬。坂井瑠星が手綱を取り続けている素質馬でもあり、一発の魅力を秘めている。
無理に他の穴馬を探さなくても、高配トリガーを引ける存在だ。