結論はナムラクレアともう1頭…枠と馬場が悩ましい中京11R高松宮記念の予想【WIN5】
ここまで無事生き延びていれば、最終関門となるのが高松宮記念(G1)だ。ひとつ前のマーチS(G3)も荒れ放題のレースだが、こちらも負けず劣らず惨状が続いている。過去10年で1番人気馬の勝利は2016年ビッグアーサーまで遡らないといけない。
少し前までは大体4番人気以内くらいで収まっていた気もするが、やはり絶対的な王者がいないのは荒れる要素。中距離はともかく現在の短距離路線はとにかくカオスだ。
かといって上位陣が全く駄目なのかというとそうでもない。昨秋のスプリンターズS(G1)で穴を出したルガル、ぽっと出で1番人気に支持されたサトノレーヴも新勢力として台頭。そんな状況下でありながらも、浜中俊の分だけ負けていたのがナムラクレアである。
遠回りをしたこともあり、6歳牝馬と妙齢に差し掛かったが、ようやく陣営もルメールさんの起用を決断し、G1で勝てない浜中や武史の呪いから解放された。
クラブ馬なら繁殖入りさせられる年でも現役続行を選択したのは、ヤレそうでヤレない女にこだわるオーナーの期待。個人馬主だからこそというのも大きいね。
ただ今回は7枠14番がどうかってところ。そうはいっても2年前に7枠15番で2着に来ているのだから、そこまで不安がる必要もないか。そもそも抜群の安定感が本馬の魅力。先述した画像でも22年のスプリンターズS5着、ヴィクトリアマイル(G1)8着、昨夏のキーンランドC(G3)5着を除く他レース全てで馬券圏内。近走は差す競馬でも結果を残している。
となると後はルメールさんにお任せするしかないね。
先週の愛知杯(G3)で外からの追い込みが決まったように、現在の中京芝は外差し馬場。土曜に開催された全レースを映像で見直してみたのだが、先に抜け出しても差し馬の餌食になる馬が多かった。中距離は差しが決まる中京でもあるからして、本当は同じ1200で見たかった気もするが、JRAは用意していないんだよな。
一応、馬場状態については悲観しなくてもよさそう。開催当日の日曜中京ですらあまり意味のない未勝利がひとつある程度。ここはもう決め打ちで外差しが決まると考えた方が楽だろう。
ただ、それでも最短距離を走れそうなマッドクールは怖い。おじさんからガシマンという愛すべきあだなをつけられた坂井瑠星という若者は天運の持ち主なのだ。最内を引いたからには、小細工せずに逃げ先行策が予想される。こういうときに周りの出方を見てどうこうではなく、自分のやるべきことをするだけというのは強い。
昨年は内しか伸びない馬場だったことも味方してくれたのは確かだが、それをしっかり読み切ってイン突きしたナムラクレア浜中は持っていなかった。こういうのはもう「持っているか持っていないか」である。おじさんも持っていない側の人間だから尚更よくわかるよ。浜中だけが悪い訳じゃないんだよきっと。そういう星の下に生まれた運命だよね。
対するルメールは芝のスプリント重賞で悪くない成績。馬券の軸としてならナムラクレアだろうけど、1着でと考えれば本当に浜中俊が疫病神だったのかどうかも分かるのではないか。
それに今年のルメールだっていつもほど流れがいい訳じゃない。ブレイディヴェーグ、チェルヴィニア、そしてアーバンシックと大本命で取りこぼした。これは自身の騎乗以前にパートナーの状態が本調子になかったこともあるだろう。
その点、ナムラクレアほど勝負掛かりの仕上げで出てくる馬はいない。我々ファンはとかく陣営やマスコミの甘言に騙される。レース前までは順調とか申し分なしとか言いつつ、レースが終わって凡走した途端に、「実は…」とか抜かすんだよアイツら。これじゃ週刊実話と大差ない信頼性だわ。
それでもナムラクレアは信じていい。うん。
でも俺はあえてガシマンのツキに賭けてみるよ。この馬は小倉の超速馬場で1分6秒9をマークしているし、重馬場で2戦2勝と渋った馬場も苦にしない。だからこそスプリンターズSの惨敗は腑に落ちないものの、あそこまで負けたらスッキリする。
阪神C(G2)の内容なら勝ち負けは展開次第。距離も1ハロン長かったと思えば逆転も可能だ。何も考えないでいいだけ有利と見る。
不気味なのはやっぱりルガルか。去年は1番人気で10着と大敗したが、レース後に骨折も判明。ファンが手のひらを返したスプリンターズSを9番人気でアッと言わせた。
だが、このレースは非常に特殊だったことも思い出したい。当時の中山はまだまだ高速馬場が続いており、行かない奴に用はない馬場状態でもあった。中山芝1200ってのは、マジのマジに行ったもん勝ちのコースであり、過去にも人気薄の逃げ先行馬が荒らしに荒らしてきた。
これを見ても分かるように、上がり最速なんかいらないコースなのである。しかも去年はピューロマジックという稀代の最速馬がいたため、あの馬の逃げにビビった連中は躊躇して控えた。だからこそ思い切りのよかった西村淳也に勝利の女神が微笑んだのだ。
つまり、この高松宮記念にはピューロマジックがいないだけでなく、中山と違って残り放題の特色もない。G1を勝った馬を貶めてもしょうがないとはいえ、あれはルガルという馬よりも西村淳也の決断力が優勝したレースだと考える。
となれば今回はそんな追い風は期待しにくい。スプリンターズSは勝つべくして勝ったが、高松宮記念は馬の実力もないと勝ち切れないはずだ。
で、当然ながらそんな舞台でやらかしてしまったトウシンマカオ、ナムラクレア、ママコチャだって弱い訳がない。
トウシンマカオは左回りで結果が出ていなかったが、菅原明良を乗せたセントウルS(G2)は強い競馬でママコチャを撃破。3歳だったルガルを京阪杯(G3)で軽く捻った力もある。
しかし、陣営が残念なのは明良ではなく今の武史を選んだことだ。正直、明良なら◎も考えていたくらいだが、今の武史は持ってない流れの真っ最中。若さは勢いで何とかなるが、現在は本当の実力を求められている正念場。ここを勝てば復活するかもしれないが、まだ様子見したい。
WIN5は以下の結論だが、馬券は少し遊んでみたいレース。みんながみんな外差し馬場というなら、あえて内枠を狙ってみるのも面白いんじゃないかと思う。
だって乗るのは俺たちじゃなくて騎手でしょ。多くの騎手が内を空けて乗るようなら、外枠の騎手はさらに外に追いやられる公算。こういうときに馬場の悪かった阪神でインから伸びたオフトレイルや渋った馬場が得意なトゥラヴェスーラ、とりあえず前に行くしかないウイングレイテストなんか3着の大穴候補で入れておきたいところ。
サトノレーヴは北海道の洋芝で好走し、超速のスプリンターズSで凡走したから、香港スプリント(G1)の3着も含めてモレイラ人気もするだろう。でもなあなんかしっくりこないんだよねえ。左回りも中京も走ったことないんだものこの馬。中間の動きは凄くいいけど、どうせ来られたら配当安いと思えば旨味もない。
◎マッドクール
○ナムラクレア
▲ママコチャ
△トウシンマカオ
×ルガル