「落鉄」より響いた川田将雅、ルメールの判断…間違わなかった騎手が上位独占【NHKマイルC】

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「落鉄」より響いた川田将雅、ルメールの判断…間違わなかった騎手が上位独占【NHKマイルC】

前半33秒4でもレコード更新ならず

東京11RNHKマイル(G1)芝1600

11日、東京競馬場で行われた3歳マイル王決定戦・NHKマイルC(G1)は、松山弘平が騎乗した9番人気の伏兵パンジャタワーが優勝。2着に武豊の3番人気マジックサンズが、3着にM.ディーの12番人気チェルビアットが入った3連単の払戻しは150万5950円の大波乱となった。

ノーマークから殊勲の大金星を挙げた松山のJRA・G1勝利は21年12月チャンピオンズC(G1)テーオーケインズ以来。アタマ差で惜敗した武豊も後方待機策から、直線でインを突く奇策を披露したが、あとわずか。超人気薄のパートナーを馬券圏内に導いたディーの存在感も光る。

総合的にレースレベルは疑問?

勝ちタイム1分31秒7については、むしろ予想より少し遅い。というのも、芝1800mで争われた前日土曜のメイン、エプソムC(G3)で”稍重だったにもかかわらず、レコードが更新される珍事”が発生していたからだ。

年々異常な高速化の目立つ中央競馬だが、今週の造園課はやりたい放題。皐月賞(G1)で史上初のCコース開催を敢行したことでも話題となったが、今年の「魔改造」は「いつにも増してあからさま」である。

1800のエプソムCの1600m通過すら1分32秒0であり、これは過去10年のNHKマイルで9年の勝ちタイムを上回っている。

通過でもない1600m戦、稍重でもなく良に回復した馬場、しかもG1なら0秒3しか短縮されなかったのは意外にすら映る。一応、歴代3位の好時計ではあるものの、レースレコードの1分31秒4(2010年ダノンシャンティ)、や1分31秒6(21年シュネルマイスター)に後れを取った。

全パト映像

ただ、馬場の傾向としては常識にかかる部分もある。

本当に酷い馬場設定の場合、速過ぎる時計でも後ろの馬が届かずに前残りするという公正競馬らしからぬ結果が出やすいのだが、現在の超速馬場に関しては、飛ばし過ぎると止まってハイペースなら差しが決まる常識の範囲内。単純に普通の予想が成立するため、当方の嘆く「超速うんこ馬場」ではない。そういう意味では各馬に騎乗した騎手のラップ感覚やポジション取りが着順に反映されたといえよう。

やはり最初に触れておきたいのは、抜けた1番人気に支持されながら14着に大敗したアドマイヤズーム。惜敗しても大敗しないタイプのため、ここまで大きく着順をとしたのは予想外だった。

レース後に川田は「3角から走りがおかしくなりだしたのですが、よくよく見ると、スタートをして200、300で落鉄をしていたので、その影響がそこから出たなというところです。また改めてです」と相変わらず他人事のようなコメントを出しているが、落鉄だけでそこまで大差はない。過去、落鉄した馬たちにしても、それが決定打になったのかどうかは怪しい事例も多いからだ。

追い切りの動きは申し分なかったし、これなら大丈夫だろうという想いもあった。SNSで見掛けた話によると発汗が凄かったとか、初の東京コースで入れ込んでいたという話もチラホラ。それでも本馬にとって歓迎の馬場状態だったことを思えばしっくりこない。

もしかしたら故障の可能性まであるかもしれないが、朝日杯フューチュリティ―S(G1)を勝ったといっても他馬を圧倒というより、馬場と展開がハマった感じ。少なくとも皐月賞(G1)のクロワデュノールほど圧倒的な存在ではなかったのは確かだ。

アドマイヤズーム、イミグラントソングはなぜ凡走したのか

あえて粗探しをするとしたら、33秒4で暴走した浜中俊のヴーレヴーを強気に追い掛け過ぎたかもしれないこと。川田は3番手につけた上、この激流を強気に直線2番手まで押し上げている。これは明らかにレース展開にマッチしていない。落鉄のみを敗因にする弁明は責任逃れにも映る。イミグラントソングに差されたニュージーランドT(G2)をさらに悪化させた印象か。

ただ、そのNZTでアドマイヤを差し切ったイミグラントソングも、ルメールに強制スイッチして11着では降ろされた石川裕紀人が可哀想。いずれにしてもNZTは昔のように東京で開催した方がいい。中山と東京ではコース適性が異なるため、あまり意味がないからだ。アドマイヤと違って東京コースの経験はあったが、出走するために仕上げ過ぎた前走がピークだったかもしれない。あー、見てみたら川田の直後4番手で直線入ってるわ。ルメカスだねえ。

惜しくも取りこぼしたマジックサンズは勝つだけのポテンシャルの高さは持っていた。これは予想記事で触れた通り、馬場が速過ぎたがゆえに差しが決まりにくかった影響もあるだろう。馬群を捌くため追い出しを待ったことが、外からスムーズに伸びた勝ち馬と勝敗を分けたか。もし勝っていれば2006年ロジック以来のNHKマイルC制覇となっていただけに残念だ。

3着チェルビアットはゴール前でも差を詰めていたように惜しい競馬。正直、人気馬でWIN5対象レースの騎乗がなかったディーはよく見ていなかったのだが、枠に沿ったインで脚を溜めて直線も何とか馬群を捌いてよく伸びた。もう少し早くスペースができていれば勝っていたかもしれないと思えるほどだったのだから、こういう騎乗ができるのなら乗れる騎手として認識していい。少なくとも桜花賞(G1)で下手に乗った北村友一とは違う。あれを見て皐月賞も危ういと予感した。

残念過ぎるコートアリシアン

最も印象的だったのはスタートで大出遅れをしてしまったコートアリシアン。同じ穴党でもマピュースを狙う層とコートアリシアンを狙う層は経験の差があったはず。マピュースは罠と説明した当方と同じくSNSでもコートを狙っていた声を見掛けたが、あれじゃさすがに厳し過ぎる。

横山典弘でもここまでやらない

ちなみにこれ、映像を見直してみるとスタート時にサトノカルナバルが外に向かって出ているんだよね。いつぞやの安田記念(G1)で内に逃げたロジクライと逆パターン。だからこそ被害が出なかったともいえる。

それでもインを突いた直線の伸びは素晴らしく、あれがなければ馬券に絡んでいたと思えるだけの走りを見せた。この辺はさすが菅原明良だね。東京の菅原明良は脳死で買えって話だ。

個人の話をすると最初から最後まで造園課に振り回された結果とも感じる。土曜の結果を見て、稍重から良に回復する日曜は、超速馬場に拍車が掛かると思い、距離適性が1400の馬に分があるというところまでは修正した。

そういう意味では、京王杯2歳S(G2)で差し切り勝ちを決めたパンジャタワーの激走に驚けないのだが、レーン込みでサトノカルナバルを選択してしまった。松山弘平にしてもここ数年、G1で結果が出ていなかったため、かつて推していた相手でも期待しなくなっていた。これをきっかけにまた再浮上してくれればいいが。

できればオークスやダービーで観たかった2頭

レースそのものの評価としては、現在の馬場を考えればレコードを更新できたはずだったにもかかわらず、出来なかったからにはレベルが高い訳じゃないという見立て。皐月賞上位組やファンダムがいれば普通に勝ってたかもしれない。

そして最後に大誤算だったのは、オークスで狙いたかったチェルビアットとダービーで狙いたかったマジックサンズがNHKに出てきたこと。どちらも穴馬として温めていたのに台無しだね。間隔が詰まり過ぎる前者はともかく、マジックサンズはまだマツクニローテの可能性がゼロではないか。

★コメント

1着パンジャタワー 松山 「(4年ぶりG1制覇に)もう最高。スタートを上手に出てくれ、本当にリズム良くいい形の競馬が出来た。最後は必死に追っいました。デビュー時から凄く力のある馬と思っていて、しっかり伸びてくれた。まだまだ馬は成長できると思いますし、本当にこれからが楽しみです」

2着マジックサンズ 武豊
「レース前テンションが高く馬混みはやめた方が良いと思った。狙ったレースはできた。あと少し。惜しかった」

3着チェルビアット ディー 「プランとしてはリズム良く走らせたいと思い、あの位置。入れ込むところがあったのでリラックスさせていましたが、競馬に行ったら引っ掛からず、スムーズな競馬でした。直線でもすぐ反応してくれました。あそこまで行ったら勝ちたかった。素晴らしい走りでした」

4着モンドデラモーレ 戸崎
「1枠だったので内々で上手く折り合って、脚を溜めた。追ってからのフットワークがもう一つ。そこが変わってくれば良いですね」

5着ランスオブカオス 吉村
「想定よりペースが流れたところで追走したのと、内外の差があったのかなと思います。外から中団にいた、きれいなところを走っている馬達が明らかに伸びていますので、もう少し良いところを走らせてあげれば良かった。僕のミスがあったかなというところはあります」

6着サトノカルナバル レーン
「外枠から良いスタートを切ってくれた。壁を作るのに一列ぐらい後ろになりましたが、道中はリズム良く、手応え良く運べた。直線でスペースを作るために外へ持ち出し、残り400mでは良い脚を使ってくれました。力を出し切って頑張ってくれたと思います」

7着マピュース 田辺
「無理にポジションを取って深追いをするとリズムが悪くなるので、じっくり脚を溜めた。結果的に最後は脚色が一緒になってしまいました。馬場が昨日の雨で緩んでいればもう少しやれたかもしれません」

11着イミグラントソング ルメ
「1番人気馬の後ろでちょうど良いポジションで手応えはずっと良かった。しかし坂を上ってから伸びませんでした」

12着ミニトランザット 克駿
「ポジションを気にせず、リズム良く折り合えるところで競馬をした。道中は良かった。勝ち馬が見えるポジションにいたし、直線ではグッと来て、おっ、と思いました。しかし、坂で苦しくなってしまいました。成長途上です」

14着アドマイヤズーム 川田
「3角から走りがおかしくなりだしたが、スタートして200、300で落鉄した影響がそこから出たなというところです」