シックスペンス、ジャンタルマンタルも不安…穴狙いに最適な安田記念の展望と攻略ポイント
一筋縄ではいかなさそうなメンバー
東京11R安田記念(G1)芝1600
ウインマーベル 松山弘平
ウォーターリヒト 菅原明良
エコロヴァルツ デムーロ
オニャンコポン 未定
ガイアフォース 吉村誠
グラティアス 未定
サクラトゥジュール レーン
シックスペンス ルメール
ジャンタルマンタル 川田将雅
シャンパンカラー 内田博幸
ジュンブロッサム 武豊
ソウルラッシュ 浜中俊
ダディーズビビッド 池添謙一
トロヴァトーレ 横山武史
ブレイディヴェーグ 戸崎圭太
ホウオウリアリティ 丹内祐次
マッドクール 坂井瑠星
レッドモンレーヴ ディー
ロングラン 岩田康誠※登録19頭。フルゲート18頭。
NHKマイルC(G1)を皮切りに東京で始まった怒涛のG1・5連続開催もついに最終章。番組改編の関係で今週の安田記念(G1)が終わると、息を抜く暇もなく翌週には宝塚記念(G1)の開催が控えている。
個人的にはグラスワンダー(1999年)、ダンツフレーム(2002年)、スイープトウショウ(2005年)のような安田から宝塚に向かうのも好きだっただけに、このローテーションが消滅してしまうのは残念。それでも前倒しによって、梅雨を避けられるのと夏競馬への切り替えが早くなるのは、各陣営にとっても、いいことなのかもしれない。
メンバー的にも見応えがありそうな今年の安田記念だが、やはりダービーウィークからCコースへと切り替わったことは無視できない。それまで差しが決まっていたにもかかわらず、一転して元通りの前残り馬場に変貌を遂げたからだ。こうなると追い込み一手の不器用なタイプの末脚不発を警戒しなければならなくなる。
そう考えると馬場と展開でアドバンテージを得られるクロワデュノールのようなタイプに展開が味方しそう。では改めて有力各馬の近況からチェックしてみたい。
シックスペンス(牡4、美浦・国枝栄厩舎)
昨春の東京優駿で3番人気9着のみとクラシックには縁がなかったが、その後にG2の毎日王冠と中山記念を連勝。中山記念では相手が1キロ重かったとはいえ、ソウルラッシュを撃破した。スタートセンスとスピードに優れており、道中で届かない位置にいることがないのも強みだ。
しかし、芝2400mの距離が長いのは分かるにしても、普通にこなせそうな芝2000mの大阪杯(G1)で1番人気を裏切る7着に凡走したのは懸念材料。先行有利の高速馬場で3番手につけたにもかかわらず、騎乗した武史のコメントは「G1の流れでガス欠」をしたとのこと。
舞台設定としては楽勝した毎日王冠と同じ府中で距離も1ハロン短縮なら問題なさそうだが、あの手の意味が分からない凡走のあとだけに気持ち悪さが残る。
結果的に馬の力で誤魔化したヴィクトリアマイル(G1)をアスコリピチェーノで勝てたものの、鞍上のルメールもマイル戦は決して得意ではない。負けても割と他人事のようなコメントを残す騎手ということもあり、盲目的に信用するのは避けたいところである。
ソウルラッシュ(牡7、栗東・池江泰寿厩舎)
遅咲きのマイラーは、4連勝で臨んだ3年前の安田記念で6番人気13着に惨敗。勝負どころで進路をなくしたことも痛かった。この敗戦をきっかけに浜中俊から松山弘平にスイッチしたが、G2でも勝ち切れないシーンが続いた。
ところが、23年マイルCS(G1)で初コンビを組んだモレイラが2着に持って来てから急上昇。ついには昨秋のマイルCSで団野大成にG1勝利をプレゼント。香港マイル(G1)で2着、中山記念の3着を挟んだドバイターフ(G1)で、あのロマンチックウォリアーを撃破する大金星を挙げる程の成長を見せている。
見方によっては、サウジC(G1)に続けて連敗を喫したロマンチックウォリアーの衰えも考えられるが、それでも非常に価値ある勝利だった。ただ、この勝利は鞍上のクリスチャンを含めてのもの。当方もモレイラ以上と評価している腕利きのプラスアルファは大きい。
そこへきて今更になって浜中と和解する格好の再コンビもいただけない。ドライなのは結構だが、敗戦の責を押し付けた割にあまりに節操がなさ過ぎる。残念ながら浜中の騎乗も大幅割引である。
ジャンタルマンタル(牡4、栗東・高野友和厩舎)
鮫島克駿のG1初勝利が約束されたはずの朝日杯フューチュリティS(G1)だったが、非情過ぎる川田将雅の強奪事件が発生。オーナーサイドからすれば万全を期してということだろうが、負けていないコンビの強制的な解消はさすがに人の心がない。
これはサートゥルナーリアのミルコ→ルメール、ドルチェモアの和生→ガシマン、アルマヴェローチェの武史→望来にも通ずるところがあるのだが、こちらの心情を逆撫でするが如く、いずれも勝利しているのが胸糞悪い。
東京のマイル戦はNHKマイルC(G1)を制したように舞台設定は向く。ただこのレースも川田将雅の性格の悪さが隠し切れなかったように、狙ってるアスコリピチェーノの進路がなくなるように壁を作って押し込めた。勝負事という意味では技あり騎乗に見えて、明らかにハメようとする意図が伝わる手口。自分が同じことをやられたら鬼の形相で切れる割に他人には平気でやる。川田将雅の人望がないのも分かる話である。
しかし、前走の香港マイルで不可解な13着に大敗したのは謎。幸い1週前の追い切りでは申し分のない動きを披露した。もしかしたら鞍上と同じく内弁慶な馬かもしれない。
ウォーターリヒト(牡4、栗東・石橋守厩舎)
ノーマークの逃げで完全に勝ちパターンに持ち込んだメイショウチタンを最速上がりで差し切ったの東京新聞杯(G3)は目の覚めるような走り。昨春のNHKマイルCは前残りの展開でジャンタルマンタルの8着に敗れたが、早熟タイプの多いドレフォン産駒としては遅咲き。
人気では一枚落ちるが一発の魅力はメンバー随一。東京で抜群の菅原明良とのコンビも非常に頼もしい。勝ちタイム比較でクイーンC(G3)のエンブロイダリー(1分32秒2)に0秒4の後れを取った1分32秒6は気掛かりだが、後ろから行く馬に時計はそれほど関係ない。
とはいえ、肝心の東京が前残り馬場に切り替わったことは痛恨。溜めて切れる脚を使えても、出していくと同じ脚が使えなくなるのはよくある話だ。出走メンバーに逃げ先行馬がおらず、ポジション取りにも注意が必要だろう。
ブレイディヴェーグ(牝5、美浦・宮田敬介厩舎)
昨秋のマイルCS、今年の東京新聞杯でともに1番人気に支持されて4着。春のドバイターフも7着に敗れて安定感がなくなった。鋭い末脚が魅力の一方、ルメールはマイルでは短いとコメント。それでも再びマイルG1に使ってきた意図は疑問だ。
有馬記念(G1)のレガレイラでルメールがいつも正しい訳ではないことも表面化したため、同じくルメールから戸崎圭太に乗り替わるのは歓迎材料ともいえそうだ。
とはいえ、オイシイところだけ持っていくのがルメールだけに、空気を読まない戸崎圭太頼み。後ろからの馬に前残り馬場も苦しいか。
上位人気馬がアテにならない
ここまで名前の上がったシックスペンス、ジャンタルマンタル、ブレイディヴェーグは割と原因不明の凡走をした後の一戦。かといって肝心のソウルラッシュも浜中、ウォーターリヒトも追い込み馬で展開に左右されるタイプ。穴人気するトロヴァトーレにしてもルメールが選ばなかった馬である。
前走のマイラーズC(G2)で復調気配の見えたジュンブロッサムは、昨年の富士S(G2)でソウルラッシュを差し切った実績があるとはいえ、こちらも差し馬に武豊で先行策は取らなさそう。
このパターンでイメージすると、狙って面白そうなのは展開が向くウインマーベルか。前走の1351ターフスプリントは、アスコリピチェーノにアタマ差捕まったが勝ちに等しい内容。そしてこのレースはソングラインが安田記念と連動することを教えてくれている。
敗れた相手もNHKマイルCで川田にハメられなければ勝っていた可能性が高いアスコリピチェーノだったことを考えると軽視は禁物。そのアスコリピチェーノもヴィクトリアマイルでルメールのミスを帳消しにする勝利を挙げた。
見れば見るほど前に行く馬が不在のメンバー構成。ダービーのショウヘイくらいは走れるのではないか。あ、なんか予想しちゃったな(笑)。