9日のWIN5対象レースは、2場開催ということもあって中山で3つ、阪神で2つ。これまで対象レースだったフィリーズレビュー(G2)も土曜阪神となり、阪急杯(G3)と同じく傾向の変化へつながるかもしれない。
土曜中山は中山牝馬S(G3)も行われ、土曜に重賞が2つある割に日曜は弥生賞のみ。現在の正式名称は報知杯弥生賞ディープインパクト記念だが、何も弥生賞にくっつける必要はなかったと思う。せいぜい共同通信杯(トキノミノル記念)くらいでよかったのではないか。
レースの話をすると、一時期は微妙な時期もあったが、近年はまたクラシックに直結する流れも復活し始めた。過去10年の勝ち馬や敗れた馬の中に後のG1馬がそれなりにいる。
ハズレ年と評すると少々気が引けるものの、カデナ(17年)、メイショウテンゲン(19年)、サトノフラッグ(20年)などは、弥生賞が最も輝いた瞬間だっただろう。その点、他の馬はクラシックや古馬G1を勝っており、伝統の皐月賞トライアルとしての格を付与している。
昨年は新馬と葉牡丹賞を連勝した2戦2勝トロヴァトーレ、新馬とアイビーSを連勝した2戦2勝ダノンエアズロック、ホープフルS2着のシンエンペラーの3頭に人気が集まる「三強対決」の下馬評だったが、まとめて負かしたのは6番人気コスモキュランダ。本馬は7番人気の皐月賞で2着と好走し、穴を開けた。
オッズの谷間を2つも超える盲点となったため、高配トリガーの立役者となった。
以上を踏まえた上で今年の出走予定馬の顔触れを見てみよう。
2025年弥生賞
アスクシュタイン 横山武史
アロヒアリイ 横山和生
ヴィンセンシオ ルメール
ガンバルマン 原優介
クラウディアイ 鮫島克駿
ジュタ 坂井瑠星
ナグルファル 川田将雅
ファウストラーゼン 杉原誠人
ブラックジェダイト 佐々木大輔
ベストシーン 田辺裕信
マイネルゼウス 津村明秀
ミュージアムマイル 幸英明
レディネス 横山典弘
ロードガレリア 戸崎圭太
某キチガイ掲示板によると、ナグルファルとミュージアムマイルが二強、これにヴィンセンシオとジュタが続き、以降は二桁想定オッズのため、上から4頭くらいが人気の集中するゾーン。ポイントは昨年のコスモキュランダのような馬がいるかどうかだ。
では上位人気想定馬の戦績をチェックしてみる。
ナグルファル
注目したいのは12月京都の芝2000m。エリカ賞のタイムは他のレースと比較しても遜色なし。個人的な推しポイントは、きさらぎ賞(G3)で勝ち負け可能と評したリンクスティップと似た勝ち方をしていること。ただ同馬がサトノシャイニングに軽く捻られたことを思えば、過大評価は避けたいところだ。それに他の騎手で勝って川田戻りの馬があまりいいイメージもない。
ミュージアムマイル
暮れの朝日杯フューチュリティ―S(G1)でアドマイヤズームの2着に入った。勝ち馬には2馬身半差の完敗だったが、3着ランスオブカオスには2馬身半差をつけた。
そのランスオブカオスは、きさらぎ賞でリンクスティップからクビ差の3着。パフォーマンス的にはナグルファルもミュージアムマイルも似たような感じかもしれない。
ただこれ、サトノシャイニングにはどちらも敵わなさそうな匂いがするね。そのサトノを遊びながら負かしたクロワデュノールがヤバ過ぎるという話か。最大の割引材料はクリスチャンから幸への大幅な鞍上弱化だ。有馬記念(G1)で大外のシャフリヤールを持ってきた手腕を持ち出すこともなく、最強レベルの名手であり、彼を相手にするとルメールや川田も格下になるほど。距離延長は歓迎でも幸英明の方が悪い意味で怖い。
ヴィンセンシオ
中山芝2000mの舞台設定が援護射撃となるのはヴィンセンシオ。
葉牡丹賞は1分58秒8のレコードで駆け抜けた。当時の馬体も14キロ増で成長分を含めても少し余裕があった。速い時計の決着に対応したスピードも魅力がある。
その反面、2着ゲルチュタール、3着リトルジャイアンツとは騎手次第で着順が入れ替わってもおかしくないタイム差なし。この3頭は同じくらいの実力と考えられるが、ゲルチュタールは同じ中山芝2000の京成杯(G3)で3番人気10着。いくら三浦が乗っていたからといっても負け過ぎの印象が拭えない。
その点、まだリトルジャイアンツは共同通信杯(G3)でマスカレードボールの3馬身差3着に入っただけマシ。だが勝ち馬のみ楽勝したレースの3着という意味では、あまり強調できないかもしれない。
ジュタ
最後にホープフルSで4着のジュタ。スローペースを好位で粘り込み4着に入った。この馬は2022年のセレクトセール当歳部門で3億5200万円という高値で取引された逸材である。
キャリア1戦でG1・4着は上々で、次走の若駒S(L)も1番人気でしっかりと勝ち切った。同レースで半馬身プラスクビ差3着ミラージュナイトは、すみれS(L)でジーティアダマンから1馬身1/4差で2着に完敗。相手が2戦無敗の素質馬であったにしても物足りなさはある。
もしかしなくてもレベルが低かったりする?
うーん、ここまで各馬の戦績を見直してみたが、正直コイツで決まりだって馬もいなかった。今年の牡馬クラシック戦線はクロワデュノールでほぼ決まる想定で、ダービーならマスカレードボールが一矢報いることが出来るかもって程度。エリキングにしても大物感のなさは、川田将雅と同じ。今年は弥生賞よりスプリングS(G2)で穴を探した方がいいのかもね。
念のため、弥生賞でも新馬勝ちの馬をチェックする。ブラックジェダイト、レディネスの2頭が該当するが、スローの前残りとインから上がり最速でハナ差勝ち。不利な展開から馬群を縫うように上がり最速33秒7で勝ったレディネスの方が面白そう。
また、問題なのは先週の開催で猛威を振るった中山の超速八百長馬場。何をどう考えても行ったもの勝ちであり、前々を意識しない騎手はダメ。メンバーすべて前走で逃げた馬はおらず、アスクシュタインやロードガレリアが2走前に逃げている程度ならペースは上がらないだろう。
一通り精査してみたものの、古馬のG3くらいは勝てそうでも、G1級の素材は不在のような気がしている。
それだからこそ狙ってみたい馬も1頭見つけた。個人的には一発を狙えると考えているが、続きは追い切りや枠を見てから。最終的な見解は予想記事で触れたいと思う。