ルメール「完璧騎乗」も連勝は無理ソー…出オチの1番人気11連敗ストップも奇想天外の大波乱【WIN5結果分析】
土曜夜は雪を警戒して前売り発売のなかった中山だが、日曜は好天で問題なし。9日の対象レースは、それぞれ1番人気→7番人気→5番人気→3番人気→7番人気の決着となり、この日の配当はなんと2827万6550円の大波乱。21票の的中だった。
年始から競馬ファンの頭を悩ませるWIN5だが、ここまで非常に難解な結末ばかり。今年に入って最も安かった回ですら12万2380円であり、2番目に安かったのも39万4430円。その他はすべて3桁配当を超えているのだから、当たらないといっても一部を除いてみんな当たっていない。こういう券種と割り切るしかないだろう。
キャリーバブルで興味を持った層が参戦しているからか、最近は売上も徐々に低下。夢から醒めた人間が増え始めたのも納得である。こんな割に合わないギャンブルをやってると人としてどうにかしてしまう。
その一方、今回のWIN5にヤレんじゃねえか?と思わせたのが、ルメールが騎乗した中山9Rスティンガーグラス、中山10Rムルソーの存在だ。いずれも申し分のない内容で前走を快勝。単勝1倍台の断然人気に推されたのも納得がいく。
また、その前に注意を要したのはWIN5の傾向。昨年末から先週までのWIN5対象1レース目で、1番人気馬は11連敗中だった。この負の流れに歯止めがかかるかという意味でも注目の1レースだったに違いない。
では早速中山9Rから振り返っていく。
中山09R湾岸S(3勝)芝2500
12頭立ての芝2500m戦を逃げたのは、鮫島克駿が騎乗した8番人気ショーモンだ。これを追走する格好で川田将雅の2番人気インザモーメント、北村宏司の12番人気ジオフロント、横山和生の5番人気フルールが続く。単勝1.7倍のルメールとスティンガーグラスのコンビは、これらを前に見る好位からの競馬。見た感じも手応えに余裕がありリズムよく走っていた。
3-4コーナーにかけて各馬の動きが慌ただしくなったもののルメールは冷静。4角手前でパートナーを外へ誘導し、直線入り口では早くも先頭に並ぶ勢いで進出する。力の抜けた馬が何の障害もなく抜け出した時点で勝負あり。残り200mでは流すようなシーンもあったほどの楽勝劇を演じた。
奇しくも土曜中山の9R潮来特別(2勝・芝2500m)を快勝したサンライズソレイユは、昨年の暮れのグッドラックハンデ(2勝・芝2500m)でスティンガーグラスの2着に入った馬。同馬の近走の活躍を考慮すれば、この馬に楽勝したスティンガーグラスの強さも証明されていたといえる。
これにより、対象1レース目の連敗はストップし、1倍台の馬が危なげなく勝ったことで、続く10Rのムルソーにも大きな期待が集まった。
★コメント
1着スティンガーグラス ルメール
「休み明けで馬場も悪く、少し疲れたようでしたが、よく走ってくれました。コンディションはもう少し良くなると思います」※距離はこれくらいがいいタイプ。ルメールとも手が合っており、木村哲也厩舎の安心感もある。適鞍が見当たらないのが難点も、ダイヤモンドS(G3)やステイヤーズS(G2)で勝ち負けの期待が持てるのではないか。
2番人気に推されたインザモーメントについては、ホープフルS(G1)以来の中山も合わなかったか。先行勢は雁行気味に競り合ったこともあり、息の入りにくい展開。長距離の川田将雅が買えないという理由だけの敗戦でもなさそう。
阪神10R淀屋橋S(3勝)芝1200
何が勝つのか分からないが、とにかく荒れそうなことだけは分かる。そんな混戦模様のレースだった。レースは最内枠から逃げた1番人気武豊ナムラローズマリーが32秒8のハイラップで飛ばす。これを藤懸貴志の12番人気メイショウエニシアが追い掛け、直線半ばで流れが一変。先に抜け出した団野大成の5番人気ヤマニンアンフィルを外から差した古川吉洋の7番人気ツインクルトーズが交わしてゴール。上位3頭に票が集中していたこともあり、単勝32.9倍の人気薄が高配トリガーとなった。
まあこのレースは結果がどうこうより、絞りにくい混戦で連投の穴馬が勝ったという程度。ツインクルトーズに関しては、先週のアクアマリンS(中山芝1200)で候補に入れていた馬だ。後方のまま見せ場もなく敗れていたため、そこまで期待をしていなかったとはいえ、休み明けを使われて状態が上がったからこその連闘策。前が流れる展開も有利に働いた。
★コメント
1着ツインクルトーズ 古川
「思い切って外に出して良かった。展開が向いてよく勝ち切ってくれました。賢い馬です」2着ヤマニンアンフィル 団野
「このクラスでも安定して走ってくれます。緩めの馬場も合っていた。今日は勝ち馬に展開が向きました」3着アンクルクロス 長岡
「ゲートで隣の馬がうるさく、スタートのタイミングがズレたが、ペースが流れてくれて最後はいい脚を使った」※対象レースだから仕方なく予想したのが本音で、普通なら手を出すようなレースでもない。ここを勝ったからといって次走で注目するほどの馬もいない。
中山10R総武S(3勝)ダ1800
「ルメールさえ、ルメールさえ勝ってくれれば当たる!」
そう信じたファンも多かったであろうここ。ムルソーは前走のブエナビスタC(3勝・ダ1900m)を1分57秒3の超速タイムで楽勝しており、その前日に行われた花見小路S(2勝・ダ1900m)を1分58秒8で圧勝していたロードクロンヌより1秒5も速かったのだ。
そのロードクロンヌが土曜中山の10R上総S(3勝・ダ1800m)を5馬身差で圧勝したため、相対的にムルソーが負けるわけがないと決めつけてしまった。基本1倍台の馬を1点買いしないことで好配当にありついてきた身としては、そんなうまい話があるはずねえという想いはあった。
とはいえ、対象5レースに割り振る予算を考えた場合、ここを1点にしないと弾切れする現実もあり、頼むぜルメールとなった訳。まあ結果は予想外に終わって負けた。辛い。
正直、スタートを無難に決めて番手に収まったときは珍子を握ったよ。これはもう4角入り口で逃げた馬をパスして後ろを突き放すだけ。もろたで工藤!
と思ったのも束の間、ムルソーにこれまでのような手応えがない。当方の残してくれという願いも虚しく差し馬の餌食となってしまった。ただ中山のダートは重で速い時計の出る状況。ムルソーのポテンシャルを考えれば、もう少しやれてもよかった気はする。ここもすんなり勝つようなら重賞やG1でもと期待しただけに空回りに終わった。
ガッカリポイントはすぐ後ろを走っていたミファヴォリートにまで交わされて4着に負けたことだ。先行勢が総崩れなら展開が味方しなかったと思えるが、これでは力負けとしか言えない。確かにミファヴォリートの10番人気は、前走でハナ差のハビレと比べてバカにされ過ぎと思ったが。
油断があったとすれば、逃げなきゃどうしようもないピュアキアンに徹底逃げの吉田豊が騎乗していたのと、消極的な騎乗に定評のある北村宏司タガノエスコートが早めに並び掛けてきたことか。それでもこのメンバー相手に負けているようでは先が暗い。
5着ホールシバンは調子を落とす前にこの程度は走っていた馬であり、むしろ完全復調の感もある。長期スランプとは何だったのか。
ハビレはもうゴ三浦師匠を乗せている限り、こいつの気分に左右される。おまえだけだよ、信じていいのは……。5番人気で穴を出したヴァンヤールは戸崎圭太の好騎乗も際立った。前走はスローペースを後ろからの競馬で5着に敗れ、今回はさらに後ろからの競馬でマクリが届いた。圭太ちゃんはペースが読めない騎手だが、ハマったときは仕事をする。
人気馬で買うと騎乗ミスで飛ばし、穴馬では空気を読まないのだから、そういう意味では実にWIN5向きの騎手。人気の戸崎は消しが正解で穴の戸崎を買えが正解なんだ。でもそういうところが嫌われ、好かれる理由。人気馬に乗っても穴馬のときのような思い切りがあれば、もっと信頼のおける騎手になれそうな気もする。今更の話だからこれからも変わらないか。ゴ三浦師匠なんてずっと変わらないしね。
★コメント
1着ヴァンヤール 戸崎
「厩舎が随分と攻めてくれたみたいで感じが良くなっていた。前半置かれたが、途中からグイグイと進んでいってくれて、最後までしっかりと伸びた」2着ハビレ 三浦
「自分の形で競馬ができた。勝ち馬はずっと外を回っていたし仕方ない」3着ミファヴォリート 丸山
「ずっと良い競馬をしてくれた。これで繁殖ですが、しっかり走ってくれました」4着ムルソー ルメール
「こういうレベルでまだ甘い。速い馬場でしたし‥。レースごとにタフになってくれれば」※ルメールも辛辣なコメント。これじゃムルソーじゃなくて無理ソーだよ。
阪神11R大阪城S(L)芝1800
14頭立ての芝1800m戦。直線の長い外回りコースで切れ味も求められる上がり勝負となった。驚かされたのは、1分44秒6の勝ちタイム。なんだこれ、こういうの見せられると桜花賞もロクなことにならんなと思った。
勝ったのは岩田望来が騎乗した3番人気デビットバローズ。同馬は昨年にステラヴェローチェのアタマ差2着に入ったリピーター。勝ち馬の実力を考えれば、このメンバーなら一枚上の力があったということだろう。
それに見逃したくないのは、岩田望来の好判断好騎乗。馬が強いのはもちろんとして、取りこぼしの少ないクレバーな競馬も目を引いた。正直、岩田望来という騎手については、腕はオヤジのヤスの方が二枚も三枚の上であり、最強エージェント小原氏の用意する馬質の援護射撃が大きい。
腕に見合わない素質馬に騎乗することも多く、マスクトディーヴァのような被害馬も出たが、デビュー当初のような「おまえのせいで負けた」というレースは随分と減った。実際、こちらもデータを取っているが、一部の条件においては川田と遜色のない数字を残すようにもなった。
また、この少し足りない1800mの距離も芝ダートを問わず得意にしている。少なくとも今回は馬のお陰ではなく、望来が上手く乗った勝利だと思う。グリューネグリーンの逃げも1000m通過59秒5とスローペース。このスローで前に行けない馬は単純にスピード不足かもしれない。
ただ、2着3着5着は後ろから差してきているため、ただ単に前にいたからといって好走できたわけではない。特筆すべきは勝ち馬が上がり33秒5をマークしている点だ。このレースは上位3頭が33秒5、最速タイが5着ヤマニンサンパ、7着ホウオウノーサイドの33秒4。4活2番手からほぼ上がり最速を使ったならデビットバローズも負けない。こういうのは内回りの2000mで行われる大阪杯(G1)でこの上ない武器になる。2着トーセンリョウにも2馬身半差の完勝である。
ひとまず、阪神の馬場には注意しておきたい。春先は超速馬場になりやすいから、もうすでに予兆が出ているってことかね。
★コメント
1着デビットバローズ 岩田望来
「好スタートを決めて、いい位置で競馬ができた。去勢してからいい結果が出てますし、能力がある馬で、これからが楽しみ」2着トーセンリョウ 団野
「とても背中がいい馬。前走は少し太い感じがしたのですが、今回は返し馬からいい感触でした。馬場や展開は向かないと思ったが、スローでもよく詰めてくれた」3着オールナット 北村友
「もう少し前で流れに乗っていくイメージですが、きょうは具合が良かったからか、馬にゆとりがあって落ち着いて走っていた。上がり勝負になりましたので、前々で運べれば良かった」※北村友一という騎手は、反省の弁はしっかりするものの、敗因はお前というレースが多い。なんでいつも後悔ばかりしてるの?
予想以上の大敗を喫したのは、西村淳也に期待したウエストナウ。この馬こそ今日みたいな馬場は得意だったはずだが、スタートから行きっぷりがもうひとつ。調教師によるとプ他馬のプレッシャーでストレスがあった模様。外枠なら違ったんだろうか。こういうのってプロじゃないから外野は分かりにくいね。
今日のWIN5
1倍台の2レースさえ拾えれば、後は点数で誤魔化しが利く。というのが今回の見立てだった。なぜそう思えたのかは、ラストの弥生賞に自信があったから。自分を信じていないから◎ファウストラーゼン1点を決行しなかったのだが、ここで5点使うなら総武Sで使えばよかったよ。2827万かあ。今の予算じゃこのゾーン狙い撃ちするの足りないんだよなあ。
でもね、やっぱり反省はある。
いつもWIN5の1倍台は罠だっていってる張本人なのに、目の前にぶらさがってるニンジンに飛びついちゃったこと。大阪城Sなんてデビットかウエストだろって考えていたし、弥生賞にしても2点3点に絞れたと思う。
ハンパに2つ目の1倍台まで欲出して点数に余裕あるからと広げたのはダメだね。後ろ2つで舐めプしなければ、何とかなった可能性もある。って言いたいだけで、俺が素直に天敵の圭太ちゃんを買えたかどうかは自信がないなやっぱ。それにここはムルソー以外調べなかったからさ。
お客様満足度が高かったのは、Twitterでも反響の多かった7人気ファウストラーゼンを見切ったことかなあ。ムルソー疑って4つまで生きてた人の中でも最後に憤死した人は大勢いたはずなんよ。
少なくともファウストを見切れてなければ拾えないWIN5だったのは、個人的に救いがあったと思いたいね。
弥生賞については単独記事で振り返ります。では。