話題が出たときは話半分くらいで聞いていたヤマニンウルス(牡5、栗東・斉藤崇史厩舎)の小倉大賞典(G3)参戦。どうやら本当に出てきそうな感じ。デビューから無敗の5連勝で注目を集め、前走の名古屋大賞典で初めて他馬の後塵を拝した。今回は主戦の武豊がサウジカップデーで不在ということもあり、藤懸君とのコンビで出走となりそうだ。
なぜ藤懸君なんだなのかという点については、土井オーナーとの関係が良好だからだろう。
藤懸君がデビューした2011年から先週までの土井オーナー所有馬の騎乗依頼を見てみると勝ち数でトップ。柴山君は既に引退しており、主戦騎手といってもいい待遇だ。縁を大事にする人だから、これに外野がとやかく言う話でもない。勝率10%を超えてるし相性も悪くない。
肝心のヤマニンウルスの方は、発表されたハンデがトップタイの58.5キロ。初芝にしては気になるものの、ダートを走るような馬はそこまで割り引く必要はなさそう。それに600キロ近い超大型馬なのである。
なら後は芝をこなせるかどうかに尽きるのだが、そこはやはり血統が重要になってくる。本馬は父ジャスタウェイ、母ヤマニンパピオネで母父スウェプトオーヴァーボードという配合。ぱっと見の印象では問題なさそうな雰囲気だ。
まず、ジャスタウェイが芝で好成績を残した馬。ラストランの有馬記念(G1)で祐一君が致命的な不可解騎乗をしたことが某掲示板でおもちゃにされたものの、覚醒してからはドバイデューティフリー(G1・現ターフ)で「世界最強」の称号を得た名馬。秋天から別馬の様にパワーアップした背景には、父ハーツクライの晩成の血が騒いだのかもしれない。
また、ハーツクライ産駒といえば晩年の産駒が突然ダートで走り出したというネタを当時話した記憶もある。最高傑作ドウデュースも豊さんが「次走はフェブラリーS(G1)です」とジョークを飛ばしていたようだが、割と普通に勝ってしまうのではないかとも感じた。
まあそもそもジャスタウェイ産駒の成績を調べてみると、芝ダート兼用タイプの成績を残してもいた。全体成績が【358- 366- 351-3765/4840】勝率7.4%、芝は【202- 197- 197-1999/2595 7.8%】、ダートは【148- 152- 141-1681/2122】勝率7.0%であり、数字としては芝がややリード。それならヤマニンウルスだって走る可能性は十分にある。ロードカナロア産駒のようなイメージかな。
むしろ重賞勝ちのある産駒は芝に偏っており、大物が出るなら芝という傾向。だからこそヤマニンウルスの参戦は興味深い。
次に母系の成績も芝適性を後押しする。近親のヤマニンサルバムは中日新聞杯(G3・23年)、新潟大賞典(G3・24年)を制し、昨秋の毎日王冠(G2)で4着に好走した実力馬。ヤマニンウルスの兄弟も芝とダート両方レースで勝利しており、これといって問題はなさそう。卓越した先行力は芝で通用するスピードを持っているからこそという見方も可能である。
むしろ、いい意味で見方を変えれば、実は芝でヤバい馬がダートでもヤバかったというオチまである。実際にやってみないと分からないことは確かでも、今回の芝転戦は十分に意味があることではないか。名古屋の負けは、そこまで深刻でもない。カフェファラオの様に地方の砂が合わないだけの可能性もある。
二刀流で成功した馬といえば、古くはアグネスデジタルやアドマイヤドン、比較的近年だとモズアスコットやジュンライトボルト、レモンポップを負かしたギルデッドミラーなどがいる。
穴狙いをしたい立場としては一度様子を見てからというスタンスだが、そう思って調べれば調べるほど、勝たれても文句は言えないなという想いも増してきた。それにここを楽勝するようなら夢が広がる。場合によっては大阪杯(G1)や宝塚記念(G1)といった選択肢も出てくるからだ。
ヤマニン冠名のG1馬といえばゼファーとシュクル、あれ?俺の大好きなパラダイスは?と思ったが、同馬は名義が土井商事で別だったのね。
というわけで、徐々に様子見から買いに気持ちが傾きつつあるという話でした。