日曜中山のメインは古馬の注目重賞、中山記念(G2)が開催。下馬評はメンバー唯一のG1馬ソウルラッシュ、スプリングS(G2)と毎日王冠(G2)で強さを見せたシックスペンスの2頭が、他馬をリードした。
やはり懸念材料となったのは、開幕中山の異常な馬場。夏場に十分な休養を取った秋が高速ならぬ超速馬場となるのは恒例行事であるものの、この時期は1月の開催を挟んで中1ヶ月しかリフレッシュ期間がない。それだけに標準的な馬場コンディションで行われるはずだった。
しかし、そんな予想を悪い意味で裏切ったのが土曜中山のオーシャンS(G3)。それまでも前残りが目立つ傾向だったとはいえ、テイエムスパーダが逃げてペアポルックスが2番手につけた前半600mのタイムは33秒7。これを3番手から伸びたママコチャが上がり33秒1をマークし、勝ちタイムも1分7秒1である。
各馬のポジション的に1頭だけ逆噴射したテイエムを除けば前に行った馬の決着。ママコチャ自身の前後半も34秒0-33秒1だったのだから、実質超スローペースといって過言ではなかったか。そう、この時点で今の中山が秋の開幕週と変わらない超速馬場だということに気付く。
馬場の恩恵が如実に表れたのは10RアクアマリンSだ。このレースは戸崎のジューンブレアがハナを奪い、前半600mを32秒7、後半を34秒7でまとめて走破した。これは重賞のオーシャンSより1秒も速いペースで走っている。さすがにクラスが下がるため、後半は2秒も落差があったが、普通なら脚が止まる。にもかかわらず、お釣りを残したまま勝った訳だから、行けるだけ行ってよかったといううんこ馬場だったというしかない。
いやむしろ、こんなまともじゃない馬場で公正競馬なんて無理だし、前に行かないと競馬にならないなら、行かない騎手は死んでしまえというべきである。
という前提条件があった上で中山記念の結果に戻ろう。
1分44秒8のレコード更新だが、こちらについては大した価値はない。こんなのはキャンメイク東京の「可愛いは作れる」と同じで「レコードは作れる」なのだ。
公正競馬を揺るがす諸悪の根源、馬場造園課がみんな悪い。G1などで強い馬が強い勝ち方をした結果の延長線上ならいいが、ただ単に馬場を魔改造しただけのこと。レースラップ的にも前後半3Fが35秒6-34秒8と平凡であり、逃げたメイショウチタンですら楽なペースで走っていたに過ぎない。結果も6着だよね。
ハロンごとのラップも12.5-11.5-11.6-11.4-11.5-11.5-11.6-11.6-11.6で最初の1ハロン以外は11秒台が続いた。稍重開催で1分48秒1だった昨年の馬場とは大違いであり、ディフェンディングチャンピオンのマテンロウスカイも乗り方どうこうで誤魔化しが利かなかった。
だからこそ理に適った位置で競馬をしたミルコのエコロヴァルツに勝たせたかったくらいだが、底力で上回るシックスペンスが一枚上手。着差こそハナだが力の差はもっとあるだろう。逆にこんなペースでポジションを下げるシーンもあったルメールは結果論での勝利。どちらが上手く乗っていたのかなら間違いなくミルコである。
基本的に位置取りがそのまま着順に反映される馬場だったため、下がってしまった馬は力負けかスピード不足が原因。実力以上に前で競馬をした組も末をなくしただろう。こういうとき、中途半端な位置で競馬をするとよくない。強気に行くか着拾いの一発にかけてケツから行くかのどちらかだ。タイムトゥヘヴンの4着は何度繰り返しても4着までで、3着に上がることはないと思う。
また、かつて神と呼ばれた時代のミルコなら勝ったかもと感じた一方で、強い馬に乗ってしっかりと勝ったルメールもまた上手く乗った部類だとは思う。あくまでミルコに比べればよくなかったという程度だ。
実は今年のルメールはWIN5対象レースで未勝利だった。中山10RのアクアマリンSもソノママソノママで12着。これは馬が足りてなかったのも敗因だが、今日の10Rも含めてWIN5で9連敗。その中にレーベンスティール、ブレイディヴェーグ、チェルヴィニアなど、勝ち負けの期待が大きかった馬で凡走した。
かといってこれらの負けをルメールのせいとするのは大きな誤りだ。乗った馬の力を大きな割引もなく勝たせるのが彼の特徴であり、現在の競馬界で最も足し引きが少ない騎手ともいえる。少なくとも少し不調な川田将雅のように、騎手が敗因で負けたレースもない。1倍台のテリフィックプランにしても、あれは人気先行だった。
道中の乗り方云々より、先述した実力馬たちは、ノーザンファームの外厩が馬を勝てる状態まで仕上げられなかっただけだろう。ブレイディは1600が短かったこともあるが……。それでも3着は外さなかったと思うよ?
走るのは馬だから騎手に求められるのはミスを最小限にとどめること。今回は大きなミスもなければ、馬の状態も良かったから勝ったという訳だね。それでももう一列前で競馬しろと思ったけどさ。
ではそろそろ各騎手のコメント。
1着シックスペンス ルメール
「すごく良い脚を使った。プラス10キロで心配したが、反応がとても良かった。1コーナー、2コーナーまで掛かりましたが、向正面から落ち着いたの、息が入りました。もしかしたらG1レベルで良い結果を出せると思います」
2着エコロヴァルツ デムーロ
「馬の状態がとても良くて、レースの内容も完璧。私が新馬戦を勝った時から、よくここまで成長してくれた」
3着ソウルラッシュ 団野
「課題は4つのコーナーと1800でしたが、返し馬で馬の具合が凄く良く、これなら大丈夫だと。道中もスムーズで勝てるレベルだった。負けたのは私の力の無さです」
9着マテンロウスカイ 松永幹夫調教師
「スタートは決まりましたが周りも速かった。力勝負は分が悪いですね」
12着アルナシーム 藤岡佑介
「馬の具合はとても良かった。枠的に内へ潜り込めませんでした。向正面から自力で脚を使うことになり、最後は苦しくなりました」
シックスペンスの走りにルメールはG1でもやれる手応えはあった様子。特筆すべきは団野大成の気持ちがいいコメント。客観的に見て、この馬の脚質と前が止まらない超速馬場を考慮すると、よほど力が抜けた馬じゃないと勝ち負けは難しかったと思う。
59キロを背負って半信半疑でコーナーを4回周る1800m戦。道中もシックスペンスとほぼ同じ、1キロ重い59キロで少し外を回っただけ。団野じゃなければ3着にも来てなかったかもしれないと思える騎乗だ。
ルメールにしても結果的に勝ったが、最大の勝因は1枠1番のインベタで走れたこと。あれが外枠だったらハナ差なんて余裕でひっくり返ったはずである。そういう面でも運がよかったよね。
昨年のWIN5を振り返ったnoteでも触れたが、西村と団野は次世代の若手として急成長中。彼らは訳の分からないクソみたいな言い訳をしない。それがいい。
我々競馬民にしても、単純に馬券がはずれただけの理由で喚き散らすわけじゃない。自分の想いを託すに相応しい騎乗をして負けたなら褒めるし、理解に苦しむ不可解な乗り方を見れば怒る。理由はシンプルだ。
ということで、ルメールは別に不調でもないし、川田の方が気になる敗戦が増えてるなって印象。とりあえず今年のWIN5は西村と団野を狙いたい。だってストレスが少ないんだもの。



