今週末の23日の東京競馬場では、2025年最初のG1となるフェブラリーS(G1)が行われる。ついこの間に新年あけまして~といっていたはずだが、毎年驚かされる。フェブラリーSが終わると、次は高松宮記念(G1)が控えており、競馬民にとっては「春はセンバツから」ではなく「春は宮記念から」の方がしっくりくるかもしれない。
ただ、このレース。同時期に開催されるサウジC(G1)が創設されたことにより、もはや国内G1として存在意義が怪しくなりつつあるのも確か。向こうは日本時間で1日早い土曜日の開催。さらに1着賞金は約15億円ともいわれ、円安が進めば進むほど賞金格差が広がるばかりだ。
何しろフェブラリーの賞金は1億2000万円に過ぎないからだ(チャンピオンズCも同額)。これは秋華賞(G1)の1億1000万円を辛うじて上回る程度であり、2歳G1を除けば下から2番目。芝が主流でダートが軽視されてきた日本競馬らしい設定といえる。
そこへきて同時期に世界最高額のサウジCが創設された訳だから、勝ち目なんてゼロに等しい。10連勝しても12億円ではどうしようもない。2着の5億円でもジャパンC(G1)や有馬記念(G1)と大差ない。これではトップジョッキーも馬も流出する訳だ。
それにJRAだって現在の不景気が続く日本でマネーゲーム挑む理由もなし。逆に出稼ぎに行かせて札束をくわえて帰ってきてもらう方がいい。まあ関係者でもないから、レース存亡の危機を憂いてみたいな話をしても仕方なし。我々は、目先の現金をどうやって手に入れるかを論ずる方が有意義である。
では、過去10年の勝ち馬から見ていこう。
フェブラリーS過去10年
24年 ペプチドナイル 牡6 藤岡佑介 58.0 11人気★
23年 レモンポップ 牡5 坂井瑠星 58.0 1人気
22年 カフェファラオ 牡5 福永祐一 57.0 2人気
21年 カフェファラオ 牡4 ルメール 57.0 1人気
20年 モズアスコット 牡6 ルメール 57.0 1人気
19年 インティ 牡5 武豊 57.0 1人気
18年 ノンコノユメ セ6 内田博幸 57.0 4人気
17年 ゴールドドリーム 牡4 M.デム 57.0 2人気
16年 モーニン 牡4 M.デム 57.0 2人気
15年 コパノリッキー 牡5 武豊 57.0 1人気
昨年は藤岡佑介の騎乗した11番人気ペプチドナイルが大波乱を起こし、2着に5番人気ガイアフォース、3着にも13番人気セキフウが入り、3連単の払戻しも153万馬券と荒れに荒れた。
その結果、WIN5も対象4つ目の大和S(OP)を8番人気スズカコテキタイが勝利した影響もあり、726万5020円と高配当。前半3つが3番人気以内で平穏だったのに対し、後半2つで正反対の結末が待っていた。今年も最後まで気を抜けない。ホント意味が分からない(笑)。
一応、過去データによれば昨年を例外にすると1番人気が5勝、2番人気3勝、3番人気未勝利、4番人気1勝。1番人気と2番人気を脳死で押さえると勝率80%となり、基本は人気サイドの決着が多いレースといえそうだ。また、リピーターの好走も多いレースだけに、昨年の覇者ペプチドナイルは上位人気の可能性がある。逃げ切り勝ちを決めたのもインティくらい。意外とスローになりにくいレースかもしれない。
だからこそドンフランキーが前半3F33秒9で飛ばした昨年にペプチドナイルが強気の4番手から押し切ったのは価値がある。
この33秒9はカフェファラオがレコードを更新した22年の34秒5(重馬場)より速く、ひとつ前のレコードだった16年モーニンの34秒1より断然速い。なぜなら時計が速くなる重馬場ではなく良馬場だったためだ。逃げたドンフランキー(9着)だけでなく、同じように先行したウィルソンテソーロ(8着)、イグナイター(11着)、ドゥラエレーデ(12着)を見ても消耗の激しさが伝わる。
そのペプチドナイルは昨秋のチャンピオンズCで5着に敗れているものの、あれは距離というよりレモンポップに真っ向勝負を挑んで勝つための競馬をしての返り討ち。着を拾うだけの無難な競馬をせず、負かすならこれしかないという選択をした佑介の騎乗も素晴らしかった。
馬券のことを最優先で考えると不本意ではあるのだが、少なくとも当方は熱い想いを感じた。まあファンとしては、買った人間が負けても納得できる敗戦なら騎乗ミスという扱いにはならんということだ。1番人気で無難に乗ろうとした結果、馬群から出てこれなかったり、仕掛けが遅れて2着に負ける方が、よほど心証が悪い。
話をフェブラリーSの展望に戻すと、人気を集めるのはエンペラーワケアや欅S(OP)で同馬を破ったコスタノヴァあたり。レモンポップのような馬もいないなら、G1.5くらいの感覚で勝ち負けに期待出来るか。
別路線からの新星ならミッキーファイト。競馬民のアイドルみづきちゃんも御年90歳だから生きてる間にG1をもうひとつくらい勝っておきたいはず。昨年10月のジャパンダートクラシック(G1)で世界のフォーエバーヤングと0秒2に善戦したなら足りる計算。同レースでサンライズジパングはミッキーから5馬身も離されていた。1着で期待できそうなのはこんなところか。
馬券的な穴ならガイアフォース、タガノビューティー、メイショウハリオなんかも一考したい。そういえば、武史がコスタノヴァではなくエンペラーワケアに騎乗予定なのは謎。じゃあ誰が乗るの?キムテツ案件なら宏司だったりする?
でもノーザンで吉田勝己氏の名義だしなあ。わからんねえ。