29日、競馬史上でも初となる無観客G1の開催ともなった日曜中京メイン高松宮記念は9番人気モズスーパーフレアが優勝。松若はデビュー7年目にして初のG1勝利を決めた。1位入線の15番人気クリノガウディーは直線で内に斜行し、4着降着となった。
また、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ドバイ国際競走が中止となり、乗り替りが多発。
タワーオブロンドン ヒューイットソン⇒福永
ダノンスマッシュ 三浦⇒川田
グランアレグリア ルメール⇒池添
アイラブテーラー 和田⇒武豊
クリノガウディー 森⇒和田
モズアスコット 未定⇒ミルコ
レースの着順は以下。
クリノガウディー 1位入線4位降着
グランアレグリア 3位入線繰り上がり2着
ダノンスマッシュ 10着
タワーオブロンドン 12着
モズアスコット 13着
アイラブテーラー 18着
ドバイ前からの乗り替りだったグランアレグリア以外はすべて馬券圏外へと消えた。
これなら無理に乗り替わらなくてもよかった感すらある結果だ。
ただ、これは単なる結果論に過ぎない。
レースを振り返ろう。
先週の開催で造園課が馬場にテコ入れをしていたことは察しがついていた。そして、中京を使わずに中山阪神での2場開催。これはG1を見据えて中京を使わないことで馬場の消耗を下手す意図もあったのではないか。
さらに土曜に雨が降り、時計の掛かる馬場に変化していた。
昨年はハナに立つのすらやっとだったモズスーパーフレアが今年は楽な手応え。8枠16番から内へ進路を取るとまんまと3F34.2のスローにペースを落とした。2番手にセイウンコウセイがつけ、外の3番手にクリノガウディー、内にダイアトニック、ダノンスマッシュはスタートでもたつき中団からの競馬。タワーオブロンドンは斜め前にダノンを見る形で8番手。グランアレグリアは出足がつかず、池添は促しながらの追走となった。
直線に入ってもモズスーパーフレアの脚色は衰えず、2番手のセイウンコウセイが逆に突き放される。内からロスなくダイアトニックが追い上げて逃げ粘るモズスーパーフレアを捉えに掛かったところで外から追い上げたのがクリノガウディーだった。
だが、ダイアトニックの手応えも十分に残っており、勝ち負け可能に見えたが、クリノガウディーが急激に内側へ斜行。内にいたモズと外のクリノに挟まれる格好となり大きくバランスを崩してしまった。行き脚の悪かったグランアレグリアは唯一、外を回して猛然と追い上げたが4着まで。
昨年のスプリンターズSで1,3着だったタワーオブロンドン、ダノンスマッシュは見せ場なく惨敗。
結局は前に行った馬ばかりでの決着となり、ロスのある方向から外を回したグランアレグリアの強さが際立ったレースでもあった。
また、1位入線のクリノガウディーは、ダイアトニックとモズスーパーフレアに被害を与え、降着の処分をされたが、不利がなければ勝っていたのはダイアトニックで十中八九間違いなかった。
ところが、現行ルールでは加害馬が被害馬の下の着順になるだけでそれ以外はない。勝てたはずのダイアトニックが、4着となった以上はクリノが降着となったところで、ダイアトニックは1着にはなれない。
これは見ている側にもいまいち釈然としない裁決だった。
1,2着馬が入れ替わった降着は2010年ジャパンC(G1)以来、1着馬が馬券外まで飛んだのは2006年エリザベス女王杯(G1)のカワカミプリンセスの1着⇒12着以来。
高松宮記念のラップ構成
12.1-10.8-11.3-11.4-11.2-11.9
34.2-34.5=1.08.7
土曜からの雨で一時は不良にまで悪化。
レースは重馬場での開催となったが、上がり33秒台を使った馬が6頭もおり、実質の馬場状態はかなり良に近い状態。
昨年のミスターメロディに続き、2枠3番のダイアトニックが好走
外を回した馬で好走したのはグランアレグリアのみ。
逃げて内へ潜り込んだモズスーパーフレア、内をロスなく回ったダイアトニック、クリノガウディーが馬場のいいところを通った。
条件的に問題のなかったセイウンコウセイは完全に力負け。
レース後のコメント ※ラジオNIKKEIより
1着 モズスーパーフレア(松若風馬騎手)
「スタートを気を付けて自分のリズムでレースをさせました。重い馬場でしたが午後に晴れてそれほどまでに道悪にならなかったのも良かったと思います。最後は必死で追いました」(音無秀孝調教師)
「いつもの競馬で後ろを離して逃げるレースをさせました。繰り上がりの1着ですが、不利もありましたし、スッキリとはしませんが勝ちは勝ちです。4コーナーで後ろを離していましたが、直線の長いコースですから不安でした。今日は一旦離されてからしぶとかったですね。成長を感じました」
昨年は調教で好時計を出し、絶好調と見せかけて惨敗。今年は昨年以上に速い時計を出した。
同じ厩舎だけに昨年の二の舞がよぎったが、今年は状態がよかった様子。
また、雨で馬場が渋ったことも適度にブレーキが利いて暴走することなく能力を発揮できた。
これは人間にしても同じだ。下が濡れていると慎重に走る。
レースラップの34.2-34.5なんてのは、中山1200を32秒台で飛ばす同馬にとっては超スローペースといっていいほど。
調子さえ問題なければこれくらいは走れるのだろう。
2着 グランアレグリア(池添謙一騎手)
「直線で外に出すとすごい伸び脚でした。初めての1200mでうまくレースができませんでした。結果を出すことができず残念です」
一番勿体なかったのがこの馬かもしれない。
ここまで逃げ先行でも結果を出していた馬だけに追走に手こずったのは想定外。
問題があったとすれば阪神Cが良で33.9に対し、高松宮記念が重で34.1。
となると初の1200の流れに戸惑った可能性がある。
また、池添が初騎乗で恐る恐る乗っていたのも感じられる。
ルメールなら突き抜けていたかもしれない。
3着 ダイアトニック(北村友一騎手)
「前回降着となったのにまた騎乗依頼を頂けて有難かったです。今日は結果を残したかったのですが、不利もあって結果が残せませんでした」
阪急杯では川田の強引な自爆の被害に遭った。今回、奇しくも阪急杯と同じ2枠3番に入り、馬は違えど川田もまた同じく3枠6番。
再現もあるかと思ったが、ダノンが自滅。この馬には絶好のチャンスだった。
北村はツキがない。
それしか言えない。
4着降着(1位入線) クリノガウディー(和田竜二騎手)
「スタート良く、前が速くならず、良い感じで行けました。しかし、気を付けていましたが、左にもたれてしまいました。もたれるのを直すだけでは進まないので追いましたが、結局迷惑をかけてしまいました。申し訳ないです。能力はあり、1200mにも対応してくれました。それだけにもったいなかったです。今後も左に行くのが課題になります」
追い切り絶好だった阪急杯で狙ったのがこの馬だった。それだけに今回の好走にはまだ納得がいっていない。ラップ的には阪急杯と大差がなく、ここで好走できるならなぜ前走だらしがなかったのか。
5着 シヴァージ(藤岡佑介騎手)
「出負けする形になりましたから脚をためるレースをしました。最後は良い脚を使いました。初めてのGIで内容のあるレースだったと思います」
グランアレグリアと同じ最速上がり33.1。この馬にはむしろ雨で渋った馬場が向いた。
G3で通用することは証明できたが、G1で勝ち負けには遠い。
6着 グルーヴィット(岩田康誠騎手)
「ラストを伸ばす感じのレースをしました。良い脚を使ってくれました」
中京記念ではこの馬が前に行って、クリノの追撃を凌いだ。
岩田君は最近の重賞ではなぜか後方待機が増えた。
この辺りは彼への不信感の根源。
以前はもっと積極性のある騎手だった。
7着 セイウンコウセイ(幸英明騎手)
「良い形でレースはできていたと思います。馬の具合も良かったのですが、終いの伸びが今一つでした」
昨年と同じ展開で、昨年よりぬるいラップでこれでは擁護のしようがない。
追い切りは抜群だっただけに残念。
8着 ティーハーフ(国分優作騎手)
「しっかり脚を使いました。最後こそ少し疲れましたが、10歳でもよく頑張りました」
お爺ちゃん頑張った。
10着 ダノンスマッシュ(安田隆行調教師)
「ゲートでつまずいてしまいました。運が無かったです。改めて仕切り直しです」川田「結果を残せず申し訳ありません」
スタートで負けしたのが痛恨。
それにしても川田はもう少し展開や敗因について説明の責任がある。
これでは今年のG1でも昨年と同じく信用できそうにない。
12着 タワーオブロンドン(福永祐一騎手)
「4コーナーではバッチリといった感じでしたが、追い出してからはトモが流れてしまい、手応えほど伸びがありませんでした」
スタートは悪くなかったが、出してはいかず中団。
手応え自体は悪くなかったが、直線入っていざ追い出すとサッパリ。
この内容だとヒューイットソンやルメールでも大差なかったかもしれない。
藤沢もコメントしているようにノメっていた。
13着 モズアスコット(M.デムーロ騎手)
「スタートを出てくれませんでした。その後も忙しい感じでした。走りも今一つでした。馬場が合いませんでした」
この馬はダートの弱い相手に勝っていただけで復活はしていない。
芝はもうやめた方がいいだろう。
17着 ダイメイプリンセス(秋山真一郎騎手)
「4コーナーからずっとのめっていました」
馬は頑張ってるよ。
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