さて、今週末は土曜夜にサウジC(G1)、日曜にフェブラリーS(G1)が開催される。かたや1着賞金約15億円、かたや1億2000万円と格差は広がるばかり。トップクラスが遠征して国内がスカスカになり、もはやG1としてのレベルすら怪しくなりつつある。
だが、我々WIN5をやるものにはフェブラリーSが最優先。海外のレースをやったところで、気合を入れて情報収集でもしないと力関係の比較は難しい。丸腰になりやすい一戦はあくまで観戦料程度に抑えて、現実的な国内のレースを精査した方がいい。
上位人気想定4頭の取捨は?
まず手始めに過去10年の優勝馬と前後半の3Fと4Fのラップを抽出してみた。
レコードがマークされたのは、いずれも重で行われた16年と22年。週末の予報を見た限り、今年は良での開催が濃厚だ。激流だった昨年ですら終わってみれば例年と大差のないタイム。おそらく今年も1分35秒台の決着となるのではないか。
また、過去10年で後傾はインティが優勝した19年のみ。あの馬が能力はありながら、天下を取り切れなかった弱みは、展開の味方があってという側面も含んでいたからだろう。そういう意味では、前傾ラップを押し切って勝っていたレモンポップが本物だったことも分かる。
とはいえ、フォーエバーヤングに比べれば、あくまで内弁慶。直接対決をしても勝てなかったであろうことは察しもつく。ガシマンが主戦である以上、ぶつける必要もなかった。そもそもダートの本場アメリカで勝ち負けするような馬なんて見たことがない。残念ながらガシマンの分だけ惜敗しているようにも映るが、これは彼の将来を思えばいい勉強となるか。
そしてジャパンダートダービー(G1)でフォーエバーヤングと0秒2差の2着に善戦したミッキーファイトも相対的に評価が上がる。同レースで3着サンライズジパングに5馬身、4着ラムジェットに6馬身の差をつけていた。レパードS(G3)を快勝し、14キロ増の名古屋大賞典(G3)でヤマニンウルスを破ったのだからインパクトもある。新星誕生を期待するならこのタイプかもしれない。
しかし、今回の舞台は東京のダート1600m戦。底力を要する舞台設定で1800以上に実績があるのは好材料だが、追走で脚を使わされる分、いつもの伸びを欠く可能性はありそう。本来ならユニコーンS(G3)が指標となるのだが、ダート三冠の関係で京都のダ1900m条件に変更。さらには鞍上の戸崎圭太ちゃんが致命的なミスで前が塞がるクソ騎乗を披露した。となるとデビュー戦で走った一度キリの経験である。
圭太ちゃんがしょっちゅうヘグるのはともかく本題に移ろう。ここはやはり、現実に東京ダ1600mで好走歴を持つ馬を上位に採りたい。
試行錯誤したところで無視できないのは、東京で5戦全勝のコスタノヴァ。そして同馬に直接対決で敗れたエンペラーワケアの2頭。悲しいけどこれ、お競馬なのよね。圭太ちゃんのような核爆弾抱えた馬よりは、負けても馬券に絡みそうな馬を探す方が無難。春天でマックイーン打倒を願ったテイオーファンなら共感してもらえるはずだ。
とはいえ、これ両方が馬券に絡んでくれるのかとなると分からない。何しろエンペラーワケアは川田ではなく武史、コスタノヴァの前走で手綱を取った騎手がライバルに騎乗し、その代わりにキング姐さんがコスタノヴァに騎乗するんだから意味が分からない。通常なら鞍上強化と喜びたいところだが、頼りになるはずの姐さんも芝では中山東京で変わらないものの、ダートの場合は中山が得意でも東京が苦手という意外性。東京ならいい馬に乗れば誤差が少ないんだけどなあ。まだ見つかってなかった昨年はともかく、評価の上がった今年でももうひとつなのだから、何かしら原因がある?
それはそうと、2頭の比較においてはコスタノヴァを上位に採りたい。レース映像を見直してみても先に抜け出した上で追いすがるライバルを突き放しての勝利。それもアタマやクビでもなく1馬身1/4差と完勝。59キロと57キロで2キロもらっていたとはいえ、コスタノヴァもスタートで出遅れてリカバリしていた。にしてもいっつも出遅れてるなあおまえ。。。
次に気になったのは気性的なもの。エンペラーワケアは距離延長と克服が課題の馬であり、川田も道中で折り合いに気を遣うシーンがよくあった。格下相手にオラつくのは鞍上とキャラが被るが、こなせるのとは意味が少々異なる。
そういう点ではコスタノヴァの方が少々分があると考えた。半弟のファイアンクランツもゆりかもめ賞(1勝・芝2400m)で2着に入ってたしね。自身は2年前、23年9月新潟の両津湾特別(2勝・ダ1800m)で2着に敗れた過去もあるが、このときのルメカスは気持ちよくイキ過ぎて前後半3F35.1-39.2というクソラップで飛ばした結果、ゴール前で脚が止まってタイセイエピソードの半馬身差2着に敗戦。WIN5が荒れる戦犯にもなった。
だが、1400から恐る恐る1F延長よりはマイルに対する危機感は少ない。チャンピオンズC(G1)では微妙な気もするが、少なくとも東京のマイルなら問題ないのではないか。
個人的に強調したいのは、マイルCS(G1)や東京新聞杯(G3)で敗れたブレイディヴェーグのように前半でポジションを上げると切れが鈍るケース。ミッキーファイトなんかは、まさにそのパターンに合致しそうだが、これを後押しするのが本番よりも前哨戦の根岸S組である。
念のために過去10年の根岸S組も引っ張ってくる。
24年エンペラーワケア→不出走
23年レモンポップ→1人気1着
22年テイエムサウスダン→5人気2着
21年レッドルゼル→3人気4着
20年モズアスコット→1人気1着
19年コパノキッキング→4人気5着
18年ノンコノユメ→4人気1着
17年カフジテイク→1人気3着
16年モーニン→2人気1着
15年エアハリファ→不出走
勝ち馬がフェブラリーSに出走した場合、4勝2着1回3着1回4着1回5着1回のハイアベレージ。敗れた4着5着は距離不安のあったタイプだった。※レッドルゼルは勝ちを意識するより後方で死んだフリに切り替えて距離を誤魔化した翌年に2着に好走した。
傾向としていえそうなのは、勝ちタイムの速さ。1分20秒台がひとつの指標として信頼できそうである。そう考えると昨年のエンペラーワケア1分24秒1は明らかに遅く、当方も評価を上げにくかった理由だ。
対するコスタノヴァの場合は、稍重で1分22秒6はグレーゾーンながらも内容が秀逸。楽に抜け出してゴール前も全力で追っていない。しかも2着馬との着差は過去10年の勝ち馬の中で断トツの0秒7差。2位の着差もエンペラーワケアの0秒4な訳で優位性を認められる。額面上の時計はともかく、targetのPCI値で実は過去10年で1番の数値をマークした。
あとは、枠の内外も大きいと考える。
過去10年の枠番別成績
1枠 0- 0- 0-19/19 0.0% エンペラーワケア、タガノビューティー
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2枠 3- 0- 2-14/19 15.8%
3枠 1- 1- 2-16/20 5.0%
4枠 2- 2- 2-14/20 10.0%
5枠 1- 2- 3-14/20 5.0% コスタノヴァ
6枠 2- 0- 1-17/20 10.0%
7枠 1- 2- 0-17/20 5.0% ミッキーファイト
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8枠 0- 3- 0-17/20 0.0% ガイアフォース、ヘリオス
うまく乗れればという期待はあっても最内枠1枠1番は難しい。前走の武蔵野S(G3)では内から何とか捌いたが、これは結構しんどいと思う。武史もこういうので好騎乗出来れば巻き返せるだろう。
肝心のキング姐さんも東京のダートを苦手としているが、今回が本当の意味での試金石。ハードスケジュールを強行してまで乗るのだから気合も入る。そしてデータとは、気付いたときにはもう意味をなさないケースもある。
もちろん、2頭の比較だけにとどまらず、昨年の優勝馬ペプチドナイルも追い切りで動いており勝負気配がビンビン。そりゃそうだ。7歳という年齢もあれば、レモンポップもいなくなった。
チャンピオンズCについては、真っ向勝負で負かしに行く強気な競馬をしての結果。中京のダ1800より、舞台設定は確実にプラス材料となる。前走で逃げている馬はミトノオー、ウィリアムバローズ、サンデーファンデー、アンモシエラと多い。このメンバーなら昨年のように前傾の過酷な流れも再現があるだろう。
ひとまず、上位人気想定の4頭についての現時点での見解はこんなとこ。後は全体点数でバランスを考えて調整したい。
「馬が弱い訳じゃない。ミッキーファイトにはちょっと休んでもらうのさ」