「勝率42.9%」のG1馬が人気の盲点か…レーンが来日する天皇賞春の展望と攻略ポイント
メンバーレベルは高いといえないか
京都11R天皇賞・春(G1)芝3200
アラタ 大野拓弥
ウインエアフォルク 幸英明
サンライズアース 池添謙一
ジャスティンパレス 鮫島克駿
ジャンカズマ 野中悠太郎
シュヴァリエローズ 北村友一
ショウナンラプンタ 武豊
ハヤテノフクノスケ 岩田望来
ビザンチンドリーム シュタルケ
プラダリア 松山弘平
ブローザホーン 菅原明良
ヘデントール レーン
マイネルエンペラー 丹内祐次
リミットバスター 岩田康誠
ワープスピード 横山和生
毎年恒例GW中に行われる天皇賞・春(G1)。いいか?天春じゃねえぞ?春天だ。二度と間違えるな!それはともかく、長距離軽視の風潮が続く近年らしい顔触れが集まった。
登録馬15頭でG1勝ち実績のある馬は、ジャスティンパレス(23年春天)、ブローザホーン(24年宝塚)の2頭のみ。強い4歳世代からは菊花賞2着ヘデントール、阪神大賞典(G2)を圧勝したサンライズアース、サウジのレッドシーターフハンデ(G3)を勝ったビザンチンドリームらが出走を予定している。
昨年は遅咲きの6歳馬テーオーロイヤルが快勝したが、過去10年の内訳は4歳と5歳が4勝ずつでリード。今年はどのような結末が待っているだろうか。では早速、人気どころから短評付きで紹介してみたい。
ヘデントール(牡4、美浦・木村哲也厩舎)
デビューから能力の高さを認められていた素質馬は、T.オシェアが騎乗した青葉賞(G2)を1番人気で8着に敗れた以外、2着を外したことがない。オシェアって色んな意味でヤバかったんだね。
基本はルメールが主戦で先行して速い上がりを使うタイプ。町田特別(2勝)、日本海S(3勝)と隙のない競馬で連勝した。菊花賞(G1)ではルメールがアーバンシックを選んだため、戸崎圭太が代わりに手綱を取ったが、ルメールとの腕の差が顕著に表れる結果の2着。2馬身半差がついたとはいえ、これは長距離戦で騎手の差が広がっただけかもしれない。
しかし、前走のダイヤモンドS(G3)は戸崎圭太が別人のような完璧騎乗。圭太ちゃんだからという理由だけで毎回クレームを入れている訳でもない。巧いときは巧いと素直に褒めているつもりだ。この騎乗なら春天で続投するのもありだと考えていたが、あっさりD.レーンの起用が発表された。
血統的にスタミナの不安がないだけでなく、芝3400mのダイヤモンドSを楽勝したなら最有力。下手な日本人騎手より外国人騎手で文句はない。
サンライズアース(牡4、栗東・石坂公一厩舎)
前走で早春S(3勝)を2着に敗れ、4番人気で出走した阪神大賞典を6馬身差で楽勝した。過去10年の春天でも前走が阪神大賞典だった馬は4勝と好相性(24年テーオーロイヤル、23年ジャスティンパレス、18年レインボーライン、15年ゴールドシップ)。臨戦過程で最有力となる。
19年の阪神大賞典勝ちシャケトラは不運な事故もあったが、2着馬に5馬身差以上をつけた馬は、21年ディープボンド、24年テーオーロイヤルが本番で連対。サンプルこそ少ないが、サンライズアースが馬券に絡む可能性は高いだろう。
ひとつ気になるのは、好走した重賞でマクっている点だ。確かに前走は上がり最速をマークしたものの、当時の阪神は異常な超速馬場だった。先週開幕したばかりの京都を見ていたが、どうも阪神とは馬場状態と傾向が一致していない。こちらについては別件で確認してみたいと思う。
ジャスティンパレス(牡6、栗東・杉山晴紀厩舎)
G1獲りに最大のチャンスだった2年前の春天をルメールとのコンビで優勝。その後は複数の騎手が騎乗したものの、善戦止まりで勝利には手が届いていない。
近走の内容も大崩れはしていないながら、見せ場を作るまでは至らず。鮫島克駿としてはチャンスが巡ってきたが、馬のピークは過ぎてしまった感もある。
ただ今回は願ってもない長距離戦。決め手に欠ける馬だけに持ち前のスタミナを生かして待望のG1・2勝目を手に入れたいところだ。
ショウナンラプンタ(牡4、栗東・高野友和厩舎)
武豊の起用で1番人気に支持された阪神大賞典だったが、後方から差を詰めるだけの4着敗戦。元主戦の鮫島克駿にとっても厳しい乗り替わりだったが、ジャスティンパレスとどちらが上かと言われると分からない程度の馬かもしれない。
ただ、前走の敗戦は特殊な展開が影響しており、そこまで悲観する必要はなさそう。そもそも武豊が得意にしているのは京都であり、阪神コースはどちらかというと苦手。引っ掛かるとすればキズナ産駒の方。父の現役時代も春天で飛ばしたのが武豊。生粋のステイヤーでもなく、それは産駒にも同じことが言えそうだ。
おそらく今回はしっかりと乗ってくれるのではないか。
ヘデントール以外は実力拮抗
穴で面白そうなのは、ハヤテノフクノスケ(牡4、栗東・中村直也厩舎)とビザンチンドリーム(牡4、栗東・坂口智康厩舎)の2頭だ。
前者は昨年の菊花賞を15番人気で8着と振るわなかったが、近2戦で4馬身差、5馬身差で圧勝続き。すっかり乗れる騎手へと成長した岩田望来の騎乗も頼もしい。後者は同じく菊花賞で5着に敗れたが、これはシュタルケの騎乗も怪しかった。サウジはさすがにオイシンが巧過ぎたのもあるし、しゅらるけには荷が重い気もする。
勝たれても文句を言えないのはブローザホーン(牡6、栗東・吉岡辰弥厩舎)だ。
早熟傾向のエピファネイア産駒にしては珍しい晩成型。昨年の春天でテーオーロイヤルに完敗したが、宝塚記念(G1)で大金星を挙げた。ここをピークに3戦連続で大敗が続いたものの、前走の阪神大賞典でようやく復調気配が見えてきた。
中間の追い切り次第となりそうだが、59キロを背負ってアレなら大きな前進。左回り専用機の菅原明良も中山が苦手なだけで、同じ右回りでも関西圏の重賞は得意。中でも京都は勝率にして42.9%なのだから、狙わない手はないか。
一応、ヘデントールが頭一つリードしている状況だが、2番手以降は追い切りや枠順、騎手の乗り方でいくらでも変わってきそうな雰囲気。当日の馬場状態や天気もしっかり見極めて結論を出したい。