「罠っぽい」サトノレーヴはバッサリ…迷ったときはアレな高松宮記念の展望と攻略ポイント
「春はセンバツから」というフレーズもあるが、競馬民にとって「春は高松宮記念から」の方がしっくりくるかもしれない。
え?芝2000mのG2だって?そうそう、ウイニングチケットがナイスネイチャに負けたり、ヒシアマゾンが逃げてマチカネタンホイザに差されるとかあったね。おじいちゃん……高松宮杯は何年も前になくなったでしょ?
そんな話は置いといて、今年の高松宮記念(G1)の話をしよう。
現在のスプリントマイル路線は、絶対王者が不在で群雄割拠の状況が続いている。最初に過去5年における勝ち馬の変遷を見てみたい。
1番人気に応えたのもグランアレグリアのみと、なかなか壊滅的な感じ。半数は3番人気以内が勝利しているものの、残り半分は6番人気1勝、8番人気2勝、9番人気2勝、極めつけに12番人気も1勝だ。これh過去10年の勝ち馬についても同様で、1番人気馬の勝利は2016年のビッグアーサー前が壁のみ。いや、それはスプリンターズS(G1)だろというツッコミはあえてスルーする。
先週のWIN5にしても堅そうな雰囲気を醸し出していた後ろの2レースが波乱に終わり、3レース目の愛知杯(G3)も予想通り荒れた。今週も前半は比較的堅い決着があったとしても、勝負どころの後半でゲームオーバーというオチは避けたい。
高松宮記念(G1)登録馬
ウイングレイテスト 松岡正海
エイシンフェンサー 川又賢治
オフトレイル 菱田裕二
カンチェンジュンガ 武豊
キタノエクスプレス 国分恭介
サトノレーヴ モレイラ
スズハローム 佐々木大輔
トゥラヴェスーラ 丸山元気
トウシンマカオ 横山武史
ドロップオブライト 幸英明
ナムラクレア ルメール
バルサムノート 亀田温心
ビッグシーザー 北村友一
ペアポルックス 岩田康誠
マッドクール★ 坂井瑠星
ママコチャ★ 川田将雅
モズメイメイ 松若風馬
ルガル★ 西村淳也
ヴェントヴォーチェ シュタルケ※★はG1勝ち馬
フルゲート18頭での争いが必至の様相であり、G1馬は3頭が出走予定。これらに浜中俊を降ろしてルメールを起用したナムラクレア、今週から短期免許で来日するモレイラを配したサトノレーヴとの対決が見どころだろう。この条件で騎手買いナンバーワン候補の団野大成はいないのか……。
ただ、何となく察しがつくのは、そこまでクソ荒れそうな感じでもなさそうなこと。ハマレば怖いのはオフトレイルくらいかなってとこ。こういう馬に団野なら不気味なのだが、菱田君はそこまで想定外の乗り方をしないタイプ。人気がないなら穴で馬券に足してきたいって程度かもしれない。
やはり注目はルメールとナムラクレア
ナムラクレアは間違いなく現役トップクラスのスプリンター。
しかし、「浜中俊被害者の会」で筆頭ともいえるツキのなさが勝利を遠ざけてきた。個人的に浜中俊は嫌いじゃないのだが、ハマったときしか上手くない騎手でもある。ダメだコイツと強く感じたのは、昨年の高松宮記念。完全に前残りした展開を後方に下げて脚を余したままマックドールのアタマ差の2着に惜敗した。
下手糞なら前に行けを実行しているガシマンと頭でっかちな乗り方をしてしまう浜中の差と言っていい内容だった。重馬場のスローで逃げればいいのに番手に控えて4着負けたウインカーネリアンのゴ三浦師匠もさすがといえるセンスのなさである。
トウシンマカオは乗り替わりがマイナス
かといって陣営がスプリンターズS(G1)で横山武史を起用したのも疑問。エフフォーリアでブレイクしたイメージが根強く残る一方で、相棒の不調とともに武史の勢いも急降下。ソールオリエンスで皐月賞(G1)を圧勝した一方、日本ダービー(G1)でD.レーンに格の違いを見せられてクビ差の2着に負けた。
エフフォーリアのときと同じく、これらは武史の経験不足が敗因と考えていいだろう。晩年に覚醒した福永祐一、腕達者のレーンが相手だったのは可哀想だが、乗り方次第で両方、少なくとも片方は勝てたレースだったと考える。
当時のお釣りもあって騎乗馬の質は恵まれたままだが、G1や重賞でかつてのような勝ち運は持っていない。マイルCS(G1)のナミュールが、康太でも勝ててしまったのだから仕方なし。調子のよかった頃は、武史なら何かやってくれそうという期待感もあったのだが、今では逆になってしまった。元々いいセンスを持っている騎手だけに、この逆境を跳ね返してもらいたい。トウシンマカオは乗れている菅原なら狙いたかったのだが。。。
そんな流れのあって今回託されたのがルメールだ。芝1200mは中長距離ほど得意ではないものの、こと重賞レースに限定すると成績は急上昇する。2015年にJRA所属して以降の芝1200mで重賞以外は、先週までで【63- 57- 36-179/335】勝率18.8%だが、重賞限定では【8- 3- 3-19/33】勝率24.2%とパワーアップ。いい馬ばかり乗っているのは否定しないが、数字としては十分に一流騎手である。
とりあえずルメールを持ち上げてみたが、ルメカス乗せたらすぐに勝てるのかってなると、それはそれで分からない。G1馬3頭に加えてこの馬ってところだろうか。
扱いが悩ましいのはモレイラのサトノレーヴ。スプリンターズSはピューロマジックが掻きまわしたレース展開も大きく影響した。そもそも中山の芝1200は逃げ切り勝ちが大量に出るほど、行ったままになりやすい舞台。馬場がいいとハイペースになっても差し馬が届かなくなるのはお約束だ。
サトノレーヴはモレイラ頼み
まあそれでも前年の勝浦特別(2勝)を翌日のスプリンターズより速い時計で勝ったようにコース適性はあったにもかかわらず、自分より後ろの馬に交わされたのは弁明の余地がない。暮れの香港スプリント(G1)で3着に巻き返し、やっぱり強いのかもしれないと思わせておいて、初コースの左回りで中京芝1200は、どう考えても罠の匂いがしてしまう。
まあ、あれじゃない?悩んだときは実績重視ということでG1勝ち馬にルメカスで足りそうな気もするよね。少なくとも1着じゃなければ的中にならないWIN5だと、ナムラクレア、マッドクール、ママコチャ、ルガルが有力候補といったところ。後は枠順や馬場状態を確認して検討してみたい。