今週から3月に入り、牝馬は桜花賞トライアルのチューリップ賞(G2)、牡馬は来週9日にディープインパクト記念弥生賞(G2)が行われる。これまで多くのクラシックホースを送り出してきた両重賞だけに注目度は高い。
とはいえ、近年はトライアルとして意味をなさなくなりつつある傾向も強い。かつてはトップ級の大物が、こういった前哨戦で休み明けを使い、一度叩いてから本番に向かっていたものの、外厩全盛の昨今は直行が主流となっている。
ただ、それはノーザンや社台など外厩施設で調整をしている大手がほとんど。そもそも中小のクラブや馬主は、悠長に構えていられるような大物もおらず、相変わらず権利取りに終始する。
特に天栄やしがらきは、そこらの調教師より決定権を持っていると噂されるくらいであり、一部のファンからは「エサやり係」「レンチン調教師」と揶揄されることもある。ならトライアルを使わない分、余裕があるのかと思いきや、超大物クラスの場合は年に数戦しか走らないケースも珍しくはない。
実績があるからこそ、そういった使い方も可能な訳だが、ある意味ではホワイト企業だなあと思う。
その割にブレイディヴェーグやチェルヴィニアは、中間で色々と胡散臭い話もSNSで見掛けたが、実際のところはどうだったのだろうか。表向きは全馬がレースを勝つために万全の仕上げを施すという建もあるのだが、彼らからすれば馬券を買うファンの懐など知ったこっちゃない。せいぜい我々が出来ることは、大本命の凡走に裏切られたとやけ酒を飲む程度。だからこそ常に疑うことを忘れてはならないのだ。
表に出ない八百長まがいの中間過程は、やはり存在する。終わってから実は放馬があったとか、熱を出していたとか、脚元を痛めていたとか、聞いてねえよというコメントに怒りを覚えたことがないだろうか。本来なら取材をしているはずのメディアが情報を共有すべきにもかかわらず、ネットで出てくる情報は順調な調整で態勢は整っているなど、耳障りのいい話ばかり。
これでは新聞を買うこと自体が、誤った情報を鵜呑みにするリスクを伴うだけ。可能な限り1週前やレース前の追い切りなどをチェックして、自己防衛した方がいい。当然ながら全部が全部でたらめな訳ではないのだが、盲目的に信じてしまうのも善し悪しだ。特に調教のジャッジなんかは、担当記者やTMの主観も強い。追い切りよくないって書いてたから買うのをやめたのに普通に走ったなんてことはよくある話である。
あ、少し話が脱線し過ぎたか。本稿のテーマはクラシック候補についてだった。まずは賞金上位の馬を掲載してみたのでご覧いただきたい。
ある程度、予想通りのメンバーだ。
東京スポーツ杯2歳S(G2)とホープフルS(G1)を快勝したクロワデュノールは、強さとセンスを併せ持つ一流馬。まだキャリア3戦ながら、既にサートゥルナーリアやコントレイルを凌ぐスケール感がある。父キタサンブラックはイクイノックスと同じで、直行予定の皐月賞(G1)でも大本命に支持されそうだ。
阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)を優勝したアルマヴェローチェも桜花賞(G1)に直行が既定路線。チューリップ賞に登録がなかったため、おそらくそうだろう。
朝日杯フューチュリティS(G1)を優勝したアドマイヤズームは、ニュージーランドT(G2)を予定。ここを使ってNHKマイルC(G1)のお約束か。共同通信杯(G3)を楽勝したマスカレードボール、きさらぎ賞(G3)圧勝のサトノシャイニングも皐月賞が濃厚。先日のクイーンC(G3)で復権したエンブロイダリーは桜花賞か。シンザン記念(G3)優勝リラエンブレムは未定、フェアリーS(G3)優勝エリカエクスプレスは桜花賞っぽい。
大体が本番で上位人気を予想される面々だ。まあそんな当たり前の話をしても仕方がないため、あえて無敗馬にスポットを当てる。なぜかって?無敗馬イコール底を見せていない馬だから、状況次第では下剋上があるかもしれないからだ。
牡馬の筆頭は、やはりエリキング。野路菊Sと京都2歳S(G3)で続けて破ったジョバンニが、ホープフルSでクロワデュノールの2着に激走。相対的に本馬の評価も上がった。勢いのある藤田晋オーナーと川田×中内田充正の黄金タッグなら人気は当然。
しかし、京都2歳S組は皐月賞で馬券に絡むイメージは弱く、まだ同時期のシンエンペラーの方が見どころのある馬だった気がする。直行予定らしいが、個人的には消し候補に近いかもしれない。例年この手の馬はちょくちょく見掛ける。弱い相手に連勝して本番で壁にぶつかるタイプ?。
次のグループは2戦2勝組。見劣りする馬やダートで連勝した馬を除くと、ファンダム、エネルジコ、ナグルファル、デンクマール、ヴィンセンシオ、マテンロウバローズといったところ。機動戦士っぽいファンダムはマイル路線濃厚。マテンロウバローズは、こぶし賞で強い競馬。次走は未定でありローテーションも少しきつい。牝馬のルージュラナキラは、フィリーズレビュー(G2)で注目を集めそうだ。
前走でひいらぎ賞(1600m)を使ったデンクマールは、スプリングS(G2)という噂も出ているが……。母リリーノーブルなら距離も持ちそうだし、デビュー戦の東京芝1800で上がり33秒7をマーク、L3も11秒7-10秒9-11秒1とまとめており楽しみはある。
エネルジコについては記事でも取り上げたように面白い存在。ドゥラメンテ教の信者として大いに期待したい馬だが、まだまだ未知数。こちらも次走は不明だが、陣営がクラシックを意識している素質馬であることは間違いない。
ヴィンセンシオはデビュー戦をルメール、2戦目をビュイックと期待されている馬だが、結果的に負けていないとはいえ、強いかどうかはわからない。弥生賞組ならともかく、近年の葉牡丹賞で強かった馬ってレイデオロが目立つくらいじゃないかな。リアルスティール産駒で母父キングカメハメハだから、ダート走らせれば怪物だったりするかも。
あ、なんでクラシックの話をやろうかと思ったのは、弥生賞にナグルファルが出走を予定しているだからだった。エリキングだけじゃなくナグルファルにも唾つけてるあたりは、さすが川田の政治力ってところ。この馬はダートで走ってるサトノエピックの下なんだね。
ただの前残りじゃなく、前々で競馬をして上がり最速を使っているんだから強い。弥生賞にはナグルファルの他にヴィンセンシオ、ジュタ、ピコチャンブラック、ミュージアムマイルなどが出走を予定しているみたいよ。
もしここも制して3連勝をするようなら赤丸急上昇。でもなあ、クロワデュノールの春二冠は、おそらく堅そうな気がするんだよなあ。ダービーのマスカレードボールに逆転の望みを掛けたいが……。
むしろ牝馬の方はそこそこ混戦ムード。エンブロイダリーやエリカエクスプレスも通用しそう。あ、エリカエクスプレスは圭太ちゃんだっけ?1着はないんだろうなあ。
というわけで今回は雑談に近い内容でした。