マスカレードボール「中山適性」より痛い川田将雅の存在…クロワは負けて強し【皐月賞回顧】

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マスカレードボール「中山適性」より痛い川田将雅の存在…クロワは負けて強し【皐月賞回顧】

クロワデュノールは敗れても十分に強さを証明

中山11R皐月賞(G1)芝2000

2番人気サトノシャイニング8.6倍、3番人気ミュージアムマイル10.6倍に対し、1番人気クロワデュノールが単勝1.5倍の圧倒的に支持された今年の皐月賞(G1)。4角で早々と2番手に押し上げたチャンピオンを差し切る大金星を手にしたのは、モレイラとミュージアムマイルのコンビだった。

もしかして負けてしまうのか…無敗の2歳王者が?

そう感じたときには、後方で脚を溜めていた刺客が並ぶ間もなく交わし去った。展開の有利不利はあれど、2頭の着差はハナやクビではなく1馬身半と思いのほか広がっていた。

ホープフルS(G1)から直行したクロワデュノール、これまで負かした馬たちが次々と前哨戦を勝ち上がり、これといった脅威も存在しないはずだった。それでもトライアルで凡走した相手に敗れてしまったのだから競馬は分からない。

殊勲のタイトルを手にしたミュージアムマイルにしても、デビュー戦で3着に敗れ、昨年の朝日杯フューチュリティ―S(G1)でアドマイヤズームから2馬身半突き放されての2着。トライアルの弥生賞(G2)もファウストラーゼンに完敗の4着では、さすがに足りていない印象の方が強かっただろう。

モレイラか、モレイラ以外か

もし何かあるとすれば鞍上のJ.モレイラ。3月下旬に短期免許で来日したマジックマンは、1ヶ月も経たないうちに高松宮記念、桜花賞、皐月賞とG1を3連勝してしまった。

「本当に良い馬ですね。素晴らしい瞬発力を最後に見せてくれました。実は道中で、あまりスムーズな展開にならなかったのですが、最後は素晴らしい脚で勝利を獲ることができました。距離を延ばしても問題ないと思います。確かに結果を出すこともできましたが、勝てたのは皆さんに協力していただいたおかげなので、皆さん本当にありがとうございます」

会心の騎乗をそう振り返ったモレイラ。パートナーの能力がなければ勝てなかったレースとはいえ、モレイラ抜きで勝ったイメージは湧かない。

それほど、JRAの騎手との間に埋めがたい溝を感じさせられる好騎乗だった。当たり前のように勝ってしまうことが既に常識離れしており、ここまで来るとレースの予想をするより、とりあえずモレイラから買っておけばいいんじゃないかと思えるほどである。

皐月賞全パト

1分57秒0(良)の勝ちタイムは、ジャスティンミラノが優勝した昨年の1分57秒1を0秒1上回った。クッション値に関しては今年の方が硬い馬場だったものの、メイショウタバルのような暴走がなかったため、比較的落ち着いた。

レースラップは前後半5F59秒3-57秒7(後傾1秒6)。

12秒1-10秒2-12秒2-12秒5-12秒3:59秒3
11秒4-11秒5-11秒8-11秒4-11秒6:57秒7

L5で急激にラップが速くなったのは、もちろんファウストラーゼンの仕業。念のため弥生賞の映像も見直してみたが、このときも同じくらいのタイミングで先頭。8枠17番を引いた時点で杉原のハラも決まっていたはずだ。

ただ、この少し早いマクりが結果的にクロワデュノールに堪えた気もする。

通常のレースなら緩急もついて息を入れるタイミングが生まれるものの、道中でずっと外を回しながら直線で2番手の強気なポジション取り。マークする側なら相手を見ながら合わせればいいが、マークされる側がちょうどいい目標にされる騎乗をしてしまった。

さらに加えると、これは結果論ではあるがモレイラは3角8番手→4角10番手で直線まで追い出しを待っている。逆に北村は6番手→2番手に押し上げていたのだから、仕掛けが早過ぎたかもしれない。

しかし、こればかりは北村友一の技術不足を責めても仕方がない。王者として迎え撃つ競馬もしたし、先行勢で残ったのもクロワデュノールただ1頭だ。1馬身半の着差ほど負けたレースではないと思う。

展開のアヤと強気過ぎた北村友一

勝ち馬ミュージアムマイルは見事な勝利である一方、これで勢力図をひっくり返したとまでは言い切れない。弥生賞の幸英明起用は、本番で外国人騎手を乗せるために後腐れのない人間を使い捨てで乗せただけだったのは察しが付く。幸英明の継続なら皐月賞勝利はおそらくなかったはずだ。

よもやの2着に敗れたクロワデュノールだが、やはり一番強い競馬をしたのはこの馬。着順については北村友一とモレイラの差でしかないのではないか。それでも好位抜け出しが基本の中山で勝って、騎乗ミスで取りこぼすなら東京の日本ダービー(G1)と推測していただけに意外だ。

勿体なかったのはクロワからクビ差3着まで追い上げたマスカレードボール。スタートこそよくはなかったが、初コンビの横山武史もポジション取りを意識しながらスペースの確保を考えていた。

どちらが加害者か分からない川田将雅の騎乗

ところが、これの邪魔をしてきたのが川田将雅。ちょうど内から3~4頭目の位置を取り合う格好となったが、後輩のプレッシャーで引いては面白くないとばかり、意図的に武史にぶつけに行っている。制裁のルールでは後ろからきた馬が加害ばとなるため、武史に5万円の過怠金が課されたものの、あえて個人的な感情をぶつければ、意地が悪い嫌がらせにも映った。

※武史はまっすぐ走らせているが川田はぶつけにいっている。

その結果、1コーナー入り口では遠心力の影響で外へフラれた上にポジションも後ろになってしまった。もしこれがなければという不満はあれど、あの不利な展開から直線だけでクロワデュノールを追い詰めたのだから価値がある。

厳しいことを言うなら、モレイラが乗っていれば勝てたレースだったかもしれない。こういうのは不利を受ける位置にいるのも騎手の手腕に含まれているからだ。

一強状態の牡馬クラシックに異変

今回、武史が「中山は合わない」と言い放ったマスカレードボールをあえて狙ったのは、当方が現在の乗れていない武史を信じていなかったこともある。コース適性も東京より明らかに中山を得意としており、それもダービーでの乗り替わりを希望している理由のひとつだった。

レース後の武史は「スタートは相変わらず一息で、先生ともある程度ポジションが欲しいねという話をしていましたが、(川田のせいで)取れませんでした。ただ、終いは脚を使ってくれました。会見でも話した通り中山はあまり得意ではありませんが、今日は能力だけで来てくれたと思います。馬が順調でダービーを使えるようでしたらかなり楽しみです」とのこと。

これでダービーなら勝てるのではないかという希望も目途が立った。本音は掲示板確保くらいで乗り替わりがよかったけども……。

上位5頭は世代上位の力を証明

後の馬については、大方の力は出せたのではないか。

サトノシャイニングは西村淳也が「1角、向正面と何度も当てられました。今日は終始ストレスのかかる競馬になってしまいました。直線は前をとらえられるかと思ったくらいでした。今日は本当に運がなかったです。残念です」と悔やんだが、致命的な不利まではない。クロワデュノールとの力差、8枠16番で終始外を回らされたことを考えれば、悲観するほどの敗戦でもなさそう。

4着ジョバンニは危険な川田の影響を受けない一列前の好位。絶好の位置を走れていたが、内にいたニシノエージェント津村にぶつけられて外のミュージアムマイルと接触する不利。これで下がってしまったのが痛い。それでもこれなら思っている以上に強い馬だ。

超速馬場で逆に持ち味が生きなかったファウストラーゼンは大敗したものの、ホープフルSで1着のクロワが2着、同2着ジョバンニが4着ならレースレベルの裏付けも取れる。

密かに目を引いたのは直線13番手から、上がり最速33秒8で6着に入ったマジックサンズと17番手から7着まで追い上げたキングスコールの2頭。かといってこれは何もしなかったお陰で前崩れの展開が向いたと考えれば価値は下がる。

当方としては2歳時に東西横綱と評していた2頭が2着3着なら、まったく力を出せなかったホープフルSの大敗や武史の発言だけで諦めずに買い続けた自分を褒めたいところ(笑)。ほら、一応クロワが取りこぼすなら超速馬場が原因の可能性が出てきたという話も書いた。

JRAが「前が残って差しが決まりにくいうんこ超速馬場」を作ってきたからこそ、マギレができる隙も生まれた。これについてはファウストラーゼンが犯人。でも追い掛けた北村友一も経験値が足りていないよね。

では他の騎手のコメントも載せて終わります。

コメント

4着ジョバンニ 松山弘平
「スタートもよく、前走よりも明らかに活気があって、一度使われて良くなっていた。クロワデュノールの後ろを取ることが出来て本当に良い形でした。ただ、向正面の不利でポジションが下がってしまい、すごく悔やまれます。あれだけトモをぶつけられてバランスを崩しました。それだけに悔やまれます」

※本当に残念な不利だった。

7着キングスコール 藤岡佑介
「スタートが全てですね。立ち遅れた分の位置取りの差だと思います。終いはよく来てくれましたが、あの位置からではノーチャンスでした」

※出遅れて後ろにいたお陰の追い上げ。

9着ヴィンセンシオ ルメール
「何回もぶつけられてリズムを作れませんでした。ゴールまで動けていて悪くはなかったのですが、手応えが一息でしたし3~4コーナーでも忙しい感じがありました」

※力負け。

11着エリキング 川田将雅
「具合良くレースを迎えられました。ダービーで改めてですね」

※まるで反省していない。

個人サイトなので各方面に配慮はしていません。