国枝厩舎のワンツーであっさりも?馬券はドバイより楽しめる大阪杯の展望と攻略ポイント

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国枝厩舎のワンツーであっさりも?馬券はドバイより楽しめる大阪杯の展望と攻略ポイント

サトノレーヴ、ナムラクレアがデッドヒートを繰り広げた高松宮記念(G1)。それぞれに騎乗したJ.モレイラ、C.ルメールの巧みな手綱捌きと駆け引きは実に見応えがあった。

6年ぶりの良馬場開催だったことも、馬場や展開の紛れを味方に浮上する穴馬の台頭を許さなかった。アッと驚く大波乱も競馬の醍醐味のひとつではあるが、そこはやはりG1の晴れ舞台。好天の綺麗な馬場で強い馬が不利なく実力を発揮するレースを見届けたいもの。公営ギャンブルである以上、高配当の馬券を的中する楽しみはあれど、堅い決着でも満足度の高い好レースだったように思う。

今年の高松宮記念にはママコチャ、マッドクール、ルガルといった既にスプリントG1勝ちのある3頭が出走していたが、彼らが栄冠を手にした舞台で惜敗を繰り返していたのがナムラクレアだ。いつ勝っても不思議ではない実力を持ちながら、ツキのなさも本馬を語る上で切り離せなかった。

それが主戦を務める浜中俊の降板という苦渋の決断を陣営に下させた訳だが、横山武史を経てついに名手ルメールの起用。絶対にもう負けられない覚悟での出走だったものの、よりによってモレイラが立ちはだかったのだから、ここまでくると見えない力が働いているようにすら映る。

年齢的にも秋のスプリンターズS(G1)がラストチャンスとなりそうな状況。コンビ継続も含めて見守りたい馬である。

そして4週連続で開催されるG1の第二弾は、舞台を阪神に移して大阪杯(G1)。翌週に桜花賞(G1)も控える仁川だが、超速馬場から時計の掛かるタフな馬場に一変していた中山や中京と異なり、先週の開催で好タイムと速い上がりが目立った阪神だけに、枠の内外や各馬の馬場適性なども含めて勝ち馬を探さなければならない。良馬場での開催を願うばかりだ。

とはいえ、近年の大阪杯がもうひとつ盛り上がりを欠いていることも事実。2017年にそれまでのG2からG1に格上げされた本レースだが、初年度王者キタサンブラックはともかく、それ以外の勝ち馬でG1を優勝した馬はいない。

大阪杯過去10年

最も話題になったという意味では、コントレイルやグランアレグリアが参戦した21年か。とはいえ、切れ味が武器の両馬は重馬場で実力を発揮できず、馬場適性を味方につけたレイパパレが逃げ切りを決めて波乱を起こした。

以降もポタジェ、ジャックドール、ベラジオオペラが優勝したが、失礼ながらG1馬と呼ぶにはどことなく小物感が漂う面々。グランプリ・宝塚記念(G1)も生涯唯一のG1勝ちという馬を多数輩出しているが、現在の大阪杯もまた、その劣化版といわれても否定しづらい感じだ。

というのも同時期にドバイワールドカップデーが行われることも大きい。賞金格差は埋めがたく、国内のトップクラスも積極的に遠征する競馬の祭典。ターフやクラシックに出走予定の馬が、もし大阪杯に参戦してたら俄然面白くなるのだが、この風潮は今に始まったことでもない。

たとえ2軍や格落ちと軽んじられるようと、馬券が的中さえできれば競馬ファンは楽しめるものだ。むしろ前日土曜の夜からG1の観戦や馬券購入が可能な訳であり、前向きに受け止める方がギャンブラーとして健全なのかもしれない。

では大阪杯の出走予定馬から確認してみよう。

大阪杯登録馬

アルナシーム    横山典弘
エコロヴァルツ   デムーロ
カラテ       和田竜二
キングズパレス   浜中俊
コスモキュランダ  丹内祐次
シックスペンス   横山武史
ジャスティンパレス 鮫島克駿
ステレンボッシュ  モレイラ
ソールオリエンス  松山弘平
デシエルト     未定
バビット      未定
ベラジオオペラ   横山和生
ホウオウビスケッツ 岩田康誠
ボルドグフーシュ  吉田隼人
ヨーホーレイク   岩田望来
ラヴェル      北村友一
ロードデルレイ   西村淳也

G1勝ちのある馬はジャスティンパレス(天皇賞・春)、ステレンボッシュ(桜花賞)、ソールオリエンス(皐月賞)、ベラジオオペラ(大阪杯)の4頭。主力不在の割には揃った方ではないか。

ステレンボッシュ(牝4、美浦・国枝栄厩舎)

昨年は桜花賞(G1)で2歳女王アスコリピチェーノを破り、阪神JF(G1)のリベンジを決めたが、優駿牝馬(G1)と秋華賞(G1)でルメールのチェルヴィニアに連敗。暮れの香港ヴァーズ(G1)はジアヴェロット、ドバイオナーの続く3着に敗れたが、道中最後方から勝負どころで外から進出し、一時は先頭に躍り出るかという見せ場十分の内容だった。

先着した2頭は道中でじっくり脚を溜めていたため、大外枠から後方を回しての競馬ではこれが精一杯。それよりも初の海外遠征で力を出せたことに意味がある。高松宮記念を制したサトノレーヴも香港3着からの巻き返しに成功した。ドバイに遠征しても不思議ではない馬が手薄な国内G1に出てくるなら最有力候補といえるだろう。

昨年チェルヴィニアに後塵を拝したとはいえ、相手はルメールでこちらは戸崎圭太。鞍上の差がそのまま着順に反映されたともいえる。今回は桜花賞でコンビを組んだモレイラが再登板という願ってもないチャンス。他の騎手に格の違いを見せつけるかもしれない。

シックスペンス(牡4、美浦・国枝栄厩舎)

昨年の3歳クラシックには縁がなかったものの、デビュー3連勝で注目を集めた逸材。中間の調整が整わなかった皐月賞(G1)を回避し、何とか日本ダービー(G1)出走にはこぎつけたが、3番人気9着に大敗した。ただこれが本来の実力ではなかったことは明白だ。実際のところは定年間近の国枝師の悲願達成を優先したというところか。

秋に復帰した毎日王冠(G2)、今年の中山記念(G2)はルメールを背に連勝。着差こそ小さいものの、危なげなく勝利した。本馬にツキがなかったのは頼みのルメールがドバイ遠征で横山武史へと乗り替わる点。一時は飛ぶ鳥を落とす勢いでトップジョッキーの仲間入りを果たした若武者も、最近はかつてのような意外性や強気な騎乗が減った。

これは本人も重々承知していると考えられるが、そろそろ復活の狼煙を上げたいタイミング。馬の方は馬体重も増えて充実一途であり、後は武史次第かもしれない。

ベラジオオペラ(牡5、栗東・上村洋行厩舎)

いわずもがなの昨年の覇者。スローペースを味方に好走するレース巧者である。昨年の宝塚記念3着、天皇賞・秋(G1)6着、有馬記念(G1)4着と安定感がある一方、昨年は今年よりレベルが低かった可能性は否定できない。

大崩れはしないタイプではあるが、パンチ不足のイメージは付きまとう。有力候補であることに変わりはないのだが、そこは名トレーナーとして頭角を現した上村洋行調教師の手腕に期待。5着以内には間違いなく入ってきそう。

ロードデルレイ(牡5、栗東・中内田充正厩舎)

ルガルでスプリンターズSを勝ち初G1制覇を遂げて名を全国区にした西村淳也の騎乗が魅力。勢いもある魅力的な1頭だが、日経新春杯(G2)制覇まで重賞の壁に跳ね返されていた過去は気になる。

ただ同レースで破ったショウナンラプンタが阪神大賞典(G2)で1番人気、3着マイネルエンペラーが日経賞(G2)でアーバンシック相手に大金星を挙げた。相手関係に裏付けが取れたという意味では好材料だ。「史上最弱世代」の汚名返上をするためにも、人馬ともに結果の欲しい大一番となる。

ジャスティンパレス(牡6、栗東・杉山晴紀厩舎)

イクイノックス、ドウデュースらを輩出したハイレベル世代のG1常連。2年前の天皇賞・春でG1初制覇を遂げたが、その後は掲示板を賑わせるまでで1着からは遠ざかった。年齢的にそろそろピークアウトの雰囲気もある中、鮫島克駿に再びチャンスが回ってきた。

朝日杯FS(G1)で確勝級だったジャンタルマンタルを川田将雅にかっさわれる不運もあったとはいえ、そういう状況に直面したのも陣営の信頼を得られなかったことが理由のひとつ。G1勝利を渇望する本人の想いや努力は十分に伝わるが、”勝ち切れない止まり”なのではやむを得ない。こういったタイミングで存在感を見せることで上昇気流に乗っていきたい。

他にもエコロヴァルツ、ヨーホーレイク、ホウオウビスケッツ、デシエルト、ソールオリエンスなど一発の魅力を秘める伏兵候補が多数出走を予定。馬券的な妙味はドバイ以上にある面白いレースになりそうだ。

ポイント

トップジョッキーの大久が不在のため、いつも以上に騎手の巧拙がモノを言いそうな雰囲気。そんな中でモレイラの信頼感は絶大だ。高松宮記念でもルメールを手のひらで転がす完全無欠のパーフェクト騎乗。おそらくこの馬が1番人気の支持を受けそうだ。

対抗格のシックスペンスも当然有力。ステレンボッシュとはモレイラが乗った方が勝ちそうという程度。それより注目したいのは2頭とも国枝栄厩舎の管理馬であること。2頭出しは人気薄を狙えという格言もあるが、こちらは両方とも勝ち負けの期待が大きい馬。あっさり国枝厩舎のワンツーという結末も警戒したい。

レースに直接的な影響を及ぼしそうなのは、やはり阪神の馬場状態。週末の天気はまだ不鮮明ながら、悪天候の影響が直撃した中山や中京に比して阪神は良好なコンディションが続いている。真逆の馬場で行われた金鯱賞(G2)組の取り扱いには注意が必要だ。

かといって、国枝厩舎の2頭も高速馬場は歓迎のタイプ。後は中間の追い切りや枠順、当日の馬場状態も含めて最終結論を導きたい。