東京新聞杯(G3)末脚不発ブレイディヴェーグに納得も…切れ過ぎたウォーターリヒトと最低人気激走の罠【WIN5】

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 京都のきさらぎ賞(G3)をサトノシャイニングが圧勝した余韻が冷めやらぬ中、東京では安田記念(G1)を見据える東京新聞杯(G3)が行われた。

 G1馬が3頭といってもブレイディヴェーグ以外は、皐月賞馬ジオグリフ、NHKマイルC馬シャンパンカラーとピークを過ぎた感のある馬たち。注目はブレイディヴェーグが勝つのかどうかの1点のみだったと思う。

 だが、そのブレイディヴェーグ(牝5、美浦・宮田敬介厩舎)にしても本質は中距離馬。自身初のマイル戦となった昨秋のマイルCS(G1)で4着と凡走したことは記憶に新しい。このとき、追い込み一手の馬がポジションを上げ、前半で追走に脚を使った分だけいつもの切れ味が見られなかった。

 とはいえ、今回の相手はG1ではなくG3、コースも外伸び馬場だった京都から直線の長い東京に替わるなら巻き返して当然と見る向きもあっただろう

 ちなみに個人的な予想としては、いつもの追い込みに戻るとイメージしていたのだが、ルメールの取った選択は再び少し前での競馬。こちらについては、「G3のメンバーなら間に合う」という想いもあったはずである。

 しかし、競馬とは何があっても驚けない。驚けない以前にパドックで発表された馬体重は14キロ増だったのだ。これはデビュー以来最高体重であり、過去最高だった府中牝馬S(G2)の472キロよりさらに10キロ重い482キロ。成長分というには、さすがに太かったのではないか。

 結果は既にご存知の方も多数いるため、レースを振り返ることにする。

 レースは積極果敢に逃げたメイショウチタンがハナを奪って前半600mは34秒6と平均ペース。行き脚のつかないラーグリフ、スタートで出遅れたジオグリフ、距離延長を懸念したのかオフトレイルはまさかのポツン。鞍上は典ちゃんじゃなくてエスパー田辺だ。

 隊列から分かる通り、前の2頭だけ少し飛ばして中団グループ、後方グループの3つに分かれた。これを見て秋天のパンサラッサを思い出した人がいるかもしれないが、あそこまで極端な前傾ラップではない。実際、メイショウチタンの刻んだ前後半は、34秒6-35秒1と絶妙な塩梅。吉田豊の逃げが評価される理由も分かるラップ構成であり、レースラップとしても12.5-11.0-11.1-11.5-11.6-11.3-11.6-12.0と非常に美しい数字が並ぶ。

 16頭立て最低人気で単勝オッズも257.0倍という超のつく人気薄だが、本馬の好走条件は気持ちよく飛ばすに尽きる。近走で馬券に絡んだ際も人気薄がほとんど。吉田豊の逃げは上手いから「下手糞でも逃げれば何とかなる」とは言わないが、この手の無視されてなんぼという馬は、ノーマークのときほど空気を読まない。

 開幕から速い時計を見掛けなかった東京だが、芝の重賞ということもあって勝ちタイムは1分32秒6とまずまず。例年より渋った馬場の影響で少し遅かった程度だ。

 当然ながらメイショウチタンが前残りしたからには、差し追込み馬には厳しい展開。いつもより前で競馬をして2着に入ったボンドガールの実力も見えたし、割と順当な決着だったのかもしれない。

 

 ただ、勝ち馬のウォーターリヒトは凄まじい切れ味。同じような競馬で前走の京都金杯(G3)をサクラトゥジュールの2着に敗れていたが、今回はスッキリと差し切り。

 東京のコース適性に定評のある馬だが、こんな走りができるならNHKマイルの8着はなんだったのかと首をかしげるくらい。今回は田辺から東京専用機と言っていい菅原明良にスイッチしたのも好材料。ジオグリフがいただけにドレフォン産駒の成長力も少し意外に映った。

 それにしても栗東の西村淳也といい美浦の菅原明良といい、若手騎手の中でも見どころのある騎手とそうでない騎手の差が何となく透けて見える。菅原明良の場合は圧倒的にサウスポーという弱点はあるのだが、最もG1の多い東京競馬を得意としているのは、チャンスに恵まれる機会も多い。これは幸運だ。

 別にこのレースで大した分析もできていないが、切れに切れたウォーターリヒトが本来なら不利な展開でも届いてしまったといったところ。3番手のマテンロウスカイも5着、2番手のセオも6着に入っているのだから、長くいい脚を使える馬が好走したならウォーターリヒトを褒めるしかあるまい。

 で、話をブレイディヴェーグに戻すと、差し追込み馬が末脚不発に終わって凡走る典型的なパターンだったように思える。馬券としては3着メイショウチタンとクビ差の4着に終わり、これで悲鳴を上げたファンが大半。着差が着差だけに夢でうなされそう。

 しかし、ブレイディヴェーグが中途半端な負け方をしたのは気になるのも確か。タフさを求められる東京のマイルなら別に距離適性は1800の馬で問題なかったはず。たかが1ハロンでこんなにパフォーマンスを下げたのは意外だ。

 デビューから馬券圏内を外したことのなかった馬が1番人気で連敗。大方の予想通り、ルメールさんは「いい競馬は出来たが14キロ増」「1600向きのスピードが足りていない」「叩いた次の1800はピッタリ」とポジティブなコメント。馬券を買った側からすれば、「ふざけんなコラ」「だったら最初から使うなよ」という怨嗟の声が出ても不思議ではない。

 でもルメールは上手く乗っていたと思う。自分より後ろにいたウォーターリヒトに交わされたんだから、位置取りが悪かった訳でもないよ。戦犯なら外厩の天栄や宮田厩舎の仕上げ。彼らもまた先のG1を見据えていた訳で、どちらかというとファンが振り回されたってところかねえ。

 他の凡走した人気馬といえば、キング姐さんのサクラトゥジュール。あのキングでさえ折り合いに苦労して後ろのまま終わってしまった。買い時は明らかに前走だったかな。

 どうも連戦が利かなくなってる感じ。年を取るとみんなそうだよね(何が)。むしろ次走で復活ってのもありか。

 そういえば戸崎圭太君は今日の東京開催にいましたっけ?

 58キロで普通に走っている馬だけに1キロ増くらいで、ここまでパフォーマンスが落ちるのはどうか。富士S(G2)でソウルラッシュを楽に差し切った実力の持ち主にしては負け過ぎ。こちらについては圭太ちゃんがどうこうもないと思う。あまりにも走らなさ過ぎた。次走で即復活を期待するには微妙な敗戦である。

★次走注目

ウォーターリフト…本格化の兆し
ボンドガール…控える競馬も慣れてきた
サクラトゥジュール…人気を落とすようなら