武豊vs西村淳也vs岩田康誠の三つ巴…金鯱賞で脱落した「危険な人気馬」は?【WIN5】
皐月賞トライアルのスプリングS(G2)が行われる今週末の中央競馬だが、それより30分早く発走するのが中京メインの金鯱賞(G2)だ。
少頭数のレースとなるケースが多い割に、過去10年における3連単の平均配当は11万6850円と波乱の傾向にある。と、ビビらせておいて原因は最低人気のギベオンが大穴を出した2021年の78万3010円が引き上げているだけ。
実際のところは19年(1万1040円)、20年(1万4440円)、22年(1万610円)、23年(1万4340円)、24年(6100円)と堅いレース。あまり色気を出し過ぎても点数を無駄にする可能性も高そうだ。
ただ、勝ち馬が人気サイドの場合、実力的に抜けている馬も多く、今年はそこまでの馬がいるのかどうかは微妙な雰囲気である。
まず、枠順が確定したのでそちらから確認してみたい。
第61回中京11R金鯱賞(G2)芝2000
もう仕事でもないのにこんな画像まで用意しているのだから、どれだけ時間を持て余してるのかという感じだが、やっぱり視覚的に見やすい方がいいよね。
可能なら先手を取りたいホウオウビスケッツは願ってもない内枠の2枠2番を引いた。開幕週で高速馬場が予想されるため、最初の条件はクリアしたと言っていいだろう。
今回、翔伍君にしては珍しく武豊に騎乗依頼したデシエルトは真ん中の5枠5番。スタートで両サイドの馬に挟まれなければ、好位からの競馬が見込める。
プログノーシスも7枠8番なら問題なし。スタートの速い馬でもないから、半端に内でゴチャつくよりも外で伸び伸びと走れた方がいい。
もちろん、この3頭以外の馬にも侮れない実力の持ち主がおり、馬券に関しては狙いたい馬もいる。
しかし、本サイトはあくまで「JRAが指定する5つのレースそれぞれで1着になると思う馬を選び、5レース全ての1着馬を当てる馬券」であるWIN5専門。荒れない保証はないものの、上位人気が予想される3頭について比較をしてみたい。
デシエルト
ひとまずは「武豊vs西村淳也vs岩田康誠の三つ巴」の想定で、最初にレジェンドが騎乗を予定しているデシエルトから。
デビューからの戦績は、別記事で詳細に触れたため、本稿では近2走を中心に分析する。
元々スピードに長けた馬であり、デビューからの3連勝も逃げてのもの。芝に戻した2走めのアンドロメダS(L)も前走の中日新聞杯(G3)も逃げ切り勝ち。しかも後に日経新春杯(G2)を勝つロードデルレイ相手に連勝した。
金鯱賞の舞台設定も前走と同じく中京の芝2000m。ヤスが快速で飛ばす逃げ馬にカスタマイズしているため、今回もおそらくこの馬がハナに立つ可能性が高い。武豊と逃げ馬のコンビで金鯱賞といえば、ミッドナイトベット相手に大差勝ちを演じた1998年のサイレンススズカを思い出すよね。もうずいぶんと昔の話になるが、ウマ娘でも人気のキャラクターだから、ニワカ最近になってお競馬を覚えたファンにもお馴染みだ。
まあとにかく武豊のラップ感覚ってのは凄い。たまにドウデュースの皐月賞みたいなミスはあるけども、デシエルトは最初から逃げると考えていい馬。すんなりハナに立てば絶妙なラップを刻んでくれるはずだ。味噌県は週末の天気が怪しいものの、ダートで走っていた馬なら苦にしない。むしろ馬場の悪化は歓迎かもしれない。
では、パフォーマンスの良かった近2走を横の比較でチェックする。
これは昨秋の11月京都における芝2000m条件の勝ちタイム。BコースからCコースに替わったとはいえ、チャレンジC(G3)のラヴェルがデシエルトを上回った。川田はクイーンズウォークよりラヴェル乗った方がチャンスあるんじゃないか。
修学院S(3勝)で好タイムをマークしたショウナンアデイブが、次走の中山金杯(G3)で7着に敗れても、小倉大賞典(G3)で好走した裏付けにもなっているか。エリキングにそれほど大物感がない理由もこれか。
かといってデシエルトは3馬身半差の大楽勝だった訳で、中京芝2000mでは突き抜けたタイムで勝利。まあ比較対象が大した相手じゃないので何とも言えないが。でも前で競馬が出来るこの馬が、馬券の軸としては最も信頼性が高いといえそうだ。
プログノーシス
一昨年と昨年に連覇を達成したプログノーシスは、タップダンスシチー以来の3連覇を狙う。近年で同一重賞の3連覇に成功したのは以下。
タップダンスシチー 金鯱賞(G2・2003-05年)
エリモハリアー 函館記念(G3・2005-07年)
マツリダゴッホ オールカマー(G2・2007-09年)
ゴールドシップ 阪神大賞典(G2・2013-15年)
アルバート ステイヤーズS(G2・2015-17年)
あれれーおかしいぞー!G3よりもG2の方が多いんだねえ。これは数が少ないのと、G3よりも斤量を背負わされにくいのもあるか。いずれにしても各馬ともそれぞれがエキスパートだったということだ。まあ普通にWIN5でも前年の好走馬は人気薄でも好走するし、説得力は十分にある。
確かに前走の有馬記念(G1)は、スタートで出遅れたとはいえ、ゴ三浦師匠のお粗末な騎乗も目立ったし、昨夏の札幌記念(G2)もこれまでにないくらい落ち着きを欠いて出遅れ。同じG2で連覇に失敗した。
また、状態面については前進が見込める。1週前追い切りに騎乗した西村淳也は「言うことがない状態」「自信を持って臨める」と好感触。最近の西村は川田以上に好騎乗を連発しているだけに、この乗り替わりはマイナスよりプラスと見る。
何といってもあのクソ強いロマンチックウォリアーとクビ差の接戦を演じた馬だ。8歳の来年は分からないが、7歳の今年ならまだ持ちこたえてくれるのではないか。
ギベオンで大穴を出したのも西村であり、この条件は人馬ともに最適となる。
ホウオウビスケッツ
前述2頭を推した最後に触れるのはホウオウビスケッツ。川田の打算的な降板が見え隠れするプログノーシスと異なり、本馬の乗り替わりはおそらくヤスがお世話になっている奥村武調教師への義理と筋を通した継続騎乗だろう。
ほな聞かせてもらいますけどね、毎日王冠(G2)や天皇賞・秋(G1)で好走した馬ですやん。とても力が足りてないとは思えませんけどぉ?となる訳だが、どうにもこうにも引っ掛かるのは、これが実力ではなく、前残り超速馬場の恩恵を最高に受けた結果に映るのだ。
これ1000m通過は、毎日王冠が59秒4、秋天が59秒9とクソクソアンドクソスロー。どちらかというと、というより誰も行かなかった人災級の前残りである。だからこそこんな展開をケツから大外ぶん回して差し切ったドウデュースだけがヤバイってなる。
秋の2戦が真の実力なら中山金杯(G3)程度でこんな負け方しないよね。いくらドイルが乗っていたとしてもだ。つまり、「ヤスありき」の馬であることは間違いないのだが、典型的な「無視してもらってなんぼ」の馬なのである。
これを見ても一目瞭然。注目したいのはPCI値(50が平均目安で数字が大きいとスロー、小さいとハイ)だ。スローの東京新聞杯(G3)で3着に入れても、ペースが速いと東風S(L)ですら負ける。秋2戦と中山金杯のペースにおいても同様だ。
データ的にも芝1800m以上のレースで馬券に絡めたのは、61秒6、59秒4、59秒9、59秒6、59秒4、59秒9と遅いラップばかり。高速馬場で前残りが目立つ近年の競馬だからこそ、下手くそでも前に行けばチャンスがあるを体現しているのがホウオウビスケッツ。乗っているのが下手くそじゃなく、むしろ上手いヤスだから成立もしている。
これでもしデシエルトが不在なら、そんな展開も期待出来たのだが、そのデシエルトはヤスがハイラップの逃げで押し切る馬に仕上げた快速馬。両馬がハナ争いをした場合、スピード的に太刀打ちできないだろう。
仮に強引に競りかけたところで、自身の凡走条件である1000m通過59秒を切るペースになれば残せなくなる。相当厳しい展開が待っているのではないか。
結論
快速で飛ばすデシエルトとスローで前残りするホウオウビスケッツは真逆のタイプ。この2頭はセット案件にならないと見る。もし成立するとしたら豊がタメ逃げでペースを落としたケース。底力一番はプログノーシス。状態不安を囁かれても楽勝した昨年よりも中間は順調だった。こちらも馬場が渋っても一昨年の札幌記念を快勝したようにマイナスにはならない。穴で一考ならクイーンズウォークよりラヴェルかなあ。以上です。