マスカレードボール信者が期待するドラマとロマン…700万円の借りを返したいジャパンC
天皇賞は見た目以上に強い内容
東京12RジャパンC(G1)芝2400
【ジャパンC、30日・東京競馬場】クロワデュノールの参戦が正式に発表された26日の追い切りだが、当サイトのお目当てはもちろんマスカレードボールだ。
初G1制覇を遂げた天皇賞・秋(G1)と同じく美浦の坂路で嶋田純次(レースはC.ルメール)を背に追われ、4F53秒0-12秒4のタイムをマーク。稍重の状況で0秒4追走したツルマウカタチ(古馬2勝)に併入した。
前走は「異例の木曜追い」だったが、今回は平常運転の水曜追い。完調手前の状態からコンディションも上昇しているはずだ。天皇賞もなかなかのメンバーだったが、ジャパンCには未対戦のダノンデサイル、春の東京優駿(G1)で先着を許したクロワデュノールが立ちはだかる。現役最強馬を目指すには、こういった難敵を退けてこそ。引き続き負けられない戦いが続く。
ジャパンCの話をする前に天皇賞・秋の映像を振り返っておきたい。
天皇賞・秋全パト
大方の予想通り、武豊のメイショウタバルがハナを主張したものの、ラップ刻みの名手が選択したのは、1000m通過62秒0という超のつくスロー。ジョッキーカメラでルメールが「おっそいわ(怒」とこぼしている音声も含まれていたほどだ。
12秒6-12秒3-12秒2-12秒5-12秒4=62秒0
12秒2-11秒5-10秒9-10秒9-11秒1=56秒6
前後半5F62秒0-56秒6で後傾5秒4という酷いラップだが、この数字の並びなら最も注目すべきは「11秒5-10秒9-10秒9-11秒1」のL4だろう。いかに超スローだったとはいえ、4Fの上がりは実に44秒4という見たことのないような数字である。
勝ちタイムの1分58秒6(良)は、過去10年で2017年キタサンブラックの2分8秒3(不良)、16年モーリスの1分59秒3(良)に次ぐ遅い決着ではあったが、ことL4に関しては断トツの速さだ。
過去の天皇賞・秋でL4の速い順
25年マスカレードボール 44秒4(1分58秒6)
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20年アーモンドアイ 45秒3(1分57秒8)
09年カンパニー 45秒4(1分57秒2)
21年エフフォーリア 45秒4(1分57秒9)
05年ヘヴンリーロマンス 45秒4(2分0秒1)
24年ドウデュース 45秒5(1分57秒3)
19年アーモンドアイ 45秒6(1分56秒2)
15年ラブリーデイ 45秒6(1分58秒4)
18年レイデオロ 45秒8(1分56秒8)
確かにこれはペースを落とし過ぎた武豊の産物というのは間違いない。
東京の芝2000で最もやってはいけない逃げを敢行した名手の胸中は理解に苦しむが、これが暮れの中山で行われる有馬記念(G1)なら、理想的なラップにも映る。
馬場や舞台の違いはあるものの、宝塚記念(G1)のイメージに近いだろう。むしろ直後につけていた好位組がズルズルと後退した中、メイショウタバルは脚色が衰えることなく0秒2差で入線していたのだから、天皇賞を捨ててまで有馬記念の乗り方を試行錯誤していた疑惑まである。
それは別件として、天皇賞の話に戻ると「本当に有利不利だけで着順が決まったのか」も考えておきたい。
実質L4だけの上がり勝負に見えて、勝ち馬のマスカレードボールに「有利な状況だった訳でもない」ことは無視しない方が良さそう。戸崎圭太がどん詰まりしたブレイディヴェーグのような致命的不利がなかったにせよ、ルメールの騎乗で不利なく実力を出せただけ。普通に強い勝ち方をしていることは認めるべきだ。
というのもレース後のコメントで、本馬の走りに驚いたワードがいくつか出ていたからである。
まずルメールは、「レースのプランは特になかった」と振り返った一方、「ジリ脚でスタートの速くないこの馬がいいスタートを切ってくれ、好位置を取ることができた」と話している。これはレースに入りが遅かったため、出して行かなくてもそこそこのポジションをキープ出来たという意味でいいか。
次に気になったのは「向正面でペースが落ちた時には心配になった」というワード。おそらく「おっそいわ」のシーン前後と思われるが、「長くいい脚を使うことは分かっていたものの、切れ味を発揮できるかどうかが分からなかったから」と続けている。
これらをまとめると、「出脚のよくない馬なので、ある程度後ろからの競馬は想定していた」「いい脚を長く使えても一瞬の切れには不安があった」ということ。
ところが、パートナーは32秒3(3位タイ)の切れ味を見せて勝ち切った。上回れた上位2頭はさらに後ろにいた馬だったなら、勝てる位置で最速の上がりを使ったのはマスカレードボールとミュージアムマイルのみ。
ライバルは直線で外を回した分だけ3/4馬身という差に表れたが、完調手前で間に合ったマスカレードボール、セントライト記念(G2)を使って臨んだミュージアムマイルと考えれば、勝った事実を評価した方がいい。
そして厄介なライバルはジャパンCに出走せず、次走は有馬記念の参戦を表明済み。目に見えるところの強敵とは戦わないで済む。天皇賞の勝利にどれ程の価値があったかについては、レース後にジャパンCの継続騎乗を打診されたルメールが即答でOKしたことでも分かる。
いい方にルメールの予想を裏切ったマスカレードボールだが、次にデータ的な側面からも好走の可能性を探る。
天皇賞・秋に出走した3歳馬の成績(3着以内)
13番人気ダンスインザムードが2着に激走した2004年を除けば、馬券に絡んだ馬の評価はすべて4番人気以内。※ちなみに04年の3着は4歳牝馬アドマイヤグルーヴで9番人気。
1番人気で優勝したのは22年イクイノックスと今年のマスカレードボールしかいない。
それだけでも十分に価値があるのだが、世代レベルの高さを裏付けたのは、2着に入ったミュージアムマイルの存在。時代の変化とともに3歳馬の好走が珍しくなくなったとはいえ、ワンツーフィニッシュは史上初の快挙である。この2頭を負かしたクロワデュノールに無敗の三冠を期待する声が出たのも納得だ。
実際、レース前はマスカレードボールにG1勝ちがない状況で、G1馬が7頭集まった豪華メンバーだった。それでも無冠の最強馬が勝利した訳である。
天皇賞の話を続けても意味はないので、ジャパンCと関連付けた話もしようか。
天皇賞・秋を優勝した馬のジャパンC成績
データは2000年以降に限定しているが、馬券圏内にはしっかり入っている。これをさらに絞り込んで、1番人気で優勝した馬の場合は5勝3着4回。※ブエナビスタの降着はなかったものとする
下馬評的にマスカレードボールが1番人気に支持される前提で話しているが、勝率100%でないにしても馬券圏内なら全財産突っ込んでも大丈夫(大丈夫じゃない)データとなる。
突っ込みを我慢している読者がいるとしたら、「でも3歳馬じゃねえじゃんこれ」という反応かもしれない。もちろん、3歳馬のデータも用意してますよっと。
まああれですわ、史上初のワンツーフィニッシュが出たくらいにハイレベル世代だった訳であり、前例が少ないのは仕方のないことですわよ。
ジャパンCに出走した3歳馬の成績と前走成績
少なっ(当然)。秋天からの連勝はナシ。秋華賞(G1)からの連勝は、いずれも三冠牝馬のアーモンドアイとジェンティルドンナ。菊花賞(G1)からの連勝もナシ。1番人気に支持される条件を考慮すればアーモンドアイに近いか。
とまあ馬券圏内に入りそうでも、3歳馬の場合は話が別となる。
だが、本当にそれで終わりにしてもいいのか。
否、本稿では「単純に勝てそうな馬がジャパンCに出てこなかっただけじゃね?説」を提唱してみたい。
だってさあ、条件的に勝ち負けしてもおかしくないリバティアイランドやコントレイルにデアリングタクトを返り討ちにしたのってイクイノックスやアーモンドアイでしょ。そもそも出て来たら1番人気だったであろうエフフォーリアやイクイノックスが意図的に使われず、有馬記念に行っちゃったじゃん。
エフフォーリアは秋天で負かしたコントレイルのラストランを邪魔しないためっぽかったし、イクイノックスだって出れたら出るみたいな匂わせだけで出なかったもんね。
結局都合のいい絵を描いて終わる
改めて主張したいのは、今年の3歳が「イクイノックス、ドウデュース、ジオグリフ世代の再来」かもしれないって説ね。
穴人気の馬(ジオグリフ、ミュージアムマイル)が皐月賞を勝ち、ダービー馬(ドウデュース、クロワデュノール)が凱旋門賞に挑戦し、ダービー2着馬(イクイノックス、マスカレードボール)が秋天を勝つ。ここまで完全に一致した。
むしろ先輩の世代は、ジオグリフが秋天で9着に敗れ、4番人気ダノンベルーガが3着に入った。これに対して今年の3歳はミュージアムマイルが2着で史上初の3歳ワンツーなら、割り引く必要もないんでないか。
2代目イクイノックスの道を歩むなら、ここを勝つかどうかが分岐点。ギャンブルに私情を持ち込むと冷静な判断が出来なくなることもあるが、ドラマやロマンを夢見るのも競馬の醍醐味。そして勝つのが好きな馬だったならハッピーエンドが待っている。
自分を信じ切れずに取れたはずの700万円をみすみす逃がした秋天のWIN5は、ここ数年で一番のトラウマとなったことは間違いない。
だからこそ、今回は配当云々関係なく初志貫徹でブレない勝負に徹してみたい。
※本サイトの筆者はマスカレードボール信者です。馬券がはずれてもクレームはなしでお願いします。






