クロワデュノール敗戦で勢力図一変…別路線の刺客も気になる東京優駿の展望と攻略ポイント

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クロワデュノール敗戦で勢力図一変…別路線の刺客も気になる東京優駿の展望と攻略ポイント

騎手買いするならここ?

東京11R東京優駿(G1)芝2400


エムズ       戸崎圭太
エリキング     川田将雅
カラマティアノス  池添謙一
クロワデュノール  北村友一
サトノシャイニング 武豊
ジュンアサヒソラ  未定
ショウヘイ     ルメール
ジョバンニ     松山弘平
トッピボーン    岩田望来
ドラゴンブースト  丹内祐次
ニシノエージェント 津村明秀
ファイアンクランツ 佐々木大輔
ファウストラーゼン Mデムーロ
ファンダム     北村宏司
ホウオウアートマン 田辺裕信
マイユニバース   シュタルケ
マスカレードボール 坂井瑠星
ミュージアムマイル Dレーン
リラエンブレム   浜中俊
レディネス     横山典弘

※登録20頭。フルゲート18頭。

先週末の優駿牝馬(G1)は、3強を形成した上位馬がよもやの敗戦。唯一馬券に絡んだ2番人気アルマヴェローチェが2着に善戦した一方、1番人気のエンブロイダリーは距離の不安が直撃した印象の9着、強調材料しかなかったはずの3番人気リンクスティップも5着と伸び切れなかった。

当方は3頭で最も強いのはアルマヴェローチェの評価。エンブロイダリーは血統的にも勝たれては困る、リンクスティップも推したいがアルマヴェローチェとの差はあるという見立てだった。結果的にもこの推察は正しかったと考えるが、カムニャックがまとめて交わしてしまうパターンは想定外だった。

3着に食い込んだ10番人気タガノアビー、4着に馬場と展開が向くと読んで印をつけた7番人気パラディレーヌが入っただけに不完全燃焼の2345着。負けた気はしていないけれどもPAT口座のお金は減っているのだから悲しい。

例年以上に外国人騎手の活躍が目立つ春G1だが、ルメールでもレーンでもなくシュタルケのJRA・初G1のオチには驚きを禁じ得ない。まあそれでも感極まった勝利騎手インタビューの姿を見れば、素直に祝福したい気持ちになった。

そんな衝撃の余韻が残る中、今週末は競馬の祭典・東京優駿(G1)の開催が控えている。暮れの有馬記念(G1)ほどではないが、春のグランプリ宝塚記念(G1)より盛り上がる日本ダービーの行方を占ってみよう。

クロワデュノール(牡3、栗東・斉藤崇史厩舎)

昨年6月東京のデビュー戦(芝1800m)でルメールが騎乗した1倍台の大本命アルレッキーノを一蹴。続く2戦目の東京スポーツ杯2歳S(G2)もサトノシャイニングを撃破し、暮れのホープフルS(G1)で世代最強候補に名乗りを上げた。

しかし、抜群の操縦性とセンスを感じる走りに無敗の三冠候補と期待された逸材も、直行で挑んだ皐月賞(G1)で単勝1.5倍の断然人気を裏切る2着に敗れてしまった。複数の馬に不利があった展開の中でクロワデュノールも例外ではなかったが、それでも勝ったミュージアムマイルに1馬身半差もつけられたのは無視できない。

トライアルレースの勝ち馬がホープフルSで負かした馬ばかりだったこともあり、相対的に本馬の強さが際立っていたものの、弥生賞(G2)の4着馬に下剋上を許した事実は大きい。

また、ミュージアムマイル以外に先着を許さなかった一方、ホープフルSで2馬身差をつけた2着ジョバンニに0秒1差まで詰められたことも気になる材料だ。何しろ相手はクロワデュノールどころではない致命的な不利があっての健闘。あれがなければ交わされても不思議ではなかったかもしれない。

とはいえ、乱戦で騎手の手腕が試された皐月賞に比して、東京の芝2400mはまだ乗りやすい。問題は前走でも取りざたされた北村友一の実力不足の方か。負けたことがなくてもドライな乗り替わりをするノーザンファーム系の馬にしては継続騎乗に残念な思いもある。そんな因果関係もあってルメールはショウヘイの騎乗となった。

ミュージアムマイル(牡3、栗東・高橋大輔厩舎)

昨年8月中京のデビュー戦(芝1600m)は幸英明が騎乗し、後方からの競馬で脚を余して3着。芝1800mに延ばした2戦目を勝ち上がり、鞍上強化された黄菊賞(1勝・芝2000m)を3馬身差で楽勝した。

再びマイルに戻した朝日杯フューチュリティS(G1)は、馬場と展開が味方したアドマイヤズームを捕まえられずに2馬身半差の完敗。弥生賞で1番人気に支持されたものの、幸の騎乗で見せ場も作れずに4着と凡走した。

その後のニュージーランドT(G2)でアドマイヤズームが伏兵イミグラントソングに屈したタイミングの皐月賞ということもあり、少々懐疑的な見方もあったが本番で騎乗していたのがモレイラだ。この3番人気は過大評価のようにも映ったが、決してスムーズではなかったものの大本命クロワデュノールに初黒星をつける大金星。終戦ムードの牡馬クラシックを戦国模様に一変させた。

最大のマイナスといえば功労者のモレイラが帰国し、ダミアンにバトンタッチすることか。かといってそのダミアン君もタスティエーラでダービーを制した腕利き。サートゥルナーリアで経験した乗り替わりで勝てないというジンクスもあっさりと覆した。

父リオンディーズの現役時代はダービー5着。馬名に「マイル」の入る馬だが、本当に中距離向きかどうかは、ダービーで答え合わせとなる。

マスカレードボール(牡3、美浦・手塚貴久厩舎)

覚醒前だった岩田望来の拙い騎乗が目立ったマスクトディーヴァの半弟。姉の不運なところはモレイラの騎乗で絶対に負けられなかった昨春のヴィクトリアマイル(G1)で、進路をなくす致命的な不利を受けて悲願のタイトルを取り逃がしてしまったことだ。志半ばでターフを去った姉の分まで弟にG1制覇の期待がかかる。

昨年8月新潟のデビュー戦で前残りする馬場を後方一機で快勝。2戦目のアイビーS(L)も東スポ杯のクロワデュノールの勝ちタイムや上がりを凌ぐ内容で勝利。これだけでも十分に資質を備えている期待馬だったが、ホープフルSでは気性的な危うさを露呈し、4番人気で11着に大敗を喫してしまった。

こちらについては戸崎圭太の責任ではなかったものの、坂井瑠星を迎えた年明けの共同通信杯(G3)を遊びながらの走りで完全復活。これで皐月賞が楽しみになったが、先約もあってか横山武史とのコンビで3着と勿体ない敗戦。ただこのレースは序盤にエリキング川田将雅から意地の悪いブロックを受けてズルズルと下がったアクシデントも大きい。力負けではなかったことも証明した。

ここまでくれば武史でリベンジとハラを決めたタイミングに坂井瑠星との再タッグが発表されたのは晴天の霹靂である。確かに近年の武史に不安しかなかったとはいえ、こんな使い捨てのような使われ方をしたのは釈然としない。

しかし、本人の努力を認めても実力以上にいい馬がポンポン回ってくる坂井の豪運は、「最も運のいい馬が勝つ」といわれるダービーには向いている。かといって逃げ先行で定評はあっても差し追込みが苦手な鞍上が直線の長い東京でどう乗るかだ。

サトノシャイニング(牝3、栗東・杉山晴紀厩舎)

落馬負傷のあった西村淳也が騎乗を予定していたこともあり、密かに代打・武豊の準備もされていたという噂のあったサトノシャイニング。皐月賞は8枠16番の不利な外枠から善戦したが2番人気で5着と足りなかった。

仕上げに定評のある下河辺牧場の生産馬、本馬を所有する里見治オーナー(御年83歳)のラストダービーチャンスの可能性が高い舞台。西村淳也ではなくダービー最多勝の武豊を予定通り起用したのは悔いを残さないためだろう。

その一方、クロワデュノールに最も迫った馬の称号は、逆に0秒3も先着したミュージアムマイルの登場で価値がなくなったことも確か。ここまで来るともう百戦錬磨のレジェンドの手腕に託すのみ。父キズナをダービー馬に導いた最高のパートナーと悲願達成を狙う。

ファンダム(牝4、栗東・中内田充正厩舎)

昨年9月中山でデビューした本馬は、いきなり芝1600mを1分32秒6のレコードで圧勝。馬体を12キロ増やした2戦目のジュニアC(L)を危なげない走りで快勝し、3戦目の毎日杯(G3)を制して無敗の3連勝を遂げた。

距離経験が芝1800まで、東京コースも未経験とデータ派が飛びつきそうな危険な匂いもプンプンするものの、阪神と東京のコース適性が連動することは覚えておきたい。特筆すべきは毎日杯の内容である。超速馬場の勝ちタイムに意味はないものの、注目は直線最後方から炸裂させた32秒5という究極の切れ味だ。

これは当時の回顧記事で触れたように現3歳世代で最高値。デビュー2戦は好位からの競馬でクロワデュノールのような印象が強かったものの、真逆の競馬をした毎日杯の走りに底知れないポテンシャルの高さを感じた。

最大の懸念は鞍上の北村宏司だろう。毎日杯で差す競馬を覚えさせたかったというコメントに一応の納得はするが、好発を決めた馬を故障でも発症したかのような下げ方。素人目に見てもあまりにも酷かっただけに馬の力が余計に際立った。今年のダービーはハンデとなりそうなこのW北村次第といえそう。

上位安定も3着狙いの穴なら一発がありそう

3強の2頭が凡走して10万馬券の飛び出した優駿牝馬に対し、上位人気馬に距離の不安がなさそうな東京優駿は比較的平穏決着も予想される。

かといって皐月賞が特殊な展開だった点には注意が必要だ。ファウストラーゼンがマクり、アロヒアリイまでついていったレースは仕掛けのタイミングや道中の進路取りでミスした馬も多かった。

乱戦混戦で各騎手の腕がいつも以上に試された結果、モレイラが勝って北村友一や横山武史が負けたことと無関係ではないだろう。

少なくともクロワデュノールの絶対ムードはなくなった。未熟なジョッキーに決して微笑まないダービーの女神。最後にモノを言うのは騎手の経験かもしれない。