武豊「アドマイヤ」にロマンも…激走警戒は祭りの余韻残る特注馬【アイルランドTの展望】

スポンサーリンク
更新をメールで通知(無料)

メールアドレスを記入して登録すれば、更新をメールで受信できます。

232人の購読者に加わりましょう

武豊「アドマイヤ」にロマンも…激走警戒は祭りの余韻残る特注馬【アイルランドTの展望】

実力拮抗の好勝負に期待

東京11Rアイルランドトロフィー(G2)芝1800

アドマイヤマツリ  牝4 武豊
アンゴラブラック  牝4 戸崎
アンリーロード   牝5 荻野極
エープラス     牝7 未定
カナテープ     牝6 佐々木大輔
キャットファイト  牝4 大野拓弥
サフィラ      牝4 松山弘平
セキトバイースト  牝4 浜中俊
セフィロ      牝5 横山和生
ドゥアイズ     牝5 三浦皇成
ピースオブザライフ 牝5 未定
フィールシンパシー 牝6 横山琉人
ホウオウラスカーズ 牝7 木幡巧也
ボンドガール    牝4 ルメール
ライラック     牝6 石川裕紀人
ラヴァンダ     牝4 岩田望来
リラボニート    牝4 横山武史

※フルゲート18頭

10月東京の芝1800条件はそのままにレース名の府中牝馬Sだけ6月に移行した。

元々アイルランドTは牡牝混合条件だったのだが、2017年のG2昇格時に府中牝馬Sと合体して牝馬限定戦となり、そして今年からマーメイドS(G3)の皮を被った府中牝馬Sが前倒し。一見、アイルランドTに戻ったように見せて牝馬限定戦の条件は継続。いや、これ去年までの府中牝馬Sやないかーいというツッコミ待ちである。

グレードレースになる前は、2010年トーセンジョーダン、14年エイシンヒカリといった後のG1馬が勝利。あの有名なエイシンヒカリの外ラチ逃避行もこのレースでのことだった。

登録したメンバーの顔触れを見てみると、分離した府中牝馬Sを制したセキトバイースト、2着カナテープ、3着ラヴァンダの名前がある。ハンデ戦のG3から別定戦のG2の違いはあるが、結果をそのまま鵜呑みにしても馬券を組み立てられそうな雰囲気だ。

ちなみにこのときの府中は、差し馬場の優駿牝馬(G1)かた前残り馬場に変わった東京優駿(G1)も終わり、安田記念(G1)も開催された後のタイミング。微妙に時計が掛かり始めた馬場を強気な騎乗で抜け出した浜中俊の好騎乗も光った。

前後半もほぼイーブンラップで底力を求められる内容。上がりも35秒台となり、末脚の持続力とスタミナがなければ勝てなかったレースといえるだろう。

2着カナテープは、大野拓弥からR.キングへ大幅に鞍上強化された次走の関屋記念(G3)を1番人気で勝利。3着ラヴァンダも勝ち切れないレースはあれど、秋華賞(G1)4着や阪神牝馬S(G2)3着の実績、4着ウンブライルも次走の関越S(OP)を牡馬相手に上がり最速で差し切った。レースレベルは低くなかったはずだ。

詳細については各馬の個別で触れたい。

アドマイヤマツリ(牝4、美浦・宮田敬介厩舎)

圭太ちゃんで3連勝するような馬が弱い訳ないと期待した初音S(3勝)だったが、馬群を捌けない弱点を露呈する1枠1番が仇となってクビ差負け。カナテープの復調もあったろうが、道中のポジション取りや仕掛けは明らかにキングの腕。おそらく騎手が逆なら結果も逆だっただろう。

実際、敗因戸崎圭太だったことを証明するが如く、中山の芝1800で滅多に勝てないエスパー田辺に乗り替わっても勝利。福島牝馬S(G3)もあっさり勝ってしまった。2馬身差の2着フェアエールングは、小倉牝馬S(G3)を制した馬でもあり、クイーンS(G3)3着、オールカマー(G2)4着と弱い馬ではない。

さすがに強豪揃いのヴィクトリアマイル(G1)で7着に敗れたものの、このメンバーなら実力上位。因縁のある「アドマイヤ」に武豊が騎乗するだけでもオールドファンならロマンを感じるだろう。

ボンドガール(牝4、美浦・手塚貴久厩舎)

こちらは武豊が主戦を任されながら惜敗の続いた馬。先行から差しにモデルチェンジしたことで一定の成果はあったものの、【1.6.1.3】の成績が示すようにWIN5向きの馬ではない雰囲気。デビュー勝ちの内容が秀逸だっただけに、成長力という点で不安は残るが実力はトップクラスだ。

ついにはルメールまで引っ張り出してきたが、関屋記念でカナテープに差し切られてまた2着。ハンデ戦でライバルが3.5キロ軽かったとはいえ、勝てなかった事実は割と大きいかもしれない。

ルメールは強い馬で取りこぼさない騎乗に安定感がある一方、ボンドガールはそこまで抜けた存在でないことも気になる。

カナテープ(牝6、美浦・堀宣行厩舎)

仕上がり早のイメージがあるロードカナロア産駒にしては遅咲き。3勝クラスの昇級してから毎回のように危険な人気馬の役割を果たしていたが、惜敗続きに終止符を打ったのは3走前からのパワーアップが理由かもしれない。

458キロのデビュー勝ちから24キロ増の2戦目で敗れて以降、厩舎も460~470キロ前後で仕上げる日々。もう一押しの利かない状況から馬体増で久々の勝利を手にした。近2走は480キロ台で好走しており、6歳にして馬体が充実したということだろうか。

55.0キロでの出走でも不安はなし。今回は売り出し中の佐々木大輔が手綱を取るのも面白い。立場的に短期免許の外国人騎手が不在の間を任されているとはいえ、勝負強い若手の有望株なら問題ないのではないか。

セキトバイースト(牝4、栗東・四位洋文厩舎)

強い4歳世代の牝馬を象徴するような台頭。牝馬限定重賞で二桁着順の惨敗続きから都大路S(L)を牡馬相手に3馬身半差の大楽勝で復活した。このレースの7着ホウオウラスカーズは、秋の京成杯オータムハンデ(G3)で鮮やかな差し切り勝ちを決めている。

本サイトでも夏競馬で地味に活躍していたディープインパクト産駒に触れたが、先週の京都大賞典(G2)もディープモンスターが初重賞勝ちを決めてアピール。現在の流れ的にホウオウラスカーズも軽視できない馬である。

セキトバイーストは、札幌記念(G2)を横山典弘の神騎乗で復活勝利したトップナイフと同じデクラレーションオブウォー産駒。秋に開幕したばかりの府中で切れ味勝負は向かないかもしれないが、府中牝馬Sの勝利は弱い馬にはできない内容だった。

懸念材料があるなら浜中俊の2週連続重賞制覇があるかどうかの方(笑)。でもこの馬には体内時計の壊れている浜中が合っている。

ラヴァンダ(牝4、栗東・中村直也厩舎)

追い切りの動きがあまりに良過ぎて、秋華賞の特注馬に指名したラヴァンダ。13番人気の大穴で激走したため、これはえらいこっちゃと喜んだのも束の間、そんな後ろから届くわけないと思ったボンドガールが突っ込んできて、まさかの4着に敗れた。

俺ってやっぱり凄いんじゃないかと感じた一方、やっぱり俺って持ってないんだと痛感。調教で目をつけたラヴァンダが好走したのに対し、調教でやる気なしと軽視したボンドガールにやられる悲し過ぎるオチ。「是非に及ばず」のひとことである。

そんな経緯もあったのでラヴァンダが3勝クラスに出走した仲秋Sは驚きを隠せなかった。重賞で善戦している馬が何でと思ったが、実は3着で賞金の加算に失敗していたらしい。

着差こそ頭だが格の違いは見せたレース。このレースで2着のマイネルチケットは、日曜京都10Rの三年坂S(3勝)に登録がある。今度は関西圏で勝てない横山武史が騎乗する訳でもないので、1点勝負できるかもしれない。

ディープ祭りに注意したいホウオウラスカーズ

強い4歳牝馬が幅を利かせている下馬評ながら、6歳牝馬カナテープと同じく注意したいのがホウオウラスカーズ。東京芝1800は好走実績もあり、13番人気の前走勝ちをフロックで片付けると痛い目を見そう。

先週のディープモンスターが7歳秋で重賞初制覇なら、一足先に7歳で重賞初制覇したホウオウラスカーズも同じ。京成杯AHの激走に驚かなかったのは、4月京都のセンテニアルパークSで披露した強烈な末脚を覚えていたからだ。

突然降って湧いたようなディープ祭りの余波は、層の薄くなったG1レースでもない限り、まだありそうな気がする。