日曜東京のメインは、近年のクラシックと驚くほど連動している共同通信杯(G3)。直近の10年でリアルスティール&ドゥラメンテ(15年)、ディーマジェスティ(16年)、スワーヴリチャード(17年)、ダノンキングリー&アドマイヤマーズ(19年)、エフフォーリア(21年)、ジオグリフ&ダノンスコーピオン(22年)、タスティエーラ(23年)、ジャスティンミラノ(24年)と後のG1馬の名前がこれでもかとある。
12年にゴールドシップ、ディープブリランテ、スピルバーグがワンツースリーと伝説の共同通信杯みたいになったが、14年のイスラボニータ&サトノアラジンもトップクラスの実力馬だった。G2の弥生賞やスプリングSより断然豪華なメンバーが揃うレースだ。
◆過去10年の勝ち馬
24年ジャスティンミラノ 4番人気 2着ジャンタルマンタル
23年ファントムシーフ 3番人気 4着タスティエーラ
22年ダノンベルーガ 3番人気 2着ジオグリフ、7着ダノンスコーピオン
21年エフフォーリア 4番人気 3着シャフリヤール
20年ダーリントンホール 3番人気 ★
19年ダノンキングリー 3番人気 2着アドマイヤマーズ
18年オウケンムーン 6番人気 ★
17年スワーヴリチャード 2番人気
16年ディーマジェスティ 6番人気
15年リアルスティール 3番人気 2着ドゥラメンテ
こうして振り返ってみても凄いメンバーが出走していたことに驚く。ただ、毎年のことではなく18年や20年のようにハズレ年(失礼)も出現しているのは見逃せない。
特に今年は先週きさらぎ賞(G3)で圧倒的な強さを見せたサトノシャイニング、同馬を東京スポーツ杯2歳S(G2)で子供扱いしたクロワデュノールという怪物が既に登場済み。朝日杯フューチュリティS(G1)を勝ったアドマイヤズームも出走しない。重賞勝ち実績を持つ馬にしても函館2歳S(G3)を勝ったサトノカルナバルがいる程度。もしかしたらハズレ年となる可能性もゼロではないかもしれない。
そこで某サイトの予想人気をチェックしていたところ、想定1番人気がレッドキングリー、2番人気マスカレードボール、3番人気にネブラディスクといった雰囲気。なるほど、東スポ杯については勝ち馬だけ抜けて強くて、2着以下は大きな開きがあると感じたが、サトノシャイニングがあそこまで強いならレッドキングリーも評価せざるを得ない。
また、アイビーS(L)で東スポ杯の勝ちタイム1分46秒8を1秒0も上回る1分45秒8の好時計で快勝したマスカレードボールも、ホープフルS(G1)は8枠18番の大外から何もできないまま終戦しただけに巻き返し必至。鞍上も戸崎圭太からガシマンへと強化されたのは大きい。
某掲示板では戸崎の続投でいいのにという意見も見掛けたが、やはりこの乗り替わりは歓迎したい。レモンポップの騎乗を見ても、戸崎のままだったら国内G1で無敗の6連勝することは不可能だったようにも映った。
それはともかくデビューから2連勝した左回りに替わるのは好材料。G1を勝てないまま無念の引退を余儀なくされたマスクトディーヴァの弟という血統的にも期待したい馬である。
では各馬の戦績を改めてチェックしてみたい。
◆レッドキングリー
ここまで2戦はいずれも東京。デビュー戦で4馬身置き去りにしたウィクトルウェルス(ヴィクティファルスと紛らわしい)が、その後の未勝利とゆりかもめ賞(1勝)を連勝した。
そのゆりかもめ賞で1馬身1/4差で2着に退けたファイアンクランツは、東スポ杯でレッドキングリーからクビ差の4着。
2戦続けて2番手から競馬をする積極性もあり、大崩れはなさそう。怪物級の2頭が不在のここなら当然最上位の評価か。
◆マスカレードボール
ハッキリ言ってホープフルSはクロワデュノールがただただ強かっただけのレースであり、それ以外は評価が難しいところ。他の馬は騎手や枠順、レース展開でいくらでも着順が入れ替わるようにも映った。少なくともアイビーSくらい走れば、マスカレードボールの復活も十分ありそう。※当方がマスクトディーヴァ推しだったことは補足しておく。
おそらく想定的にもこの2頭が少しリードした二強だろう。次に3番手以降についても分かる範囲で触れておく。
◆ネブラディスク
昨年の勝ち馬ジャスティンミラノみたいな馬を探すとこの馬しかいない。管理するのはアノ福永祐一で鞍上にレジェンド武豊。血統もリスグラシューの半弟で父はハーツクライからドゥラメンテへと替わった。非常に夢のある期待馬だが、母リリサイド産駒でオープンまで駆け上がったのはリスグラシューのみ。どちらかというと実績より願望が先行するタイプだろう。
新馬戦で負かした馬のその後も未勝利をうろついているのが多数。余裕の手応えで2着クラリヴィデンシアを4馬身突き放したことは評価したいが、2着馬の上がりと0秒3でしかなかったのは気になるところ。
ただ、勝ちタイムの2分1秒8は遅くとも、レースのL3が11秒9-11秒8-11秒2だったことは光る。実際にレース映像を見てみても後方から大外を抜群の手応えで上がっていき、モノの違いを見せつけた。相馬眼に定評のある金子真人オーナーが、23年セレクトセールにおいて1億7600万円で購入した期待馬だけに未知数である。この相手に楽勝するようなら赤丸急上昇だ。
次のグループはリトルジャイアンツとサトノカルナバルか。前者は連敗した三浦皇成から横山典弘へ乗り替わって2勝1敗と鞍上強化。東京コースは3戦目の未勝利で芝2000mを1分58秒7の好時計で快勝した。前走の若竹賞(1勝)も素質馬エデルクローネ相手に差し切り勝ち。
特筆すべきは、未勝利戦の時計が同日のキングノジョー(京成杯1人気4着)や翌日の古馬2勝クラス、3勝クラスより速かったことである。古馬との比較で裏が取れた馬は、先週のきさらぎ賞で2着に入ったリンクスティップと同じパターン。今年に入ってやる気の横山典弘も一発を狙っているはずだ。
サトノカルナバルは偽短距離馬っぽい。兄弟は中距離もこなしており、本来の適性距離は1200や1400ではないと推察している。忘れてしまいそうなタイミングだけに、もう一度デビュー戦を見直してみて欲しい。直線の切れ味と加速はまさに重賞級。ブリーダーズCジュベナイル(G1)の敗戦は気にする必要がない。中間の状態と追い切り、堀師のコメントをチェックしたい。
大穴候補ならティラトーレに一考。デビュー戦の東京マイルを1分35秒8でL3を11秒5ー11秒2-11秒3でまとめた。フェアリーS(G3)も前傾ラップの急流を4角先頭でエリカエクスプレスの2着に粘り込んでいる。1400のクロッカスS(OP)を使った分、ノーマークの逃げを打てれば、メイショウチタンの再現も夢ではない。と思ったが土曜の東京が濃厚っぽいね。クイーンC(G3)に出るなら買いたい。
★注目馬
レッドキングリー
マスカレードボール
サトノカルナバル