浜中俊「何もしない」が決め手…ディープインパクト祭りが再現の京都大賞典【レース回顧】
好騎乗と残念騎乗がハッキリ
京都11R京都大賞典(G2)芝2400
秋の京都の開幕週を飾った重賞の京都大賞典(G2)は、浜中俊が騎乗した5番人気ディープモンスター(牡7、栗東・池江泰寿厩舎)が、2023年11月京都のアンドロメダS(L)以来となる約1年11ヶ月ぶりの勝利を飾った。
2着に2番人気サンライズアース、3着に15番人気ヴェルミセルの入った3連単の払戻しは、なんと47万550円の波乱。1番人気に支持されたアドマイヤテラは4着に敗れたが、道中の運びも長距離が苦手な川田将雅らしいチグハグな騎乗だったように映る。
ディープモンスターは7歳にしてこれが待望の重賞初勝利。デビュー当時はその名の通り怪物と噂された逸材だったが、クラシック三冠を皆勤したものの、その後はG3すら勝てない日々が続いていた。
今年もここまで1月のAJCC(G2)から前走の新潟記念(G3)まで6戦。京都大賞典も7戦目だったのだから、現在の立ち位置や厩舎からの扱いも何となく察しのつく状況だったかもしれない。年数戦しかしなかったイクイノックスやアーモンドアイなら悲鳴を上げるところだ。
ただ、こうしてレースを振り返ってみると、好走した馬は騎手が上手くエスコートしていた点も目を引いた。
京都大賞典全パト
まず見事な勝利を挙げたディープモンスターだが、馬の実力もさながら浜中俊の好騎乗も大いに貢献しているように見える。
2枠3番という好枠を引けたこともあるだろうが、道中はインの好位で慌てず騒がずの賢者モードで追走。最後の直線まで動かずにキープし、進路が開けてからゴーサイン。逃げたサンライズアースを瞬発力の差でねじ伏せた。
当方はちょくちょく浜中俊をいじっているが、読者の方からして浜中のことを「好きなのか」「嫌いなのか」で判断を迷った人もいるだろう。実際、ナムラクレアに関しては「浜中俊が悪い」と考えているし、だからといって浜中の全部が全部悪いという訳でもない。府中牝馬S(G3)をセキトバイーストで制した際には、「体内時計が壊れている浜中だから勝った」と褒めてもいた。
逃げ馬に騎乗した際、チキンレースで引かないことは浜中の「いいところ」でもあり「悪いところ」でもある。要は買える浜中と買えない浜中のタイミングを見極めればいいだけのこと。プラスマイナスを合わせればトータルで浜中のことは好きなのだ(笑)。
にしても最近はあまりいいところのなかった浜中俊にしては、まるで別人のようにうまいこと乗ったなあというのが感想である。
というのも、この京都大賞典は「余計なことをした」騎手が下手に乗り、「何もしないをしていた」騎手が好走していたからだ。
ジッとしていた浜中と対照的だったのは、隣の4番枠にもかかわらず、外へ外へと出していった川田将雅、それまで武豊が差す競馬を教えていたサブマリーナで慣れない出していく競馬をした横山和生、中途半端にマクって上がった横山武史。酷いなあと感じたのはこの辺かな。
いい意味で驚いたのはサンライズアースと池添謙一のコンビ。池添謙ちゃんは京都芝2400は得意中の得意条件。WIN5だから、あくまで1着という意味で入れなかったが、スタートからゴールまで先頭を走って最後の最後に半馬身差なら収穫は大きい。切れる脚がない馬だけに、京都よりは阪神向きと考えていた割に予想以上の好走だった。
また、15番人気で3着に突っ込んできたヴェルミセルと鮫島克駿も褒めないといけない。
炎上騒ぎやレース後のコメントで叩かれている克駿だが、元々はレース後のコメントで何がダメだったのか、何がよかったのか、どういう馬場状態だったのかを割と詳しく説明してくれる好青年でもある。
全パトで最後の直線を見ていると、分かってない騎手たちがみんな外に回している中、しっかりと内を狙って追い出しているのはガシマンや浜中、そして克駿だ。
土曜に雨が降っていたとはいえ、府中と同レベルに水捌けのいい改修後の京都。開幕週で内を空ける馬鹿がどこにいるか。いや、いたよ、川田将雅君とその他たち。どうせレース後も他人事のような「俺は悪くない」コメントを出すんだろうなあ。
そして、やっぱり触れないといけないのは、この条件でディープインパクト産駒がアホみたいに好走していたことだ。
今年も入れて10戦7勝のディープ祭り
これはデータ記事でもあからさまだったし、今年出走した馬の中でディープインパクト産駒は、2年前の覇者プラダリアとディープモンスターの2頭だけ。後者はさすがに近走成績がピークを過ぎており、狙いにくかったのではないか。つまり、データで買える馬は最初から1頭だけだった。
まあ終わってから、やっぱりなというのも卑怯な話。気付いていても買えなかったなら気付いていないのと同じ。馬券の買い目にはディープモンスターを入れましたよ勿論ね。
ジョッキーコメント
1着ディープモンスター 浜中俊
「今日の馬場は雨も降って、この馬にちょうど良かった。枠を生かして一発狙おうと。内で我慢して直線も内が空いたらそこを突こうと思っていたので狙ったレースになりました」
※浜中とは思えない(失礼)好騎乗。あんな冷静に我慢して乗れるイメージはなかった。
2着サンライズアース 池添謙一
「パドックから落ち着いて臨めました。馬群でレースを試すプランもあったが、逃げ馬がいなかったのでリズムを重視しました。最後は渋太く脚を使っているが、勝ち馬に内をすくわれてしまいました。外から来られたのならしのげたかもしれません」
※負けはしたけど改めて走るなと思った。ただこの後に使えるレースがない。ステイヤーズS(G2)くらいかなあ。
3着ヴェルミセル 鮫島克駿
「馬場はもっと重くてもいいと思った。馬場の適性もありますし、インコースでじっとしていました。前半でポジションを取れる馬ではないですし、そのぶん脚がたまったのかもしれません」
※逃げずにちゃんと説明できるのが克駿のいいところ。
4着アドマイヤテラ 川田将雅
「とても成長を感じさせる返し馬でしたし、直線も先頭に並ぶところまでは行けたんですが、今となっては乾いた馬場の方が良かったのかもしれないです」
※少なくともこのレースに関しては、浜中の方が何倍も上手かったね。外に出してフラフラしちゃってさ。武豊のままなら3着以内に入っていたんじゃないかな。謝ったら死ぬ病気ですか。
5着ショウナンラプンタ 松山弘平
「初めて乗りましたが、折り合いがついて乗りやすかったです。大外枠が厳しかったです。もう少し違う競馬ができたら良かった。申し訳ないです」
※今日の馬場で後方から外回したら厳しいよねえ。
8着ドゥレッツァ 横山武史
「スタートしてからの反応もあまり良くなかった。向正面でペースが落ち着いた時にハミを取ってくれ、4角でも手応えはありましたが、ラストは止まってしまいました」
※動いた武史の判断はどうかと思うけど、馬の仕上がりの方がもうひとつ。予想記事でも触れたと思うが、中間の動きがまだまだ本物じゃなかった。専門紙や新聞の記者は、どうせ及第点とか力は出せそうって評価してるんだろうけど、あいつらアテにならんからな。自分で見てジャッジした方がいい。



