3日間開催のラストを飾ったのは皐月賞トライアル・スプリングS(G2)。勝ったのは単勝170円の圧倒的人気に支持されたヴェルトライゼンデではなく、ヒューイットソン騎乗の6番人気ガロアクリークだった。同馬は昨年のホープフルS(G1)では11着に惨敗。3か月ぶりの復帰戦となった水仙賞では4着に敗れていた。
とんだ下克上を見せつけられたかもしれない。ここまでのレース比較からあまりに自信があったため、普段は豆券で遊ぶ程度にしていたのを、あえてヴェルトライゼンデの単勝に1万突っ込んでしまった。WIN5はともかく通常の馬券で万単位入れることなんて滅多になくなっている。
私情はどうでもいいのでレースの話に戻そう。このレースははっきり言ってヴェルトライゼンデがどんな勝ち方をするのかだけに注目をしていた。弥生賞で新星サトノフラッグに敗れたとはいえ、ホープフルSの3着ワーケア、5着オーソリティはほぼスライドして2,3着に入った。
ということはホープフルSのレースレベルとしての担保は取れたと考えても差支えはない。確かに池添の乗り方は、フラワーCと大差がなく、違いがあったのは内から他馬に迷惑を掛けずに外を回したことくらいである。
同じ負けでもまだ池添が騎乗ミスでもしてくれていた方が、納得が出来た。だが、完敗といえる内容には擁護が難しいというのが正直な感想だ。反応が悪かったにしろ、先に仕掛けているのはヴェルトライゼンデなのだ。
自分よりも後から仕掛けて来た馬に交わされて、叩き合いにまで敗れている。これはもう涙目の完敗としかいいようがない。
冷静に振り返ると2頭の特徴も大きく影響しているかもしれない。ヴェルトライゼンデにスパッと切れる脚はない。ホープフルSは淀みない流れで一瞬の切れも要求されなければ、暮れの中山の馬場は傷みが激しく時計が掛かっていた。ステイゴールド系の同馬にとっては馬場状態もマッチしていたといえる。
だが、今回のスプリングSの馬場は全く異なっている。例年ならシルクロードSや阪急杯くらいまで馬場は前が残る内偏重だったわけで、今年は違和感を覚えていた。春のG1シーズンに向けて今週から一気にテコ入れがされたと考えるのが最も納得がいく。こういうのことを平気でやって来るから馬場造園課は八百長の温床になるといっている。(黒い意味での八百長ではなく馬場いじり次第で結果が左右されるのでは公正競馬が成立しないという意味)
この恩恵を最も受けたのがガロアクリークだったのではないか。敗れたにしてもヴェルトは34.2で上がっているならそこそこ切れている。ところが、ガロアクリークの切れはこれを大きく上回る33.8なのだからどうしようもない。
陣営も自覚しているようにこの馬の父はキンシャサノキセキでスプリンターの血統だ。距離の融通は利いたといえど延長となる皐月賞はマイナス以外の何物でもない。
また、2頭の舞台設定はプラスとマイナスが完全に噛み合ったが故の結果でもある。
暮れの中山は馬場が悪く時計も掛かったため、ガロアクリークには間違いなく適性外だった。対するヴェルトライゼンデは一瞬の切れがなく、ステイゴールド系には適性のある馬場だった。
仮にスプリングSが暮れと同じ馬場での開催だったならば、1800mの距離でもヴェルトライゼンデが勝っていた可能性は十分考えられたのではないか。残念ながら馬場造園課がいじくりだした以上は皐月賞は軽く高速馬場が濃厚でライバルには軽さと切れが武器のディープインパクト産駒が多数出走する。これはもう絶望的な後退といっていいだろう。
スプリングステークスのラップ構成
12.8-12.1-12.6-13.0-12.7-12.3-11.8-11.1-1.4
37.5-50.5-63.2
59.3-46.6-34.3
テコ入れされた馬場で前半5F63.2は超スローペースといえる。
後半5Fは完全に切れ勝負となった。
勝率3割が期待値とされる1番人気が今年の3歳重賞12連敗の異常ぶり
レース名 馬名S 騎手 人気
スプリンG2 ガロアクリーク ヒューイ 6
フラワーG3 アブレイズ 藤井勘一 12
フィリーG2 エーポス 岩田康誠 5
ファルコG3 シャインガーネット 田辺裕信 6
弥生賞G2 サトノフラッグ 武豊 2
チューリG2 マルターズディオサ 田辺裕信 4
共同通信G3 ダーリントンホール ルメール 3
クイーンG3 ミヤマザクラ 福永祐一 2
きさらぎG3 コルテジア 松山弘平 7
京成杯G3 クリスタルブラック 吉田豊 7
フェアリG3 スマイルカナ 柴田大知 3
シンザンG3 サンクテュエール ルメール 2
いくらなんでも12連敗は酷過ぎる。ここまで勝てなかったことがあるだろうか。
WIN5をやる上でも非常に警戒したい傾向だろう。
レース後のコメント ※ラジオNIKKEIより
1着 ガロアクリーク(L.ヒューイットソン騎手)
「追い切りに乗った時の感触が良かったので、いいフィーリングで自信を持って騎乗できました。距離は2000mが限界だと思いますが、次の騎乗も能力でカバーしてくれると信じたいです」(上原博之調教師)
「キンシャサノキセキ産駒の割りには距離ももちますし、今日も折り合いはついていました。それでも前走の2200mは長かったですから距離短縮は良かったです。元々いいところのある馬ですが、子供っぽさをレースで出していました。経験を積むごとにそれも変わって、今日はすごく落ち着いていました。2000mも大丈夫だと思いますし、次が楽しみです」
ヒューイットソンはこれが嬉しいJRA初重賞勝ち。若さは伸びしろだ。
日本の競馬にこのまま慣れていけば、アジャストは出来るだろう。
そこらの日本人騎手より腕は立つ。
2着 ヴェルトライゼンデ(池添謙一騎手)
「トライアル戦ですがしっかり勝っておきたいレースでした。勝負どころでもたついた感じになり一気に交わされてしまって、また伸び返しているのですが届きませんでした。小回りコースなら2000mぐらいに延びた方がいいでしょうし、今日は休み明けで(次走は)状態が上がってくるでしょうから、本番は巻き返したいですね」
叩かれての良化は期待出来そうだが、コメントにあるように負けるにしてもハナ差やクビ差なりの接戦で負けたかった。1馬身1/4差もつけられては言い訳できない。
3着 サクセッション(三浦皇成騎手)
「これまで早めの競馬をしてきたせいか、思ったより馬が早めに動くような感じになりました。勝ち馬に内に入られた分、外を回らされましたし、今日は遅いペースでも我慢できました。距離も問題なさそうですし、仕掛けのタイミング次第で頑張れそうです」
アンカツさんにも酷評されていたが、なぜ三浦が結果を残せないのかがよくわかる早漏騎乗。
しかも馬鹿の一つ覚えに外ばかり回すコース取り。
高松宮記念のダノンスマッシュにしても昨年の北村友一より上手く乗れるかどうかは怪しい。
4着 ファルコニア(M.デムーロ騎手)
「ペースが遅かったですから、距離は大丈夫な馬ですし、向正面で上がっていきました。ただ、直線の伸びはもう一息で、最後は苦しくなりました。まだ幼い馬ですからこれから成長していきそうです」
力不足
5着 アオイクレアトール(田辺裕信騎手)
「前回のレースの感じから楽に先手を取っていけると思っていました。道中はいい感じでいけたのですが、最後は瞬発力の差でしょうか」
力不足
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