エリキング「32秒3」は前戯にフル勃起?本番前に危うさ拭い切れず【神戸新聞杯回顧】
G2なら黄金コンビの出番
阪神11R神戸新聞杯(G2)芝2400
牡牝ラスト一冠の掉尾を飾った菊花賞トライアル・神戸新聞杯(G2)は、川田将雅の2番人気エリキング(牡3、栗東・中内田充正厩舎)が、先に抜け出したショウヘイを差し切り勝ち。昨年11月京都の京都2歳S(G3)以来となる2つ目の重賞タイトルを手に入れた。
春クラシックは皐月賞(G1)11着、東京優駿(G1)5着と振るわなかったが、順調に使えていればこんなものではない。それは競馬ファン含めエリキング陣営もそう考えたに違いない。
主戦の川田にしても自身が乗り捨てたショウヘイに1番人気を譲る状況に苦虫を噛み締める心境だったのではないか。
実際、春は捨てた馬に他の騎手が乗り、川田以上の好走をするシーンも目立った。
位置取りを間違えたダービーは、ルメールが好騎乗で導いた3着ショウヘイの後塵を拝する5着に敗れてもいる。G2で勝率5割を超える圧倒的好成績を収めている「川田将雅×中内田充正」の黄金コンビらしいトライアルの勝利だったように思う。
その一方、意図的かどうかは不明だったとはいえ、こういう乗り方をしているようでは、本番で危ないなと感じたのも正直なところ。改めてレース映像を見直してみたのだが、あまりにも暴力的な勝ち方を演じていたからである。
神戸新聞杯全パト
レースは横山典弘ボンドロアが逃げて1000m通過が62秒6の超スロー。1勝クラスを勝ち上がったばかりの馬に荷が重いのは仕方なく、マイナス12キロの馬体重を考えても横山典弘は無理をさせなかっただろう。
これに2番手で武豊アルマデオロがつけ、その直後の外に1番人気ショウヘイ、3番人気ジョバンニという隊列。川田とエリキングのコンビは、あろうことか7番手の後方からレースをしていた。
実力不足で早々に前の2頭が垂れ、最後の直線は地力に優るショウヘイとジョバンニの勝負。切れ味に劣るジョバンニが伸びあぐね、ショウヘイが抜け出そうとした外から襲い掛かったのはエリキング。一完歩ごとに差を詰めてゴール前で交わし去った。
何も知らずに見ていると、エリキングさん強いなあって話だが、二度見したのはその末脚。なんとなんと「32秒3」をマークしていたのだ。そりゃそうだよなあ、あんな後ろから届くわけないもの。そもそも2着に負けたショウヘイすら32秒9だったぞ。
ジョバンニにしても33秒1を駆使していた割に見劣ったのだから、もう究極の切れ味勝負だったという訳だ。
いけない、これはいけないよ。こんな勝ち方をする馬は菊花賞(G1)で来ないパターン。これは父サートゥルナーリアで距離延長が不鮮明なショウヘイにしても同じ。むしろステイヤーらしい負け方をしたジョバンニの方が魅力的に映ったくらい。
近年の神戸新聞杯の勝ち馬を見ても、菊花賞まで勝てた馬はサトノダイヤモンドとコントレイル程度。阪神コースのトライアルと淀の長距離はリンクしないよな。
そしてもうひとつ引っ掛かったのは、川田とエリキングのモデルチェンジ。川田といえば比較的勝てるポジションで優等生の競馬をするタイプ。それが皐月賞もダービーも神戸新聞杯も、なんか知らんけど後ろの方にいるんだ。
舐めプの後方待機で位置取りを間違えても、乗っている馬が強いから結果オーライというのは、ルメールさんがやりがちなヒヤリハット案件。ただでさえ長距離のレースでまったく勝てない騎手が、こんなことをやっているようでは怖い。
また、個人的に引っ掛かったのは、彼がひとつ前の10Rムーンライトハンデ(3勝)で、ほぼ同じミスをしていたにもかかわらず、メインでも同じ乗り方をしていたこと。内回りの芝2200はBコースで約360mに対し、外回りの芝2400mは約480mと長く、その分だけ同じ後ろからでも命拾いをしたように映る。
いや、それよりも気になったのは川田より馬の強さが際立った点。この距離でこんなことをしているようでは、勝てない長距離戦でプラスになるようには思えなかった。
もうすでに菊花賞でエリキングを買う気は、かなりなくなっているというのが正直な感想だ。
川田将雅の菊花賞成績
初勝利のビッグウィークは、まだWIN5の発売前の頃。当時の川田君は乗れる若手として注目しており、まだまだピュアだった。それが何度も壁にぶち当たる内に現在のスタイルに変わり、リーディング上位を賑わせるまで成長した。
その反面、完全に騎乗馬と主従関係で乗るようになったため、長距離だと馬が川田のストレスに参って勝てなくなったという推測もしている。長距離の上手い騎手って大抵、「馬のリズムと気分を優先」「奥さんに頭が上がらない」人が多い。「九州男児」の川田君にそんなイメージは皆無だもの。
残るショウヘイ、ジョバンニに関しては普通に乗って普通に負けた。今日のところはエリキングの切れ味がヤバ過ぎただけ。
ジョッキーコメント
1着エリキング 川田将雅
「菊花賞のための準備をしました。菊花賞のために、あえてゆっくりと、この馬のリズムを大事に、道中は組み立てました。これを使って良くなるようにというところで、この走りが出来たというのは凄くありがたい収穫です」
※菊花賞を意識した割にはってトライアルの乗り方。これが武豊なら「脚を測ってた」と無理矢理前向きに受け取られることもあるけど、それは武豊だからこそ。性格の悪いおじさんにすれば、前戯でフル勃起して本番で使い物にならない感じ。32秒3は中学生レベルのしごき過ぎ。
2着ショウヘイ 坂井瑠星
「落ち着いて雰囲気も良かったですし、道中も何とか我慢がきいて、押し切れるかと思いましたが、残念でした」
3着ジョバンニ 松山弘平
「しっかりと取りたいポジションでレースができた。折り合いもついて、次につながるいい競馬ができた。次は巻き返したい」




