元お手馬対決は戸崎圭太に運向く…招いた現実にルメールも「仕方ない」【オールカマー回顧】
注目集めた兄妹対決の行方
中山11Rオールカマー(G2)芝2200
天皇賞・秋(G1)の重要なステップ・産経賞オールカマー(G2)は、メンバー唯一のG1馬レガレイラ(牝4、美浦・木村哲也厩舎)が格の違いを見せつけて勝利。2歳上の兄ドゥラドーレスとの初対決を制した。
最強メンバーの集まる暮れのグランプリ・有馬記念(G1)を制した実力の持ち主だけに、このメンバー相手では力が一枚も二枚も抜けていた。
最強4歳世代の元クラシック候補らしい完勝で秋の始動戦を勝利。末脚の切れる馬ということもあり、直線の長い東京で魅力のタイプだが、器用さの求められる小回り中山の非根幹距離の重賞で好走していることを思えば、先入観を捨てた方がいいのかもしれない。
去年の有馬記念から直行した春のグランプリ・宝塚記念(G1)は、武豊が操るメイショウタバルのラップに翻弄されて11着に大敗。まともに走ったときには力負けをしていない戦績を考えると、牝馬らしく脆さの同居する馬といったところ。G1勝ち実績があるため、斤量も2キロ重い57キロで兄ドゥラドーレスを完封。この走りができるなら、天皇賞・秋でも楽しみがある。
いつものお約束という意味では、最大の不安要素である戸崎圭太を乗せても勝ち切った点。圭太ちゃんが中山芝2200でミスするシーンは、これまで何度も目撃してきたが、今回は無事に勝利したのだから褒められていい。
オールカマー全パト
レースは鮫島克駿リビアングラスが逃げて、1000m通過のラップは59秒9。現在の中山を考えれば平均よりやや遅めといったところ。流れているように見えたのは2F目に10秒7があったからであり、全体的にはそこまで速くない。
そのままの隊列で誰も動かないスローが続くのかと思いきや、一石を投じたのがフェアエールングの津村明秀。ファウストラーゼンほど強引ではないが、ペースが遅いと見るやマクって先頭に立つ積極的な競馬を試みた。
当然ながら3コーナーあたりで慌ただしくなり、これしかないというタイミングでルメールとドゥラドーレスが先手を打って動いた。ここで動ける騎手と動けない騎手という意味では、じっとしていた圭太ちゃんより、ルメールの方が勝ちに行く競馬をしている。
総合的に見てもしっかり乗っていたのは圭太ちゃんよりルメール。もし自分がオーナーなら、フラットにどちらの騎手を乗せたいかとなれば、迷わずルメールを選んだだろう。
遅れを取った戸崎はモレイラのクロミナンスと変わらない位置のまま。もし騎乗馬が同じならルメールが押し切ったかもしれない。
それでも今の戸崎圭太は持っている。
騎手としては負けても乗っている馬は負けていない。先に抜け出したライバルをすんなり捕まえて事なきを得たのだ。パートナーはG1を勝った馬であり、ドゥラドーレスはG3すら勝ててないのでは、この結果もやむを得ない。
いつもデータと成績をにらめっこしている当方にしても、それまで滅多に勝てなかった鬼門の中山芝2200mで、AJCC(G2)ダノンデサイル、セントライト記念(G2)ミュージアムマイル、オールカマー(G2)レガレイラと3連勝を決めた姿はまるで別人。いや、待てよ。これ3頭全部G1馬じゃねえかよ!そりゃ戸崎でも勝てるくらい反則的に強いだけやないか(笑)。
かといって、これを「しかし小僧、自分の力で勝ったのではないぞ!そのモビルスーツの性能のおかげだという事を忘れるな!」の一言で済ませるのもなんか違う。
だってそもそもレガレイラはルメールの馬だったんだもの。そのルメールが上手く乗れなくて戸崎に出番が回ってきただけ。だからルメールも「戸崎ずるい」とはいえない訳である。
ひとつだけ言えることは、ドゥラドーレスに関しては「完全に戸崎が悪かった」こと。本人が謝罪コメントを出した例の毎日杯(G3)もあれば、まさかまたチャンスをもらえるとはと意気込んだ七夕賞(G3)の敗戦。これどちらも他の騎手なら勝っていた可能性を十分イメージできる「敗因戸崎圭太」といえる。
それでも自分がやらかした馬にルメールが乗ってルメールがやらかした馬を戸崎が乗った結果、馬が強かった方が勝利した。この構図ならやはり今の戸崎圭太は持っているのだ。
いやね、おじさんもこの1週間悩んだよ。ダノンデサイルとミュージアムマイルは馬より戸崎のミスが怖かっただけであっさり勝った。でもレガレイラは安定感で見劣りする上に57キロだったでしょ。「2度あることは3度ある」「3度目の正直」のことわざを何度も頭の中で繰り返したさ。
秋天はやっぱり勝てないんじゃないかとも思ってるけどさ。勝てば官軍終わってみればってオールカマーだったんじゃないかな。
ジョッキーコメント
1着レガレイラ 戸崎圭太
「ホッとしているのと、レガレイラと勝てたことを嬉しく思います。ポジションを取りにいかずに、馬のリズムで行ってみましょうかという作戦だったので、そういう形は取れたのかなと。外からドゥラドーレスに来られたが、まだ早いかなという感じで、一度行かせて後ろでマークしていくような形で行けました。この馬の強さを改めて感じました」
※いつもならまだ早いかな、からの間に合いませんでしたってのが定番。意識していたとはいえ、あそこは動いてよかったと思うが。
2着ドゥラドーレス ルメール
「仕方ないです。精一杯走ってくれました。良いタイミングでポジションを上げて、長く脚を使ってくれましたが、相手が強かった」
※そうだよねえ、いいタイミングだった。
3着ヨーホーレイク 岩田望来
「ゲートは出ませんでしたが、結果的に良いところで競馬ができた。最後もジリジリと脚を使っていますが、上位2頭が強かったです」
4着フェアエールング 津村明秀
「ガクッとペースが落ちたところで、リズムを崩さずハナを奪って良い雰囲気で走れました。一線級相手によく頑張ってくれました」
※ハナ差で4着は結果論。津村が気持ちを見せてくれたことに満足。


