ルメール、武豊より気になったチグハグ騎乗…騎手の判断が明暗分けた有馬記念の回顧
過信慢心クソ騎乗もチラホラ
中山11R有馬記念(G1)芝2500
レガレイラ、ダノンデサイル、ミュージアムマイル、メイショウタバルの4頭が単勝オッズ一桁台となった今年の有馬記念(G1)。四強が覇を争った冬のグランプリを制したのは、3番人気に推されたCデムーロ騎乗のミュージアムマイル(牡3、栗東・高柳大輔厩舎)だった。
3歳馬の優勝は昨年のレガレイラに続く連覇。過去10年でも5勝と好成績を残しており、世代レベルを測る意味でも来年の活躍に期待がかかる。史上初牝馬による連覇を狙ったレガレイラ(牝4、美浦・木村哲也厩舎)は、道中でスムーズさを欠いたことも響いて4着に敗れた。
終わってみれば納得の結果といえるのかもしれない。
ミュージアムマイル
古馬が相手になる夏競馬からの対戦成績でも好成績を残し、マスカレードボールとミュージアムマイルで決着した天皇賞・秋(G1)でも3歳馬のワンツーフィニッシュは初の快挙。それもダービー馬クロワデュノールが不在の状況でだ。
同レースを快勝して待望の初G1タイトルを手にしたマスカレードボールは、次走のジャパンC(G1)で世界最強馬の称号を持つカランダガンと互角以上の接戦を演じた。古馬最強格のダノンデサイルが2馬身半も後れを取ったことを考えれば、マスカレードボール相手に善戦したミュージアムマイルの勝利は驚くことでもなかったのではないか。
また、着差こそ半馬身だったものの、手綱を取ったクリスチャンもパートナーの勝利に大きく貢献した。スタートで後手を踏んだものの、徐々にポジションをリカバーしていき、レガレイラの前で先行勢の動向を注視しつつ運んだ。
逃げると見られていたメイショウタバルが途中からハナに立ったように、隊列の定まらなかったレースで目標にしたダノンデサイルをマーク。先に仕掛けた相手を一枚上の切れ味で交わし去り、ノーマークを逆手に粘り込みを狙ったコスモキュランダの大金星を阻止。後手に回ったことが仇となったレガレイラのルメールに格の違いを見せつけている。
「去年はレガレイラに自分の夢を絶たれたので、リベンジができてすごく嬉しい」
会心の勝利をそう振り返ったクリスチャンだが、10番人気の穴馬シャフリヤールより数段頼もしいパートナーが願いを叶えてくれた。
「道中はずっとダノンデサイルの後ろで競馬をした」ことも勝負を焦らなかった理由のひとつ。強い馬の後ろをついて行けば、進路をそのままトレースできる。簡単なように見えてミュージアムマイルの直後にいたルメールは、直線でロスを生むミスに繋がった。
有馬記念全パト
コスモキュランダ
12番人気の大穴で2着に割り込んだコスモキュランダは、レース前からしっかりとプランを描いていた横山武史の好判断がハマった。
本馬は未勝利を勝った新潟以降、中山でしか馬券に絡んだことがなかったほどの専用機。追い切り自体は秋天もJCも抜群に動いていたものの、結果に結びつかなかったためにスルーしたのだが、有馬でブリンカーをつけたことにより、最後まで集中力を切らさずに走り切れたということだろう。
だがそれだけでここまで走れる理由もない。エフフォーリアとのコンビでブレイクし、同馬の引退とともに表舞台から姿を消した若武者の思い切りのいい騎乗を抜きに語れない激走だ。
「120点、いや、勝てなかったので100点の競馬です」というコメントに生意気さも伝わるが、これくらい威勢のいい言葉が出るだけ、まだ復活の期待が残る。
ダノンデサイル
3着に敗れたダノンデサイルに関しては、戸崎圭太の騎乗を責めても可哀想。本人曰く「思ったより後ろの位置になりましたが、後ろでじっくりと行って、力まずリラックスしていました」「4コーナーでは突き抜けるかという感じでしたが、右にもたれるところがありました」とのことだが、戸崎圭太被害者の会からすれば「戸崎で勝てるほど強くなかった」に過ぎない。
本馬についてはドバイシーマクラシック(G1)以降、精彩を欠いているというか、おそらくこれ以上の上積みに期待出来なところまで来ている感。早熟傾向のエピファネイア産駒にしてはパワーダウンが緩やかな分だけマシかもしれない。
レガレイラ
圭太ちゃんに辛口の当方でも責めちゃ可哀想と感じた一方、レガレイラのルメールは騎手の責任の度合いが大きい。スタートの出が悪いのはいつものことでやむを得ないのだが、同じように出負けしたクリスチャンとの差が際立った。
圭太ちゃんが騎乗していたレースはすべて「ルメール時代より前のポジション」で好走した。天下のルメールさんなら、本来格下である戸崎に結果を出されたなら、もう少し反省なり研究なりを熱心にすべき。ルメールに戻った途端に以前と同じ負け方をしているようでは、慢心や怠慢といわれても擁護するのは難しい。
まだ前半部分の道中で、リカバリするタイミングはいくらでもあったにもかかわらず、最後の直線まで後方のまま。「速い反応が出来ず、エンジンがかかるまで時間がかかりました」と馬に責任を押し付けているのは頂けない。
思い返せばジャパンCの敗戦もルメールのそういった悪い癖が、追い出しや進路取りで後れを取る結果となっていた。ぬるい日本人騎手が相手ならまだしも、これでは一流どころの外国人騎手相手に通用しない。
上位入線馬についてはこのくらいにして、他に気になった馬についても触れておく。
メイショウタバル&ミステリーウェイ
ロイヤルファミリー効果も後押ししたメイショウタバルは、強気にハナを奪う決断もすることなく、道中も外ポツンに近い進路。折り合いをつけることができないまま途中からハナに立ったはいいが、あまりにも判断がブレ過ぎた印象が残った。
この馬は「行くしか好走しないタイプ」なのだからミステリーウェイとイチャイチャしている場合じゃない。13着の大敗を力負けと論じるつもりはないけれど、武豊にしてはどっちつかずの中途半端な騎乗に映った。
当方が乗れる若手と絶賛している松本君は、レジェンドに振り回されただけの被害者。両者が覚悟を決められないまま乗ったため、徹頭徹尾前を意識して乗っていた武史に展開も味方してくれたのだろう。
前半1000m通過60秒3、後半60秒5と淀みのない流れとなったが、武豊と松本君がもう少し早い段階でハナ争いを済ませていれば、後続馬にもっと苦しい展開となったのではないか。
いずれにしても両馬は馬場も展開も向かない見立てのため、WIN5や馬券でも軽視していたのだが、それでも馬券を買ってくれたファンが負けてもスッキリする乗り方をして欲しかった。
あとは個人的に「クソだな」と感じた騎手について少々。
アドマイヤテラ、エキサイトバイオ
ジャパンCで他馬に迷惑をかけたアドマイヤテラだが、今回は川田将雅とセットでまた他の人馬を邪魔した。内に拘って寄せていったシーンは、前半部分と3-4コーナー。SNSでは内のシンエンペラー相手に幅寄せをするような映像も話題になった。
まあ川田君は一部界隈で「競馬界のネイマール」の異名を持つ問題人物でもある。後輩騎手相手に恫喝して藤田伸二みたいなフェアプレーをアピールしつつも、自分がやられたときだけ声が大きい。川田が加害側のときに周りが文句を言えないのは、相手が萎縮してしまっているからだろう。
また、エキサイトバイオはスタートしてすぐシンエンペラーと同じくガシガシやっていたが、それも最初だけですぐに諦めた。外からタフなレースをして好走した菊花賞(G1)の走りを評価していたのだが拍子抜け。荻野極もG1じゃ買えない騎手だなと思った。
シンエンペラー
各馬の騎乗云々はレース中でのことだからまだ仕方ない部分もあるのだが、シンエンペラーに騎乗したガシマンこと坂井瑠星の騎乗はズバ抜けて酷かった。
先に掲載した全パトを見ても分かる通り、ハンパに出して行った割に手綱を二度三度引っ張って引く姿にうんざりした。君はガシガシやって「下手糞でも逃げ馬なら買え」を体現して成り上がった騎手のはずでしょ?
ハッキリ言って「イケないガシマンに存在価値はない」のだ。
控えた荻野極と同じく絶好の内枠を生かすどころかマイナスにして凡走。おまえらどっちかでもやる気を見せていれば、コスモキュランダになれたかもしれなかったんだぞ。
割とムカついたのはこのコメント。
「内枠で、ロスの無い競馬ができました。ただ、前の馬が下がってきて、スペースが無くなりました。それが無ければ、もう少し上の着順には来られていたと思います」
自分がガシっていく気になった馬を引っ張って下げた挙句、あたかも被害に遭ったかの如く言い訳をしているようでは情けない。逃げ馬でしか用がない騎手の癖に自己評価が高過ぎるよ。これは君がちゃんと乗っていれば被害に遭わずに済んだと思うね。
というわけで今回のキングオブクソ騎乗は坂井瑠星君で確定しました。
その他のコメントはこちら。
ジョッキーコメント
5着サンライズジパング 克駿
「ポジションを取りたかったが取れなかった。しばらくダート戦だったので戸惑いがあったようです。腹をくくって内でじっとしていました。パワーがあるのでこの馬場をこなし、タフなペースも向いたと思います」
6着タスティエーラ 松山
「外枠からポジションを取り、4角では見せ場を作り、強い競馬をしてくれました。最後に結果を出せなくて申し訳なく思います」
7着ジャスティンパレス 団野
「出てからの進みが良くありませんでした。後手、後手になってしまい、やりたい競馬ができませんでした。ラストランで、何とかしたかった」
8着エキサイトバイオ 荻野極
「道中はスムーズで落ち着いていました。最後も手応えはありましたが、伸び切れませんでした。強いメンバー相手によく頑張っています」
9着マイネルエンペラー 丹内
「流れに乗ってうまく運べました。良い時ならあそこからもっと弾けてくれます」
11着アドマイヤテラ 川田
「あの位置から精一杯の競馬を、最後まで頑張ってくれました」
13着メイショウタバル 武豊
「残念です。状態は良かったのですが、難しいところがあります。はまれば強いのですが、脆さもあります。また来年頑張ります」
おじさんのひとりごと
順調さを欠いたクロワデュノールがジャパンCで4着に凡走したとはいえ、春クラシックを争ったマスカレードボールが秋天優勝と実質勝ちのジャパンCで2着。秋天で2着に惜敗したミュージアムマイルが有馬記念を優勝した。
もうこの時点で昨年の3歳世代(現4歳)より、一枚も二枚も世代レベルが上であることを証明してしまった。これにまだ菊花賞馬エネルジコもいるのだから楽しみである。クロワデュノールについては、次走でどこまで復調を見せるか。もしあれで力を出せると判断しての出走なら、ダノンデサイルみたいに天下を取れないポジションに落ち着きそう。
ルメールとの出会いで力を発揮できるようになったマスカレードボール、有馬記念でダノンデサイルとレガレイラを返り討ちにしたミュージアムマイルが世代交代を加速させた。
とはいえ、ルメールが気に入ったマスカレードボール以外の2頭は鞍上問題がつきまとう。クロワデュノールは北村友一を乗せるのが勿体ないレベルの馬でもあり、ミュージアムマイルにしてもクリスチャンが帰国した後に誰が乗るのか。
お競馬的には、しばらく3歳世代を狙い撃っていれば予想が楽になりそうな雰囲気だ。



