三浦皇成「エルボーなし」の悲願達成、ナムラクレアに「負の遺産?」【スプリンターズS回顧】

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三浦皇成「エルボーなし」の悲願達成、ナムラクレアに「負の遺産?」【スプリンターズS回顧】

後ろの騎手は造園課に負けただけ?

中山11RスプリンターズS(G1)芝1200

28日、秋のG1開幕を告げるスプリンターズS(G1)が中山競馬場で行われ、マイペースの逃げで粘り込みを図った武豊ジューンブレアを三浦皇成のウインカーネリアンが捉えてゴール。ナムラクレアとルメールのコンビが3着に入った3連単の払戻しは、130万1150円の大波乱となった。

悲願のJRA・G1初勝利を手にした三浦皇成は、これまで長らく続いた127連敗で終止符。鳴り物入りでデビューした2008年から18年目で初めて分厚い壁を破った。天才2世と期待されたデビュー当初の輝きは年を追うごとに色褪せ、今では消し条件にすらなりつつあった中、本人にとっても感慨深い美酒となったに違いない。

競馬民が三浦のG1と聞いてすぐ思い出すなら、最も勝利に近づいた2014年の安田記念(G1)ではなかろうか。

このときは騎乗停止で福永祐一がジャスタウェイに乗れず、先生が代打騎乗で勝利。必死になった三浦が無我夢中で追ったら、エルボーする格好で先生に迷惑をかけたことでも有名だ。※先生は上手く乗ってたから、この頃の祐一君なら負けていたと思う。

今回も競馬界のレジェンド武豊相手でヒヤヒヤしながら見ていたが、クリーンな騎乗で勝てたのだから称賛に値する好騎乗だった。

一応ここまでは予想の敗戦を素直に受け入れた内容である。

しかし、このスプリンターズSがフェアなレースだったのかとなると、個人的には「そうではない」と言わざるを得ない。

というのも、レースを見ていて不完全燃焼なまま終わってしまった感を否めないからだ。

ただただ前に行った馬がそのまま残る盛り上がりを欠く結末。勝ちタイムこそロードカナロアがマークした1分6秒7と0秒2差の1分6秒9だが、上位2頭の前後半3Fはウインカーネリアン(33秒9-33秒0)、ジューンブレア(33秒7-33秒2)の完全な超スローペースなのだ。こんな時計に何の価値もない。

イメージしやすく例えると、「押して押してハナを奪って後続の追撃を凌ぎ切った」のではなく、「とりあえず前で走っていたら後ろがついてこなかった」ように見える。そりゃそうだ。このクラスの馬なら馬なりで走れそうなラップが刻まれていたのだから。

これじゃ風俗店に入ったものの、前戯だけでお時間終了して本番もなく退店したようなもの。この残尿感というか物足りなさの原因が、バカみたいな行ったままで終わったことだろう。

かといって当方としても、「行かない騎手だけが悪いとは言い切れない事情」もある。そりゃ土曜中山の前残りを見ていても、やる気のない騎手が勝てるレースではないと予想したが、それだけでここまでおかしなことにはならない。

S級戦犯がいるとしたら馬場造園課である。

実は騎手のことをそこまで責められない一因に「人間の体内時計」と「超速馬場の実情」との誤差が生じるためだ。

例えば武豊のようなラップ刻みに優れた騎手でも、それは「何メートルを何秒で走る」というものに近い。ところが、超速馬場の場合は「体感ラップで速く」感じても、「馬場が堅過ぎるからそうではない」という矛盾が出てくる。

その結果、ちょっと速そうだなと感じても実は遅い、イコール前が残りやすいという理屈だ。

まあG1レースにもかかわらず、前半33秒7じゃ止まりっこないよ。その証拠に1着2着馬どちらも前半の方が遅い後傾ラップで走っているもの。ただでさえ逃げ馬有利の中山芝1200mで普通に想像できるオチといえる。慌てて追い出した後続馬の騎手も「馬場のカラクリ」にしてやられただけに過ぎないかもしれない。

これはもう馬場造園課が「意図的にそういう馬場を作っている」わけだから、それを踏まえた上で騎乗しないと凡走してしまう。騎手にしても競馬民にしても同じ罠にハメられたということだ。

じゃあどうすりゃいいのよって、これはもう終わってからグチグチいうよりも、「敵を知り己を知れば」の精神で対応するよりない。当方が常に「下手糞でも逃げればチャンスがある」「今の高速馬場で下げる奴は死刑」くらいの勢いで話しているのもこういった背景からなのだ。

三浦皇成の勝利にしても、キツイ言い方をすれば見ているファンが唸るような神騎乗でもなんでもない。彼の勝因は逃げ馬に乗っていたこと。そして判断を誤らなかったこと。これに尽きる。

道中の進路取りや仕掛けのタイミングで劣る騎手が、どうやったら勝てるのか。そりゃ展開がハマるのを待つしかない。

石橋脩ですらG1を勝てたのはなぜか?ビートブラックで逃げたからだろう。競馬における大波乱というのは、基本的に前残りばかり。今のような高速馬場では追い込み天国というのはなくなったに等しい。それもメジロパーマーやツインターボのような「敵ながら天晴」みたいな逃げではなく、ただの前残りと変わらない。

これが行く決断をした2人のワンツーを褒める一方、後ろの騎手を責めるのも違うなと感じた理由である。

ただ一つだけ言えることがあるなら、今日のところは三浦皇成の記念すべきG1勝利も悪くはなかったなってことか。

余談だけど、彼は2年前の高松宮記念(G1)でもチャンスがありながら判断を誤った前科もある。当時も11番人気だったが、当方はあえて狙った。判断を誤らなければ勝てるチャンスがあると考えたからだ。

しかし、周知の通り前半3Fがマイル戦のようなスローで引く判断をして4着。切れる脚のない馬が瞬発力勝負に巻き込まれて勿体ない競馬をした。でも今回は間違えなかった。だから勝てた。

まあ三浦の話をいつまでやっててもしょうがないから、他の馬の話に切り替えよう。

1着ウインカーネリアン 三浦皇成
「ここまで長かったですね。枠順に関係なく、一番走れるリズムだけを考えていました。8歳という年齢で、チャンスも少なくなってきて、何とかここは勝たせてあげたいと思って追っていました。127回も勝てない自分を応援して下さるオーナー、これだけたくさんのファンがいて、あきらめずに応援してくれていました。叶うことができてよかったです」

ジューンブレア

予想記事で芝1200mのレースに騎乗した際、4角2番手以内で乗っていた騎手の成績を見て意外だったのは武豊の好成績。割と後ろで溜め殺す系のイメージが強かったけど、思った以上に積極策を採っていた。

密かに豊さんすごいなと思ったのは、前走のCBC賞(G3)で控えて失敗していたのを修正してきた点。あのレースでインビンシブルパパに逃げ切られたのは反省材料だったのだろう。引いたから負けちゃったねと回顧記事でも触れていた。

今回はしっかり行かせる競馬をしたにもかかわらずアタマ差、それも三浦のお膳立てみたいになったのは少し悲しいね。ここは格の違いを見せて返り討ちにして欲しかった。グリーンチャンネルで解説していた勝浦君も「絶妙なラップを刻んでくれる豊さんについて行ったお陰」と話していたっけ。

それでもやれることをやり切った100点満点の騎乗。ジューンブレアの馬券を買った人は満足できると思う。

2着ジューンブレア 武豊
「狙っていたレースはできました。馬は良くなっていましたし、惜しかったです。それでも力は出せたと思います」

ナムラクレア

おじさんも「持っていない」けど、ナムラクレアさんも「本当に持っていない」と同情せざるを得ない馬だ。

こんな前残りの超スローを直線9番手で届くわけがない。上がり32秒7を駆使して0秒3差まで追い込んだのだから馬は立派だと思う。

でもってルメールが後ろ過ぎるだろうがと突っ込みたくなるのも分かるが、悪い表現をすると「浜中を乗せたから」こういう馬になっちゃったんじゃないのという話。どうしてかって?とりあえずこちらをご覧いただきたい。

ナムラクレアって元々好位からの競馬ができるタイプだったのよ。それがね、浜中が勝てないレースを続けたせいで、自信の喪失に比例して後ろからの競馬が増えていった。

後ろから鋭い脚を使う馬が前にいて同じ脚を使えるわけじゃないけど、何度も言っているように現在の超速馬場の勝ち方にフィットしない逆の選択肢なんよ。陣営の指示なんかもあったと思うけど、武史もルメールも浜中の乗り方を踏襲する感じで、昨年と全く同じ負け方をしてしまった。

乗り替わってG1を勝たれたら浜中の立場がなくなるのは可哀想だと思っていたけど、これは「浜中俊の負の置き土産」のように思える。

3着ナムラクレア ルメール
「いいスタートを切って、好きなポジションを取れました。サトノレーヴの後ろで丁度いい感じでしたし、最後外に出してからもいつも通りの脚でした。前の馬がマイペースで行っていて届きませんでしたが、今日は本当のナムラクレアでした」

サトノレーヴ

WIN5のデータでロードカナロア産駒が中山の芝1200だけ勝ったことがないというネタは話したけども、今日のサトノレーヴは「八百長馬場でなければ勝てたかもしれない」走り。脆さを見せた昨年よりは、内容もよくなってたと思う。

秋にも猛威を振るったモレイラだが、ラストウィークで空気になったのは残念。それでもルメールもモレイラも競馬より馬場に負けたよね。

4着サトノレーヴ モレイラ
「いいスタートを切り、いいポジションで競馬ができました。道中の行きっぷりも手応えも良く、直線でスペースができると脚を使ってくれました。今日の馬場状態は前の馬に有利に働いた感じです」

ヨシノイースター

絶好枠を引いたから、もしかしたら内田君が逃げるのではと考えて買い目に入れた。

でもこのコメントにガッカリ。彼は自分の常識を優先してしまった。まあこの馬が行ったところで前残りに変わりはなかったと思う。

5着ヨシノイースター 内田博幸
「馬は凄く良かったです。押せば前に行けたのですが最後甘くなるので行かせすぎず、リズムよく運べました。最後まで一生懸命頑張ってくれて、3着争いに食い込んでくれました」

その他のコメント

6着同着ママコチャ 岩田望来
「凄くいいポジションで競馬ができました。原因はわからないです。結果だけが残念です」

※衰えを感じる負け方

8着ピューロマジック 松山弘平
「スタートが決まって、馬の後ろでしっかり我慢ができました。作戦通り。残り1ハロンで一気に下がったのは坂かなと思います。得意ではないという印象です」

※馬体を戻したとはいえ16キロ増。これなら逃げてもよかったように感じたものの、力を出せていないような敗戦。本馬の個別ラップは34秒0-33秒4なので、さすがに走らなさ過ぎか。出来がもうひとつだった可能性もある。

10着トウシンマカオ 横山武史
「楽にポジションを取れました。道中は雰囲気が良かったのですが、最後止まったのは絶好調の一歩手前なのかなと。最近はズブさが出て適性が1400m寄りになっていると思います」

※セントウルSで戦前に絶好調と吹いていながら、実は完調手前ではなく理想のトライアルと言いやがった陣営。3番手の勝てる位置の競馬でこれはいい訳出来ないか。武史は悪くないねこれ。

11着ラッキースワイネス リョン
「スタートから程なくして両サイドから挟まれる形。その後もペースについてくことが難しく、最後は伸びているが遅すぎました」

※明らかにピーク過ぎてる感あった。

12着ルガル 川田将雅
「具合は凄く良かったのですが、全く進む気がないままでした」

※ルガルが去年勝てたのは西村だったからね。

13着ペアポルックス 松若風馬
「見えない疲れがあったようで、スタートが決まりませんでした。展開も向きませんでした。返し馬でも上ずったような感じがありましたし、夏に続けて使った影響もあったかなと思います」

※この馬が逃げる可能性も考えていたけど…。

16着カピリナ 戸崎圭太
「外枠で進め方が難しかったです。右に流れるところがあるので、周りに囲まれた方が良いと思います。条件が噛み合わないといけないが具合は良かったです」

※圭太ちゃんらしいというか憎めないコメント。自己弁護のために調子がもうひとつだったとか、誰かに不利を受けたとか言わないところまで可愛い。囲まれた方がいいっていってるけど、囲まれたら出て来れないじゃん圭太ちゃん。可愛い。