戸崎圭太「責任感じていた」ミュージアムマイル…横山典弘も絶賛されたセントライト記念
圭太ちゃんも頑張ったよ
中山11Rセントライト記念(G2)芝2200
15日敬老の日に行われた菊花賞トライアル・セントライト記念(G2)は、戸崎圭太と初コンビを組んだミュージアムマイル(牡3、栗東・高柳大輔厩舎)が1番人気に応えて優勝。皐月賞馬が秋初戦でも格の違いを見せつけた。
メンバー唯一のG1馬でありながら、単勝オッズは少々意外な2.9倍。春に休み明けの弥生賞(G2)で4着に凡走していたことや、同レースに皐月賞勝ちの立役者モレイラがいたにもかかわらず、信頼性で下回る戸崎圭太への不可解な乗り替わりも、ファンの不安を煽る結果となったのかもしれない。
また、皐月賞馬にとってもセントライト記念は8年間勝ち馬が出ておらず、ミュージアムマイルの勝利も2016年ディーマジェスティ以来9年ぶり。この不吉なジンクスを克服したのだから、ひとまずは戸崎も大役を果たせてホッとしているに違いない。
彼にとっても中山の芝2200mは、1月末のアメリカジョッキークラブC(G2)をダノンデサイルで勝つまで【2.6.4.22】の勝率5.9%と苦手にしていた条件。そんな鬼門を克服したのはダービー馬と皐月賞馬のお陰だろう。馬が強かったからといってしまえばそれまでだが、そういう馬の騎乗依頼が来ることも戸崎圭太の人柄なしでは語れない。勝てば官軍ということでいいのではないか。
2着ヤマニンブークリエとは3/4馬身差だったものの、本番を見据えた仕上げの中で勝ち切れた意味は非常に大きい。秋競馬の盛り上がりを考えても、日曜阪神のローズS(G2)を勝ったカムニャックと同じく、春のG1馬が躓くことなく結果を残した。
少し気になってカムニャックのオッズをチェックしていたのだが、こちらの単勝は2.9倍とミュージアムマイルよりもついていたのは意外。当方は、川田将雅の分だけカムニャックの方が勝てそうだと考えていたのだが、こちらが思っているより競馬ファンは戸崎のことを信用していたらしい。
では早速レース全体から振り返ろう。
セントライト記念全パト
発走直前にファイアンクランツがゲートを潜りそうになってモレイラが下馬。幸い大事には至らなかったが、スターターは外枠発走を決断。本馬は大外からさらに一つ外の14番枠からのレースを強いられた。
レースは絶好の最内を引いた岩田望来ジーティーアダマンがハナ。2番手に藤岡佑介サクラファレルがつけ、その後ろを3番手に佐々木大輔レッドバンデ、4番て菅原明良ブルータスで隊列が収まった。
注目のミュージアムマイルはスタートを無難にこなし、先団7頭から少し離れた8番手。馬群がばらけたお陰もあって周りに他馬のいない伸び伸びと走れるポジション取りに成功した。この時点でもう後はペース次第といったところだが、「これは勝ちそうだな」と思わせる。
というのも全体を見渡してもスタートからゴールまで戸崎圭太は外に馬を置かず、壁を作らない騎乗を心掛けていたように感じたからだ。何しろ馬群を捌く技術に不安のある鞍上だけに、レースが動いたタイミングで外から蓋をされたり、内に突っ込んで出て来れないアクシデントに見舞われる可能性もあった。
しかし、唯一の誤算にしても外枠発走から強引なマクりを敢行してきたモレイラの奇襲くらい。レース前から冷静さを欠いていた相手は、最後の直線を待たずにズルズルと後退。後は無人の荒野の如く邪魔者のいない大外から底力にモノをいわして差し切るだけだった。
乗り方としては徹頭徹尾パートナーの足を引っ張らない繊細な騎乗。これも力の抜けているG1馬だからこそ成立したはずである。
これに対し、ジョッキーのプラスアルファが際立ったのは2着のヤマニンブークリエ。横山典弘とは前走の町田特別(2勝)からの続戦だったが、こちらは戸崎と逆に徹頭徹尾内をロスなく走らせる競馬が見事だった。4角入り口で2頭はほぼ同じ位置だったのだが、コーナーワークで先に抜け出し、G1馬をあと一歩のところまで追い詰めた。
いやはや、さすが横山典弘である。中山コースの乗り方を知り尽くした熟練の手綱捌きは、騎乗馬の強さの差だけ着順に反映されなかった。騎乗ぶりだけの点数なら横山典弘は99点、戸崎圭太は80点といった感じ。それくらいに両馬の間には力差も感じる内容だった。
終わってみればローズSもセントライト記念も春の実績馬、且つG1馬が実力を発揮して勝利。波乱を期待する穴党にとっては物足りなさもあるが、結果オーライだろう。
明らかにレベルの低かったラジオNIKKEI賞(G3)組は、ビーオンザカバー6着、エーオーキング10着と不甲斐ない結果。「これじゃ1勝クラスだよ」という声も出ていたレースらしい結末だったかもしれない。
個人的に期待の大きかったジーティーアダマンの11着は想定外。秋の中山で1000m通過60秒3は、そこまで速い訳でもない。もしかしたら中山コースや輸送が苦手な可能性もありそう。
モレイラ人気もあったファイアンクランツは、中間の追い切りもサッパリ。これではまともに走れなさそうと感じたものの、あの外人信者の堀厩舎がモレイラを確保しての出走だったから、何かあるのかなと勘繰りもしたけど、追い切り通りの凡走に終わった。
注目としてはミュージアムマイルに取りこぼしがあるかどうかだけのレース。無難に回ってきて力で押し切ったからには、他の馬のことは割とどうでもいいか。
ジョッキーコメント
1着ミュージアムマイル 戸崎圭太
「皐月賞馬で責任は感じていましたし、勝つことができて良かった。それほど出だしに気がある馬ではないので、後ろからでも道中はいいリズムで行けた。ある程度外を回っても力で押し切れるのと思って、思いきりギアを入れていきました」
※強い馬だから外を回すつもりだったようね。小細工なしのいい判断だと思う。
2着ヤマニンブークリエ 松永幹夫
「騎手が内で脚を溜めて上手く乗ってくれました。休み明けの分少し力んだようですが、最後は間をこじ開けてきました。まだまだ成長途上でこれから良くなる馬。次は様子を見ながら決めたいと思います」
※調教師も絶賛するよねそりゃ。見ていて腕で持ってきたなという技あり。


