フィエールマンが天皇賞春(G1)連覇でルメールは天皇賞4連覇も価値には疑問!

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 4日、日曜京都の天皇賞・春(G1)は、ルメール騎乗のフィエールマンが大外枠の不利を克服して優勝。鞍上のルメールは天皇賞4連覇を達成し、フィエールマンは天皇賞・春の連覇となった。

 昨年の有馬記念(G1)4着からの直行では初勝利。淀の長距離を休み明けで制したことにもその勝ちは疑問がある。かつてのメジロマックイーンやライスシャワーらの勝利と同列に語ることができるだろうか。

 父ディープインパクトは血統的に長距離向きではない。スプリントG1を勝ってもおかしくない一方で得意ではないはずのステイヤーの領域でG1を勝ったことに違和感はある。完成度が高い反面、古馬になっての成長力不足を露呈することも多いのが、これまでの産駒の大きな特徴だった。

 ところが、サトノダイヤモンドで菊花賞で初勝利をあげ、フィエールマンは菊花賞に続き、天皇賞春を連覇して長距離G1を3勝と実績的には完全にステイヤーの成績である。だが、これらは相手関係の弱さの産物でもあり、我々のような古い人間には素直に受け入れられないのも確か。

諸悪の根源はノーザンの独裁

 そもそもの元凶はやはりノーザンFによる競馬界の私物化だろう。勿論、そこまでの地位と権力を手に入れたことは企業努力の結果ではあるが、近年の競馬をつまらなくしていることと無関係ではない。

 サンデーR、キャロット、シルクなど一見では別のクラブに見えても裏で繋がっているのはノーザンだ。長距離レースを避け、マイルから中距離戦線で圧倒的なチーム力を見せる。有力馬を多数揃えてはぶつからないように調整し、共食いを回避する。

 これに拍車をかけているのが競走馬のみならず、ルメールの使い分けでもある。トップ級には悉くルメールや外人騎手を配し、同じレースには使わない。見る側とすれば実力馬同士の白熱したレースが見たいが、ノーザンがやっていることは対極的である。

 ハブを駆除するためにマングースを輸入したのに、ハブと戦わずに天然記念物が被害に遭った沖縄のような惨事に似ているかもしれない。レースの価値は必然的に下がるのは自明の理だろう。

天皇賞春のレース内容

 では、レース内容はどうだったか。

 前走で大きく出遅れた武豊のキセキは好スタートを決めた。ダンビュライトが逃げて、直後にスティッフェリオがつけて流れはスロー。キセキは3番手の好位に取りついた。ところが、やはり問題となったのはキセキの掛かり癖。

 武豊は懸命に押さえようとするが行きたがった。一旦は馬群から離して外に進路を取るものの、ついに諦めた。キセキを納得させるために止む無く先頭まで行かせるプランに切り替える。ラップを落とすことには成功したが、残り4Fからの上がり勝負にはついて行けずに脱落。勝ったフィエールマンから0.8秒差で6着の入線。

 逃げたキセキを隠れ蓑にして最も展開の恩恵にありついたのは2着のスティッフェリオだろう。気性に難のあるキセキとダンビュライトというルーラーシップ産駒に先導してもらい、プレッシャーもなく3番手の競馬。

 最後の最後でフィエールマンに屈したが、着差はわずかハナ差でしかなかった。ルメールのフィエールマンの騎乗が、とても褒められたものではなかっただけに大金星を逃がしたといえる。とはいえ、展開さえハマれば自ら勝ちを拾える位置で積極的な競馬をしていた北村友一の好判断だった。

 後方から舐めた競馬をしていたルメールを反省させるためにもむしろ勝たせたいと思える騎乗である。

 フィエールマンの騎乗については陣営からの依頼もあっての後方待機だっただろう。追い切りで掛かるところを見せたのがその理由なのだろうが、いくらなんでも動かなさ過ぎだろう。動いて勝ちを手に入れた昨年は好騎乗と言えたが、今年は消極的過ぎた。

 結果的に馬が強過ぎたがために、騎乗ミスを帳消しにしてもらっただけの競馬。ルメールの楽勝だと思ったというコメントにはズレを感じる。

 多少のミスをやらかしても勝てる馬に騎乗できる地位を手に入れたのは確かだが、これを褒める気にはなれない。

天皇賞春のラップ構成

勝ち時計 3.16.5/36.0
13.2⇒
12.4-12.4-12.5-12.5-12.0⇒61.8
11.6-12.5-12.1-12.2-12.7⇒61.1
12.5-11.9-11.9-11.9-12.2⇒60.4

※残り4Fから上がりの速い持久戦

後ろからでは届きにくいレース展開

レース後のコメント ※ラジオNIKKEIより

1着 フィエールマン(C.ルメール騎手)
「直線に向いて馬の反応が良く、道中もいいペースだったのでもう少し楽に勝てるかと思いましたが、いったん先頭に立ったとき物見をする面を見せました。前の馬が頑張ったので最後までファイトしなければなりませんでした。この馬はリラックスしたら最後は良い脚を使ってくれます。ですから長い距離で後ろの位置を取りたかったです。外枠でプレッシャーなく運べました。スムーズな競馬ができました。そのためラストはフルパワーを使うことができました。」

(手塚貴久調教師)
「ほっとしました。大外枠やいろいろなハンデがありましたが、課題をクリアしてくれて、馬に感謝しています。C.ルメール騎手とはレース前に折り合いを考えて後ろから行こうという話をしていて、その通りに乗ってくれました。スタート直後はハミを噛んでいましたが、その後はスムーズでした。ゴールの瞬間は分かりませんでした。毎度のように接戦ですがそれでも勝つのですからたいしたものです。」

史上初の4連覇という記録自体は評価する。

でもこの馬をステイヤーとして評価することはできない。

2着 スティッフェリオ(北村友一騎手)
「4コーナーでも、抜け出してからも手応えがありましたが、残り100mで息が上がってしまいました。無理せず好位を取れたのが良かったと思います」

(音無秀孝調教師)
「もう少し後ろからという予定でしたが、スタートが良かったですからね。上等な結果ではないでしょうか。欲を出せばきりがないですからね」

陣営の想定とは逆の乗り方になったが、好走したからお咎めなし。

やはり競馬は前に行ってなんぼ。

5着 トーセンカンビーナ(藤岡康太騎手)
「3コーナーの下りから、前の馬にも動きがあり、エンジンのかかりが遅い馬なので、坂の下りを使って出して行こうと思いましたが、そこでもたついて遅れてしまいました。最後もう一度差を詰めてくれているのですが...」

現状の力は出せた。

阪神大賞典はキセキが暴走して前を掃除してくれた展開がハマっただけ。

6着 キセキ(武豊騎手)
「スタートは上手く行きましたが1回目の直線に向くとスイッチが入ってしまいました。あそこで我慢できなかったのがもったいなかったです。この馬は自分との戦いですね。あのまま2,3番手で行ければ良かったのですが...」

ゲートは出たし収穫はあった。ただ、もう長距離はやめた方がいいかもしれない。

7着 モズベッロ(池添謙一騎手)
「何とか我慢させてレースを進めて、我慢して走ってくれたのですが、かかってしまいました。体は成長して力をつけていると思いますが、距離が長かったかもしれません。距離適性が出た感じです」

池添は長距離が上手い訳ではないが、距離だろうなあ。

8着 メイショウテンゲン(幸英明騎手)
「3,4コーナーで上がっていき、ミッキースワローについて行こうと思ったのですが、坂の下りでコーナーを回り切れず、おかれてしまいました。初めて乗りましたからわかりませんが、もう少しやれると思います」

弘平が乗っても大差はなかったかもしれない。

9着 ダンビュライト(松若風馬騎手)
「ゲートを出てくれましたし、自分のリズムで競馬ができました。1週目でキセキが来た時も力まずリラックスして走れましたが、最後はきつくなり脚が上がってしまいました」

(音無秀孝調教師)
「テンションが上がっていましたし、気性的に距離が長いと思います」

去勢した効果があったのかどうか。

ただ、中距離ならやれそうな雰囲気。

10着 エタリオウ(川田将雅騎手)
「今出せる精一杯の走りをしてくれました」

コメントは相変わらずクソだが、この馬はもう以前のようには走れないか。

11着 メロディーレーン(岩田望来騎手)
「もう少し位置を取りたかったのですが、枠が枠でしたし、後ろからになってしまいました。馬場も柔らかくゴーサインを出した時滑るような感じで走りずらそうでした」

お疲れ様。

14着 シルヴァンシャー(M.デムーロ騎手)
「すごくいい感じでしたが、向正面まででした。前のスペースがなくなったあたりで馬が苦しくなりました」

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