若手騎手「56秒8」大暴走もカムニャックに追い風…川田将雅の冷静過ぎる完璧騎乗【ローズS】
本当の実力がないと勝てないレース展開
阪神11RローズS(G2)芝1800
先週は中山で紫苑S(G2)が行われ、7番人気の伏兵ケリフレッドアスクが穴を出した秋華賞トライアル。阪神でローズS(G2)が開催された今週は、オークス馬カムニャックが1番人気の支持に応えて優勝した。
夏の上がり馬が春の実績馬から返り討ちに遭うことでも知られる一戦。特殊な展開に勝負どころで手間取るシーンも見られたが、終わってみれば格の違いを見せつける完勝だった。
ただでさえ、内回りに比して直線も長く差し追込みも決まる阪神芝1800m。そんな状況下で特殊な展開を作り出したのは、これが重賞初騎乗となったルーキーの田山旺佑とデビュー4年目の鷲頭虎太だ。
アイサンサンと果敢にハナを奪った田山を鷲頭も負けじと2番手から追い掛ける。両馬が飛ばしているはずにもかかわらず、横山武史ルージュソリテールや岩田望来ミッキージュエリーも追走した。
若手騎手が56秒8の大暴走
前が流れた1000m通過のラップはなんと56秒8。普通なら大逃げとなるはずだが、大逃げにならないまま馬群が凝縮して最後の直線を迎える。中団を走っていたカムニャックは、外にいた西村淳也のビップデイジーを弾き飛ばして強引に進路の確保を成功。ごちゃついたのはここくらいで、後は余裕十分に先行勢を差し切っている。
川田から不利を受けた西村のビップデイジーが4着に惜敗したのは、少し思うところもあるとはいえ、この程度は勝負事なら日常茶飯事だ。西村も川田を絞めるほど度胸はなかったのだろう。
むしろこれだけの激流を5番手につけていながら2着に残し切ったテレサの走りは目を引いた。直線15番手から3着に突っ込んだセナスタイルが優先出走権をゲットしていたものの、勝ちにいく競馬で敗れた2着馬と、超ハイペースを動かずに展開の向いた3着馬では価値が異なる。
それでも無気力な消極的騎乗が多い日本人騎手の競馬でここまでのハイペースは珍しい。まだ若い2人だけに、悪い方に毒されてなかったのもあったかもしれない。さすがに今回はやり過ぎてしまったが、チャンスがあれば先手を取ろうという積極性はいいと思う。
あとは、事前に馬場傾向やメンバー構成、他の騎手の顔触れを考えて、逃げれば展開がハマるタイミングで再挑戦してもらいたい。間違っても毎回ラップの分からない浜中俊のようになってはいけない。
川田将雅の冷静な騎乗が際立ったローズS
まあそれにしてもカムニャックの川田は1ミリの隙も無い好騎乗である。
人間的に好きではない騎手だが、前を行く2頭に釣られて武史のルージュや望来のミッキージュエリーが、そのまま追い掛けたのに対し、自身はついて行こうとしたパートナーを一旦なだめて、結果的にハイでもスローでも対応可能なちょうどいいところに収めた。もうこの時点で負ける可能性は限りなくゼロになったといえるだろう。
勝ちタイム1分43秒5は、2023年にマスクトディーヴァがマークした1分43秒0(良)と0秒5差でしかない。
あえて粗を探すなら休み明けの高速決着で疲れが残る可能性くらい。かといって急仕上げでもなく中間の乗り込みもこなしていたなら杞憂か。これで本番の秋華賞(G1)も胸を張って出走することになる。
エンブロイダリーやアロマヴェローチェも直行で参戦してくるが、骨折や順調さを欠いているライバルと違い、しっかりと前哨戦を勝ち切ったカムニャックに追い風も吹く。
近年の出走馬レベルの向上でG2に昇格した紫苑S組に関しては、ハッキリ言って分が悪い。グレードこそ同じでも出走したメンバーのレベルがあまりに低かった印象。テレサは本番でも買い目に入れておきたい馬と感じたが、やはりカムニャックvsその他の構図が濃厚になりそうだ。
使い捨て濃厚パラディレーヌは巻き返し十分
3番人気で8着のパラディレーヌは注意が必要な敗戦に映った。スタートで出遅れて万事休すの展開だったものの、内で脚を溜めてハイペースがむしろ味方になりそうなシーン。直線も右往左往してスムーズさを欠いたのも痛かった。ここで見切るには怖さのある内容といえる。
そしてこの馬はローズSを明らかに使い捨てっぽかった。というのも予想記事で触れた通り、中間の時計も大して出しておらず、陣営の本気度に疑問が残っていたからだ。まともにレースをしていないなら本番で本気仕上げということかな。丹内もハマるかハマらないかのタイプだしね。
穴人気したミッキー2頭については、モレイラのマドンナが5着、望来のジュエリーが16着。激流を3番手につけて完敗のジュエリーは力の差を否定できない完敗。マドンナの方はウッドで十分な好時計をマークしていたとはいえ、併せ馬で遅れていたのも気になった。
ジュエリーを上に見たのは我ながら反省材料だが、外人信者の堀師が勝負をかけていたことだけは伝わる取捨選択というところ。16キロ増で6着ヴーレヴーは頑張った方だけど、本番でも掲示板くらいかなといった印象が残った。
あ、忘れていたけどルメールのチェルビアットは、やっぱり予想通りここじゃないよねえ。土曜阪神メインのチャレンジC(G3)を兄のオールナットが優勝する援護射撃があったにせよ、デビューから見ている本馬の適性は短距離向き。底力とスタミナを問われる阪神の芝1800mを使ってきた意図はよくわからない。これならまだ芝2000mでも前残りする紫苑Sの方が向いたよ。
最後に残念だったのは直前で競走除外になったタガノアビー。ケツから走るこの馬にとって最高の展開だったにもかかわらず、これは勿体ない。無事本番に出てくるようならもう一度狙ってみる。
ローズS全パト
オレンジ帽14番セナスタイルに注目。展開が向いたとはいえ、行くとこ行くとこ詰まりまくって3着まで来たの凄いね。
ジョッキーコメント
1着カムニャック 川田将雅
「この子が走りたいリズムで、とてもいい雰囲気で4コーナーまで来ることができた。あれだけ内側からぶち当てられて、動けなくなったところから動いてくれたので、馬の能力だけで何とか勝ち切れたというところですね」
2着テレサ 松山弘平
「調教から前に壁を作って、しっかりと脚を使えることはわかっていた。G1馬相手に食い下がっていました」
3着セナスタイル 岩田康誠
「こういうレースもできる脚があるんだなと。3着ですが進路を探しながらですから。スムーズならもっと伸びたかもしれない」
4着ビップデイジー 西村淳也
「内枠が良かったけど仕方ない。運が悪かったです。坂で止まっていました。勝ち馬は強かった」
5着ミッキーマドンナ モレイラ
「能力はあるが、それを出し切れていません。レース前にテンションが高かったり、道中も他の馬を気にするところがあります。まだまだ成長が必要」
13着チェルビアット ルメール
「少しスタートで遅れました。道中も全然ハミを取らず、勝負どころでも加速しませんでした」
16着ミッキージュエリー 岩田望来
「上のクラスに行くような馬ばかりで、今日は参考外かなと思います。また改めてです」


