2016第36回ジャパンカップ(G1)の結果分析
雨予報が心配されたが、馬場に影響することもなく良での開催。
差しの決まる馬場だった京都でまたいつものごとく前残りが多発するようになってきた中で東京は開幕週から依然として外差し馬場が維持のまま。
逃げが濃厚だったキタサンブラックには少なくとも歓迎の馬場ではなかった。
レースは好発を決めた武豊キタサンブラックが1枠1番の強みですんなりと先手を取ることに成功。
1F13.3のスローから周りに行く気がないと見るや否やギアを上げて11.3とペースアップ。
この段階で既に勝負の半分は決したと言っていい。
奇襲の逃げが唯一想定された田辺ワンアンドオンリーは競らずに番手。
ほぼ大外16番からインにポジションを取りに行ったのはライアンのリアルスティール。
3番人気ゴールドアクターの隼人はその次の内側4番手で脚を溜めた。
武豊の逃げは天皇賞春でも見せたようにジャパンカップの大舞台でも焦らず騒がずの芸術的なラップの刻み方。
人気のライアンのリアルも隼人のゴールドも逃げている目標のキタサンブラックを常に射程圏に入れていながらも直線では逆に突き放されたことが見た目以上にシビアなレース展開を証明していた。
2着馬を予想以上に突き放した2馬身半差の圧勝に楽に逃げた前残りだと中傷する声もチラホラあったが、それこそレースをしっかりと見られていないからこその感情論ではないだろうか。
ただの前残りならばゴールドアクターやリアルスティールがキタサンブラックの上がり3Fより劣った理由にならない。
念願のG1・3勝目を決めて次走はグランプリ有馬記念。
有馬を勝てば海外遠征も視野に入ってくる。
★ポイント
徹頭徹尾・武豊が支配したレース。マイペースで先頭を走りながらも後続に息を入れさせないラップ。
さらにはあえてワンテンポ早く仕掛けることで自身の弱点である切れ不足を相殺。
こんな乗り方ができるのはラップ感覚に優れている武豊だからこそ。
■2馬身半差の圧勝は500万でサトノラーゼンを3馬身千切って以来の着差
※接戦をモノにすることが多い馬にしては珍しい
2016第36回ジャパンカップ(G1)の結果 | ||||||||
1着 | キタサンブラック | 武豊 | 2.25.8 | 34.7 | 01-01 | 清水 久詞 | 1 | |
2着 | サウンズオブアース | M.デムーロ | 2.26.2 | 21/2 | 34.5 | 09-09 | 藤岡 健一 | 5 |
3着 | シュヴァルグラン | 福永 祐一 | 2.26.3 | クビ | 34.4 | 12-10 | 友道 康夫 | 6 |
4着 | ゴールドアクター | 吉田 隼人 | 2.26.4 | 1/2 | 35.1 | 03-02 | 中川 公成 | 3 |
5着 | リアルスティール | R.ムーア | 2.26.4 | クビ | 35.1 | 03-02 | 矢作 芳人 | 2 |
※勝ったキタサンブラックが強過ぎたがゆえに捕まえに行った2頭が垂れてそれぞれ4,5着。
■ラップ構成
200m | 400m | 600m | 800m | 1000m |
13.3 | 24.6 | 37.2 | 49.5 | 1.01.7 |
13.3 | 11.3 | 12.6 | 12.3 | 12.2 |
1200m | 1400m | 1600m | 1800m | 2000m |
1.14.2 | 1.26.9 | 1.39.2 | 1.51.1 | 2.02.3 |
12.5 | 12.7 | 12.3 | 11.9 | 11.2 |
2200m | 2400m | |||
2.13.7 | 2.25.8 | |||
11.4 | 12.1 | |||
4F 46.6 – 3F 34.7 |
※緩急自在のペース配分とはまさにこのこと。
このラップの刻み方だけでも十分に豊マジックと言える。
武の刻むラップが美しいのは何も考えていないただの超スローのレースで見掛ける13秒台がないこと。
1600を過ぎたあたりから意図的にラップを加速させて実はかなりのロングスパートを決めている。
■2016第36回ジャパンカップ(G1) レース映像
第36回ジャパンカップ
勝利騎手インタビュー pic.twitter.com/beJ3kOnmFq— 黒い太陽 (@black_sun3710) 2016年11月27日
■各馬のコメント
1着キタサンブラック
父はディープインパクトではなく兄のブラックタイド、所属も栗東のメジャーな厩舎ではなく関東の清水久詞厩舎。
主戦も地味な北村宏司ならばオーナーもこれまでG1にはまったく無縁だった北島三郎。
デビュー当初の背景からしてスターホースとしては条件が不足していた。
素質を見せたのは2戦目の500万下で後のダービー2着馬サトノラーゼン相手に3馬身差の圧勝。
3走目のスプリングSでは福永のリアルスティールを破り無敗の3連勝を決めた。
不用意にハイペースを追い掛けたダービーこそ14着という大敗を喫したが、秋にはセントライト記念から菊花賞と連勝し初のG1制覇。
有馬記念でも果敢に逃げて3着と世代再先着と健闘。
ここまではまだ弱くはないけれど強いくもない馬といった評価の域を出なかった。
やはり馬の成長も勿論ながら名手武豊との出会いはこの馬の運命を変えた。
コンスタントな逃げ先行で戦法も安定し、大阪杯こそアンビシャスに不覚を取ったが天皇賞を優勝。
ただ、これも8歳馬カレンミロティックとわずか4cm差の辛勝で微妙な評価のまま。
強さを実感できたのはむしろ3着に敗れた宝塚記念ではないだろうか。
先行馬総崩れの中で最後の最後まで粘ってのタイム差なしで3着。
とはいえ休み明けの京都大賞典では2着アドマイヤデウスとはクビ差の勝利で文句なしの1番人気ではなかったことは単勝380円の数字にも表れている。
これらを踏まえた上での圧勝劇であるわけだからこれで名実ともに現役最強馬を堂々と名乗れるようになった。
そして鞍上の武豊を含めての1番人気だったJCとは異なり、人馬一体で支持される有馬ではおそらく断然人気になるだろう。
2着サウンズオブアース
G1で好走はするが、かといってG2やG3を勝てるのかとなると相手なりの結果。
アンカツさんが例えたのはウインバリアシオンだが、G1仕事人のミルコをもってしても勝ち切れないのだからこれは致し方なし。
豊のキタサンがいなければというたらればを言ったところで、そうなるとゴールドアクターやリアルスティールが強い競馬をするだけ。
秋はここを全力で仕上げてきただけに有馬でお釣りがどこまで残っているか。
ただ、ミルコが続投するなら変わらず有力馬である。
3着シュヴァルグラン
もはや着拾い職人となった祐一の3着狙い。
ひとことで3着狙いと言っても結果的に3着になっているだけで本人はいたってマジメに乗っているだろう。
それは3着狙いの競馬でもハマれば菊花賞のように2着になれることもある。
問題は勝つ気で乗っても3着になってる本人の問題。
馬群を捌くのは苦手なため、外枠が条件となる。
良血だけあって今後の伸びしろは感じるが、JCで下手に通用したと陣営が色気を出して勝ちに行くと凡走の可能性も。
4着ゴールドアクター
キタサンブラックへの牽制で隼人が逃げることも考えていると発言していたが、仮にこの馬が逃げていても勝ったのはキタサンブラックだっただろうと断言できる。
それくらいキタサンブラックの力は抜けていたというのが返り討ちにあったゴールドとリアルの着順。
並びかけるところまでも行けなかったのだから完敗であって、適性の高い中山の有馬で反撃を期待したい。
とはいえもはや昨年のキタサンブラックとは別馬でもあり逆転はかなり厳しくなる。
5着リアルスティール
外枠から積極的にポジションを取りに行ったのはドバイターフと同様。
多少は行きたがっても折り合いをつけることに成功。
これが出来るか出来ないかが安田記念での差。
休み明けの天皇賞を使って盤石の状態での出走でもあり、言い訳不可能な完敗。
陣営は天皇賞は7分か8分のデキと勘違いの過大評価をしていたが元々が鉄砲駆けする血統。
古馬になって距離不安を囁かれるようになったとはいえ菊花賞を鞍上のミスで取りこぼしたように距離は問題なかったと判断できる。
敗因を距離に求めるにはこの馬を過大評価する必要がある。
なら何が理由かと言えば成長力不足が濃厚ではないか。
キャリアを積むごとに強くなっているキタサンブラックに対してリアルスティールは既に底を見せている。
6着レインボーライン
同じ3歳のディーマジェスティにはこれで菊花賞に続いての連勝で立場は入れ替わりつつある。
比較的前で競馬することが多いクリストフにしては消極的な位置での競馬。
乗り方次第では3着はあったと思える走り。
古馬になってからさらに強くなりそう。
9着ルージュバック
能力で劣る馬で正攻法で乗った戸崎に工夫がなさ過ぎた。
実力馬に対して真っ向勝負する心意気は評価したいがそれはここではない。
毎日王冠のように外の追込みを選択すべきだった。
13着ディーマジェスティ
戦前に危惧した通り、3歳世代ハイレベル説の破綻。
古馬相手のここで通用するかどうかが将来性を測るにも非常に重要だったが・・・。
春の力関係ではレインボーラインが6着できるならこの馬は3着以内に来れないといけない。
ブライアンズタイム系の馬はスランプに陥ると復活まで時間を要することも多く心配。
欲張らずに一度立て直しをした方がいい。
メンタルの問題でなければいいのだが。
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