「負けて当然」ソウルラッシュ、勝つべくして勝ったジャンタルマンタル【マイルCS回顧】

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「負けて当然」ソウルラッシュ、勝つべくして勝ったジャンタルマンタル【マイルCS回顧】

敗軍の将だけど語らせてくれ

京都11RマイルCS(G1)芝1600

23日、京都競馬場で行われた秋のマイル王決定戦・第42回マイルCS(G1)は、川田将雅のジャンタルマンタル(牡4、栗東・高野友和厩舎)が、単勝1.8倍の1番人気に応えて優勝。春の安田記念(G1)も制した同馬は、2020年グランアレグリアに続く春秋マイル王に輝いた。

前走の富士S(G2)は、前にいたガイアフォースを捕まえ切れず、半馬身差の2着に敗れた。当時は57キロの相手に対し、本番を見据えた作りで2キロ重い59キロ。休み明けを一度使っての上昇は陣営の目論見通りだっただろう。

血統こそパリスマリス産駒だが、安定した先行力と長くいい脚を使えるのは、かつてのダイワメジャーをイメージさせる。産駒の数はまだまだ少ないものの、その中からジャンタルマンタルを輩出したことで人気に拍車が掛かりそうだ。

マイルCS全パト

フルゲート18頭立てで争われたレースは、ハナを主張したトウシンマカオが前半600m34秒2のラップを刻む。もうこの時点で逃げ先行有利な状況となっていることは分かる。

というのも、見た目は後続を5~6馬身離していながら半マイルのラップは45秒9。先頭の馬がこれでは2番手以降がスローになるのも当然。既に中団より後ろの馬は物理的にどうこうならない状況まで陥ってしまった。(だから下手糞ほど前で競馬しろと毎度のように警鐘を鳴らしている)

外目から難なく番手につけたジャンタルマンタルの川田も、内心は笑いが止まらない展開と流れだったはずである。

勝負どころで強気にポジションを押し上げて2番手まで進出したなら、後は早めに仕掛けてセーフティリードを確保するのみ。川田将雅も憎らしいほど淡々と作業をこなしていた。

終わってみれば最初から最後まで完璧なエスコートをしての快勝だった訳だが、この勝利に川田の貢献も大いに含まれていたはずだ。人間的には好きになれない川田だが、敵ながら天晴のケチをつけようがない騎乗だった。

むしろ残念騎乗に映ったのは、2着に敗れたガイアフォース横山武史の方。富士Sではライバルより前で競馬をすることによって追撃を凌いだが、今回は後手に回ってジャンタルより後ろの競馬をしてしまった。

圧倒的1番人気に騎乗して強気の競馬を決断した川田に対し、4番人気で弱気に乗ったのは両者の経験と勝負勘の差だろう。1馬身3/4差は決定的ではあるけれど、同じ負けでも先に抜け出したところを交わされた方が、騎手として理に適った乗り方だったように思う。

ガイアフォースは切れる脚がないにしてもスピードのある馬。トウシンマカオの競馬をするくらいの発想が欲しかった。この辺の思い切りの悪さが、自信を無くして度胸のなくなった武史の現状と一致するような気もした。

◎で期待したソウルラッシュは、ジャンタルマンタルに続く2番人気。名手C.デムーロの手綱ということもあって、富士Sで先着を許したガイアより人気の面で上回った。

未勝利で苦手の東京から相性のいい京都に舞台が替わることもあり、前進あるのみと考えていたのだが、想像以上の切れ負けで6着。負けるにしてもジャンタルやアスコリくらいだろうと読んでいた割に想定外の結果と言わざるを得ない。

しかし、自分自身クリスチャン信者だったことも災いしたかもしれない。

ドバイターフ(G1)であのロマンチックウォリアーを負かした実力は断然。仮にジャンタルマンタルが出ていてもソウルが勝った可能性が非常に高い。同じパフォーマンスを披露できれば負けなかったはず。

その一方、ソウルラッシュが割と好走パターンに条件が付くことを見落としていたことは認める必要がある。

本格化を遂げる前から上がり勝負を苦手としており、高速馬場も向かない。

ソウルラッシュのマイル戦全成績

こちらを見ても一目瞭然のように、切れ味勝負と高速決着に限界があるタイプ。キャリア最速の上がりも33秒3に留まり、勝ちタイムも1分31秒6が限界。冷静に振り返れば、今年のマイルCSの勝ちタイム1分31秒3は守備範囲外と考えた方が良さそうだ。

まあなんというか、ウオッカみたいな感じで「噛み合ったときだけ」ベストパフォーマンスを発揮するイメージ。むしろ「条件を選ばない」ジャンタルマンタルはダイワスカーレットみたいなものか。

データと馬場読みを優先する側からすれば、そんなことは戦前から気付かなかった訳もなく、事実警戒もしていたのだが、本音を言うと「願望と期待」がオブラートに包んでしまった。

そもそも今年はJRAが罠を仕掛ける伏線がハッキリしていた。

昨年の京都はエリザベス女王杯(G1)と同じBコースのままで開催されたが、今年はマイルCSからCコースへと変更。傷んだ内側の部分がフォローされた上、騎手たちは相も変わらず外を回し続けるレースが多かった。

昨年のマイルCS

昨年の結果と比較してみると明白。勝ちタイムも1分32秒0でソウルラッシュ自身の上がりも33秒6なのだ。

昨年は前後半4F45秒7-46秒3の前傾0秒7。勝ちタイム1分32秒0。レースの上がり34秒5。
今年は前後半4F45秒9-45秒4の後傾0秒5。勝ちタイム1分31秒3。レースの上がり33秒6。

あーダメだ。ペースも超スローで時計も速く、上がりも切れを要求されている。しかもL4ラップを見てよこれ。11秒8-11秒4-11秒0-11秒2でしょ。L1で0秒2落ちてるけど加速ラップだもの。切れる脚がないとまず届かないね。とてもソウルラッシュの輝く舞台設定じゃねえや。

そう、この手のレースを事前にイメージできたかどうかの差だね。それが出来ていた人はソウルラッシュを危険な人気馬とジャッジしただろうし、出来ていなかったクリスチャン信者の自分は読み違えた。Cコースに替えたJRAが悪い(他責思考)

つまり、ソウルラッシュは負けるべくして負けたってことだね。

だからといってピークを過ぎたとか、大したことないと考えるのは危ない。なんだかんだで半分くらい欧州向きみたいな馬だから、次走の香港マイル(G1)で評価を下げるのはお勧めできないと思う。

あと、気になったのはSNSで誰かが、現在の京都は東京に近くなっているかもしれないという仮説を目にしたこと。これはよくできた話だと感心した。

確かにこの高速馬場と速い上がりは東京コースでありがちな傾向。ソウルラッシュの苦手パターンでもあり、東京で好走したジャンタルやガイアが富士Sと同じパフォーマンスを発揮したのも合点がいく。

これをさらに裏付けたのが、15番人気で3着に突っ込んできたウォーターリヒトの存在。この馬もまた東京コースを得意としていた馬だった。

もちろん高杉君の好騎乗もあったけれど、陣営もよく立て直してきたなという感想。調教で抜群に良かったのはオフトレイルだが、そこまで目立たなかったウォーターリヒトに後れを取ったのは、個人的に大誤算でもあった。場所は京都でも実質東京の高速馬場と大差なかったなら、本馬の激走が説得力を増す。

では次に各騎手のコメントにも注目しよう。

ジョッキーコメント

1着ジャンタルマンタル 川田将雅
「彼の気持ちを優先しながら、リズムを取りながら、とても良い感じで走れていました。西日が後ろから差していましたので、影で後ろの馬を確認したのですが、迫って来られる馬はいなかったので、勝つことを確認しました。何よりここを絶対に勝ちたいという思いで、富士Sも、ここも準備しましたし、こうして勝ち切れたことを褒めてあげたいと思います」

※克駿には同情するが、川田君の騎乗なら仕方ない。追い切りはめちゃくちゃいいって感じではなかったものの、このクラスの馬になると絶好調はいらないってとこか。

2着ガイアフォース 横山武史
「理想はもう一列前でしたが、スタートの出がそこまで速い馬ではありません。勝ち馬は強かったのですが、富士Sの2キロ差がなくなっても食らいついてくれました。よく頑張ってくれています」

※このコメントは後から見たが、指摘した通りのミス。スタートの出がどうこうではなく、武史が出して行く覚悟がなかっただけ。このスローペースで動けないのではダメ。

3着ウォーターリヒト 高杉吏麒
「流れも向いて、よく頑張ってくれました。馬は良くなってくると思います」

※大穴を激走させた割にドライ。WIN5高杉は避けているけど、警戒度を上げる。

4着オフトレイル 菅原明良
「最後は詰めてきていますし、攻めて乗っても良かったというのが正直なところ。力のあるところは証明できたと思います。さらに成長していってくれると思いますし、楽しみです」

※関西圏の明良は乗れている。欲をいえば3着は欲しかったね。

5着エルトンバローズ 西村淳也
「自分のやりたい競馬はできました。ただ、すぐ後ろに、すごいオーラの馬がいました。ですが、昔のエルトンバローズが戻ってきてくれました。ここからまた頑張ってくれると思います」

※調教でもうひとつピンとこなかったが、この馬もソウルラッシュと似たタイプ。時計と切れで後れを取った。

6着ソウルラッシュ C.デムーロ
「スタート良く、ある程度のポジションで競馬ができましたが、直線に向いての反応はジリジリという感じでした。次は期待できると思います」

※この言葉に嘘はないと思う。本当に強い馬は言い訳をしないが、今年の馬場はJRAにも意地悪されたねえ(苦笑)

7着アスコリピチェーノ ルメール
「スタートが良く、いいポジションが取れました。勝った馬の隣でいい競馬ができました。内でよく頑張ってくれましたが、ギアアップがふたつできませんでした。よく頑張ってくれたと思います」

※下げ過ぎない競馬は陣営のリクエストだろう。海外遠征帰りで復調途上の可能性もある。追い切りだけはよかったが……。次は変わりそう。

8着マジックサンズ 武豊
「折り合いに専念して、うまく折り合うことができました。この馬なりに良く伸びていますし、今後が楽しみです」

※地味に驚かされた走り。このクソスローを15番手からオフトレイルに次ぐ32秒8。豊の騎乗は無気力だったが、見直したい馬である。

9着ドックランズ M.ザーラ
「馬は本当によく頑張っていました。序盤から後方の位置取りとなってしまいましたが、ゴールまでは馬はとてもよく走ってくれた思います。イギリスから遠征して異なる環境のなか、この馬は最高の走りを見せてくれたと思います。今日はスピードのある馬が勝つレースのようだったので、厳しいレースになりました」

※昨年のチャリンは日本の馬場に負けたが、本馬もまた似たような感じ。でもチャリンの場合は「欧州トップマイラー」も納得の走り。こちらはやはり見劣るね。

12着レーベンスティール レーン
「このクラスでは、マイルは少し忙しかったかもしれません。最初は後ろでしたが、ポジションを取ってからリズム良く走れました。直線は他の馬よりエンジンのかかりが遅く、ゴール直前はいい脚を使ってくれています」

※東京都中山でしか走らない馬。謎である。

反省点

アンチ川田将雅とクリスチャン信者が目を曇らせた。いつもの自分なら気付けた気もするが、最初から結論ありきで予想を組んだのが敗因。外れるべくして外れた結果なので自業自得かなあ。

来週のジャパンC(G1)で再調整したい。